328 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 16:42:33.10 ID: ZC1hkslO0
  _
(# ゚∀゚)「抜かせっ!」

腰を落としていたジョルジュ。
収縮されていたその太ももから一気に力を解放し、床を蹴りあげ駆け出してきた。
腰をかがめ、前傾姿勢のまま、弾丸のような勢いでこちらへと跳躍してきた。

目算で十mは離れていたであろう僕たちの距離が、瞬時に縮まる。
  _
(# ゚∀゚)「おらっしゃあああああああああああ!」

建物の中心である通路の上を一直線に駆けながら、ジョルジュは獣のような雄たけびをあげる。
彼の右手に握られているジャンビーヤが大きく振りかぶられる。
そのまま右から左へ、横薙ぎに切りかかってくるつもりだろう。

 

 

332 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 16:44:18.62 ID: ZC1hkslO0

(; ゚ω゚)「……」

それを捉えた瞬間に思考が巡った。なぜだ。おかしい。
ジョルジュともあろうものがそんな隙だらけの、見え見えの攻撃をしてくるはずがない。

ジャンビーヤ――ナイフとは基本的に、超近接戦における「突く」ための武器である。
人体の頭頂部から股の間までを結ぶ線、これを正中線というが、
その線上に点在している急所を突くことを目的としている。

もちろん、相手を殺すのではなく行動不能にするためだとか、
急所を狙う布石とするために「切りかかる」ことは大いにあるが、
今のジョルジュはあまりに隙だらけであり、あまりに次の攻撃を読まれやすい体勢だ。

絶対に何か別のことを狙っている。

そうやっているのがズブの素人ならば気にする必要はないが、
相手はほかならぬジョルジュだ、必ずこの攻撃には裏があるはずだ。

 

 

335 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 16:46:03.70 ID: ZC1hkslO0
  _
(# ゚∀゚)「つあああああああっ!」

腰をひねり、通路を駆けた勢いすべてを込め、
踏み込んだ左足を軸に、振りかぶったジャンビーヤを横薙ぎに動かしたジョルジュ。

さすがに速い。僕程度の腕ではカウンターをかますことは不可能。
即座に戦術を切り替え、上体を反らしてそれを避けることにする。

(; ゚ω゚)「くっ!」

横薙ぎにされたジャンビーヤが、彗星の尾にも似た銀色の軌跡を描いた。
上体を反らした反動で翻った超繊維のマントが、その軌跡に触れ、横一文字に切り裂かれる。

しかし、軌跡は僕の体にまでは届いていない。僕は回避に成功したのだ。

眼前のジョルジュは床を駆けた勢い、
そしてジャンビーヤを振った勢いが抜けきらないのだろう、そのまま大きく体勢を崩す――

 

 

338 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 16:47:11.32 ID: ZC1hkslO0

(; ゚ω゚)(……違うお! これは!)

――ことはなく、驚異の身体バランスで体勢を維持したまま、
ジャンビーヤ右から左に振った勢い利用し体をぐるりと一回転させ、
勢いを殺さないよう滑らかに軸足を左足から右足に移し――
  _
(# ゚∀゚)「ぬるぽぅっ!」

――強烈な左後ろ蹴りをかましてきた。

 

 

343 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 16:48:56.59 ID: ZC1hkslO0
 
(; ゚ω゚)「ガッ!」

駆けた勢いは削がれることなく、蹴りの上に相乗されていた。
まるで馬の後ろ蹴りをモロに頂戴したかのような衝撃。

(; ゚ω゚)「おうふっ!」

寸でのところで両腕による防御に成功した僕は、けれども、背後の扉、建物の入口まで吹き飛ばされてしまう。
床の上をゴロゴロと転がり、背中から扉に激突することでようやく、床を転がり続けた僕の体は止まった。

(; ゚ω゚)「痛っ……」

ぐわんぐわんと揺れる頭を抱え、懐に手をやる。よかった。銃はまだあった。
しかし安心したのもつかの間、ジョルジュの追撃を想定しすぐさま跳ね起きた僕。

左右ではオワタたちが腕を組み、僕を見つめていた。
ナイフを構え警戒したが、彼らは動くそぶりを見せない。ジョルジュの言葉に従うつもりなのだろう。

背後には、入口の扉。それはどうやら彼らによって鍵がかけられていたらしい。
そうでなければ、僕の体は扉をぶち破って、建物の外まで転がっていたに違いない。

 

 

348 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 16:51:06.60 ID: ZC1hkslO0
  _
( ゚∀゚)「うひゃひゃひゃ! いいねー! ちゃんと訓練どおりにやれてるじゃん? そうこなくっちゃ!」

(; ^ω^)「……」

そして、前方には満面の笑みを浮かべているジョルジュ。高らかな彼の笑い声が屋内に響いた。
彼は先ほどの攻撃で軸足としていた右足一本で立ったまま、僕へと繰り出した左足を中空でぷらぷらとさせている。
悠然としたその姿を前にして、僕は、当然のことではあるが、銃無しでは彼には勝てないと改めて認識させられた。

彼の言うとおり、以前、訓練の際、僕は似たような攻撃パターンの練習を彼にさせられていた。
リーチの短いジャンビーヤでは、相当の技量差がある場合を除き、いきなり相手の急所を突くことは難しい。
そのため、斬撃をフェイクとした体術により相手にダメージを与え、疲弊させたのちに急所を突く。
これがジャンビーヤによる近接戦の定石となっているのだと、以前ジョルジュが教えてくれたのだ。

先ほどのジョルジュの攻撃をガード出来たのは、後ろ蹴りを頂戴する直前にこのことを思い出したからに過ぎない。
このような想定内の攻撃でも僕はガードするだけで精いっぱいで、
おまけにジョルジュの攻撃は、ガードの上からでもダメージを与えるに十分な威力を持っている。

これを繰り返されたらたまったもんじゃない。さらには、見たこともない攻撃が繰り出されたら間違いなく僕は反応できない。

この分だと、稼げる時間はわずかしかなさそうだ。

 

 

349 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 16:52:30.56 ID: ZC1hkslO0

(; ^ω^)(……ツンデレは!?)

不敵に笑うジョルジュの後方、祭壇の隣の腰掛けの上にツンデレの姿を見る。
彼女は顔面のうち唯一外界に晒された両眼を両手のひらで覆い、泣いているかのようにうつむいていた。

彼女が答えを出すには、まだまだ時間が必要だろう。
当然のことだ。しかし、なるべく早く答えを出してくれと、願う。
  _
( ゚∀゚)「どうした? 足がすくんじまったのかい? まさかな?」

(; ^ω^)「……」

けれども、前に立ちはだかるのはジョルジュ。
今朝の迷いなど微塵も感じさせないニンマリとした表情で、超然と構えていた。
浮かせていた左足を地面につけ、そのままこちらへと駆け出してくる。

 

 

358 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 16:55:27.01 ID: ZC1hkslO0
  _
(# ゚∀゚)「そらぁ! 訓練の成果、見せてみーや!」

(; ゚ω゚)「ちぃっ!」

瞬きする間もなく距離が詰まった。僕の心臓を狙い突きを仕掛けてくるつもりだろう。
背には扉。左右にはオワタら。真正面から受け止めるしかない。

僕の目前まで距離を詰めたジョルジュは、屋内に響き渡るほどの音を鳴らし右足を踏み込み、一直線に突いてきた。

目で追うのがやっとスピードだが、バカ正直な攻撃だったことが幸いした。
予想していた攻撃を前に、かろうじてではあるが、ナイフの刃でそれを受けることに僕は成功する。
  _
(# ゚∀゚)「そおおおおおおおおおおおおおぃ!」

(; ゚ω゚)「んああああああああああああっ!」

接触した刀身同士が火花を放つほどの、すさまじい衝撃。しかし、こちらも十年近く歩き続けてきた身。
しっかりと踏ん張りさえすれば、先ほどの後回し蹴りに勝るとも劣らない衝撃でも、僕の足腰は十二分に耐えてくれた。

ジャンビーヤの刃とショボンさんのナイフの刃は互いの身を削りながら滑り合い、つばの部分でカチリと重なり合う。

 

 

360 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 16:57:03.95 ID: ZC1hkslO0
  _
(# ゚∀゚)「……この勢いの突きを受け止めるか。
     さすがの足腰だな……ここで殺すにゃ惜しいぜ!」

(; ゚ω゚)「……そりゃ……どうもだお」

ナイフ同士の戦いではめったに見られないつばぜり合い。
拮抗する力と力の狭間で、銀色の刀身と漆黒の刀身がぶるぶると震えた。

じりじりと互いが互いの隙を窺う中で、自然と、立ち位置が反対になった。

ジョルジュが扉を背に。僕がはるか後方の祭壇を背に。
そうやって至近距離で顔と顔を突き合わせる中で、ジョルジュが不意に笑う。
  _
(# ゚∀゚)「……このままじゃラチがあかねぇな……っとぃ!」

 

 

366 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 16:58:53.77 ID: ZC1hkslO0

(; ゚ω゚)「おっ!?」

ジョルジュが手首を巧みに使い、拮抗したつばぜり合いを上へ弾かせて解いた。
反動で僕たちの体がのけぞり、後方へ流れる。僕はよろよろと後ろへよろめくだけ。

しかしジョルジュは背にした扉にぶつかり、跳ね返される勢いを利用して、すぐさま突きを仕掛けてきた。
彼はそのように扉を用いるため、つばぜり合いの最中、自然を装い立ち位置を変えていたのだ。
  _
(# ゚∀゚)「そらそらぁっ! 右! 右! 左! 右!」

(; ゚ω゚)「おっ! おっ! おっ! おっ!」

まるで訓練時のように攻撃箇所を声に出しながらジョルジュが突いてくる。

つばぜり合いが解けた反動で体勢を崩していた僕だが、
ジョルジュのかけ声のおかげか、すれすれのところで受けることが出来た。

 

 

368 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 17:00:45.32 ID: ZC1hkslO0
  _
(# ゚∀゚)「うひゃひゃ! やるねぇ! だがしかーし! リズムに乗るぜ!」

(; ゚ω゚)「おっ! わっ! たっ!」

\(^o^)/「HEY!」

しかし、次々と繰り出される突きを受けるので精いっぱいの僕は、
前へ前へ踏み込んでくるジョルジュの成すがままに、じりじりと後ずさるしかなかった。

そしてちょうど祭壇、入口の扉、両方から等距離に離れた通路の上まで流されたその時、
わざとらしく大きく振りかぶられたジョルジュの横薙ぎを僕は受けとめ、僕たちは再びのつばぜり合いへと移る。

まるで誘導されるように移ったつばぜり合いに対し「なぜだ」と不審に思った直後、
間近に迫ったジョルジュの表情に思わぬ陰りが現れた。

 

 

375 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 17:03:03.10 ID: ZC1hkslO0
  _
( ゚∀゚)「……ブーン。ナイフを仕舞え」

(; ^ω^)「お? どういうことだお?」

虫の音のようなかすかな声がジョルジュの口から発せられた。
彼の言葉どおりにつばぜり合いを演じたまま、潜めた声で僕は聞き返す。
  _
( ゚∀゚)「これ以上の抵抗は無駄だ。あんたに勝ち目はねぇぞ。
     ここで降伏すりゃ、俺の権限で今回の件帳消しにしてやる。だからもう、こんな馬鹿な真似は止めろ」

(; ^ω^)「……残念ながら、それは無理な注文だお」
  _
( ゚∀゚)「なんでだ? そこまで必死になることか? 
     あんたが足を切り取られるわけじゃねぇ。あんたが足を切る取るわけじゃねぇ。
     切り取られるのはツンデレだ。切り取るのはこの俺だ」

(; ^ω^)「だからこそだお」

足を踏み込む。ナイフを握る両手に力をこめる。
演じているつばぜり合いとは到底考えられない力の拮抗の中、低く小さなジョルジュの声が聞こえる。

 

 

380 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 17:04:18.94 ID: ZC1hkslO0
  _
(  ∀ )「あんたさっき、俺のことが息子に思えてならねぇって言ったな? あれ……嬉しかったぜ」

( ^ω^)「……」
  _
(  ∀ )「俺も、いつの間にかあんたを親父みたいに感じてたよ。
     つっても、親父は俺が物心つく前に死んじまったから、親父ってのがどんななのかはわかんねーんだけどな。
     ただ、親父が生きていたら、きっとあんたみてーな感じなんじゃねーかなって思うよ。
     へへ、遺跡で初めて会った時はこぎたねーおっさんだとしか思ってなかったのに、不思議だよな」

照れくさいのか、顔をしかめて呟くジョルジュは、けれどもジャンビーヤにこめる力は緩めない。
発せられた嬉しい言葉に思わず緩みそうになった気を引き締め、僕も改めてナイフを握る手に力を込める。

 

 

383 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 17:06:02.49 ID: ZC1hkslO0
  _
(  ∀ )「オワタは口が軽いからな。もう聞いてんだろ? 
     俺はこれから長老になる。そんで、あんたと一緒にサナアをもっと良い町にしたいんだ」

( ^ω^)「……」
  _
(  ∀ )「あんたはサナアを気に入ってくれてる。
     だから、この伝統を隠し通しさえすれば、きっとあんたは二つ返事でサナアに留まってくれただろう。
     でもやっぱり、俺にはそれが出来なかった。あんたに嘘をつき続ける自信がなかった。つき続けたくなかった。
     あんたにはサナアのすべてを知ってもらって、その上で一緒にサナアを良くしたかったんだ」

( ^ω^)「じゃあ、ツンデレを僕の家によこしたのは……」
  _
(  ∀ )「そうさ。歩きたがってたあいつが、身の上話ついでに足を切る伝統のことを話してくれると思ったんだ。
     その上であんたが結婚式に参加してくれりゃ、あんたは伝統を知った上でこの町に残ってくれたことになる。
     しかし、実際はそうじゃなかったみてーだな。朝のあんたの一言で、こうなるだろうことは何となくわかってたよ」

発する声と同じように、ジョルジュがジャンビーヤにさらなる力をこめる。負けじと僕も。
全身全霊を込めたつばぜり合いはまだまだ続く。腕が、足が、ビリビリと痺れはじめる。

 

 

386 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 17:07:43.44 ID: ZC1hkslO0
  _
(  ∀ )「もちろん、この伝統が他の奴らからすればイカれたもんにしか思えねーのは承知してる。
     だけど、あんたなら理解してくれるはずだと思った。この伝統は、俺たちにとっちゃ正しいもんなんだよ」

( ^ω^)「……なぜ、そう言いきれるんだお? 伝統が正しいという保証はどこにもないお。
      頭のいいお前なら、足を切る伝統を疑ったことはあるはずだお?」
  _
(  ∀ )「あたぼーよ。昨日の夜まで疑ってたさ。
     ……いや、無理やり納得しようとしているが、今でも俺はこの伝統を疑ってるのかもしれんな」

(; ^ω^)「ならなんで……」
  _
(  ∀ )「そうするしかねーからさ!」

発せられたのは、やっぱりかすかな声。しかし僕には、それが叫びと同じくらい大きなものに聞こえた。
続けて、まるで声の強さに呼応するように、ジョルジュのジャンビーヤに力が込められる。

不意の出来事に、僕は思わず後ろへとよろめいてしまう。
直ちに足に力を込め、つばぜり合いをなんとか膠着状態にまで戻す。

 

 

390 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 17:10:04.46 ID: ZC1hkslO0
  _
(  ∀ )「俺だってな、ツンデレの足なんか切りたかねーよ! 
     好き勝手歩きまわってたあいつが……帰ってきて土産話するあいつの笑顔が好きだったからよ!
     だけどそうするしかねぇんだ! そうするしかねーんだよ!」

(; ^ω^)「おっ!?」
  _
(  ∀ )「考えてもみろ! こんな南の果てにあるサナアがどうしてここまで発展できたのかをよ!
     それはジャンビーヤの存在があったからなんだ! 好きな女の足を切る伝統があったからなんだ!
     その罪悪感がサナアの男をがむしゃらに働かせて、だからサナアは発展したんだ! 
     それ以外に考えられねーんだよ! やっぱりこの伝統は正しいんだよ!」
  _
( ;∀;)「他に答えがあるんなら教えてくれよ! なあ、ブーン!」

(; ^ω^)「!!」

潜められていても強く鼓膜を揺さぶる、震えた彼の声。同時に顔を上げた彼の眼からは、涙が流れていた。
小さなその体のどこにあるのかと疑うほどに、ジョルジュの腕に力がこもる。

彼の問いかけに答えられない僕は、せり合うジャンビーヤの押しに耐えきれなかった。
わずかずつではあるが確実に、じりじりと、僕の体は後方、祭壇の方へと追いやられていく。

 

 

394 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/19(水) 17:11:37.50 ID: ZC1hkslO0
  _
( ;∀;)「ツンデレを連れてサナアから逃げ出そうとも考えた! 実際そうした奴は何人か見てきたからよ!
     だけど、俺はサナアが好きなんだ! ツンデレと同じくらいにこの町が好きなんだよ!
     サナアを捨てることは、俺に取っちゃツンデレの足を切るのと同じくらい辛ぇことなんだよ!」

(; ^ω^)「ジョルジュ……」
  _
( ;∀;)「それに俺は長老の後継者だ! そのために俺は、恵まれた環境の中でここまで育てられてきたんだ!
     その期待を裏切れるか!? 好きな女一人のために、伝統をふいにすることなんて出来るか!?
     ツンデレには悪いけどよ、そんなこと出来るわきゃねーだろ!? 
     町を治める人間は、町を守るためならそれが悪行だってやんなきゃなんねー! 
     誰かを不幸にだってしなきゃなんねーんだよ! 
     マキャベリズムだ! いつかあんたがそう教えてくれたじゃねーか!」

吐き出された言葉に導かれ、いつかの夜、日が昇るまで講義したことを思い出した。

 

 

 

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