1 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 19:38:02.77 ID: 4cYfmL+Y0
【前回までのあらすじ】
どうしても靴下に穴が開いてしまうドクオは、いっそ全裸で生活しようと決めた。
開放感溢れる全裸ライフだったが、国家公務員の魔の手がドクオに迫る。
果たしてドクオのお尻は綺麗な方なのか。何故むだ毛を処理しているのか。
全ての秘密が裁判所で明かされようとしていた――。
('A`)「それでも僕はやってない」
2 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 19:40:44.02 ID: 4cYfmL+Y0
打倒オサムを決心していたブーンは
( ^W^)「まだかおー」
まだ城に残っていた。
第十九話「( ^W^)中間管理職は辛いようです」
3 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 19:43:27.28 ID: 4cYfmL+Y0
それは約一ヶ月前の事。
鼻息を荒くし、城を出発しようとしていたブーンを、シューが引き留めた。
lw´‐ _‐ノv「私と一緒に行くことになったから……」
( ^W^)「ん、わかったお」
lw´‐ _‐ノv「仲間を一人呼んである。待っててあげよう」
( ^W^)「把握した」
というやりとりがあったのだ。
そして現在に至るという訳である。
( ^W^)「来るの遅すぎるお……常識的に考えて」
5 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 19:46:15.65 ID: 4cYfmL+Y0
ちなみにシューは、ブーンよりも古参の、生粋の吸血鬼だ。
いわばブーンの上司に当たる存在である。
そしてシューが呼んだ仲間というのは、ここ数年で吸血鬼となった新参者。
つまりブーンの部下ということになるのだ。
( ^W^)(後輩かあ……女の子だったら嬉しいお)
さらに数日後。
待望の後輩がやってきた。
7 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 19:49:02.20 ID: 4cYfmL+Y0
(゚、゚トソン「初めまして。漆黒の堕天使、トソンです」
( ^W^)
すごい厨二臭だった。
( ^W^)「は、初めまして。ブーンだお」
(゚、゚トソン「シュー様。この方が私たちのボスなのでしょうか?」
lw´‐ _‐ノv「それは……無い」
(゚、゚トソン「やはり」
( ^W^)「むっかー」
多少苛つくことはあれど、一応は美人に分類されるであろう二人の手前。
小さなことで怒っていては、心の狭い男だと思われてしまう。
そう思ったブーンはぐっと怒りを呑んだ。
9 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 19:51:31.20 ID: 4cYfmL+Y0
( ;^W^)「とにかく、さっさと出発するお。
もしかしたらオサムはもう国内にいるかもしれないお」
lw´‐ _‐ノv「どうしてもっと早く出発しなかったの……」
(゚、゚トソン「全く。使えない上司ですね」
(#゚W゚)(誰を待ってたと思ってんだ!)
何はともあれ、ブーン一行はようやく城から出発した。
まずは彼らの城がある、帰らずの森から出なければならない。
( ^W^)「ここは行きと帰りで道順が違うんだお。お前は行きの道しか知らないだろ?」
(゚、゚トソン「あ、はい」
( ^W^)「おっおっ。ちゃんと道順を覚えてるから、ブーンについて来るんだお」
11 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 19:54:11.76 ID: 4cYfmL+Y0
帰らずの森は、立ち入った者が帰らなくなることから名付けられた。
不思議な魔力により、空間がねじ曲げられている事が原因である。
紫色の食虫植物や、奇形な動物、毒草が生い茂る妖しい森だ。
そこはまるで、あの世に通じているかのような不気味な空気が漂っていた。
( ^W^)「こっちだお」
分かれ道になると、ブーンが先陣を切って誘導する。
行きはよいよい、帰りは怖い、ではないが、森から出る複雑な道順を覚えているのはブーンだけだ。
lw´‐ _‐ノv「いや、こっちの道な気がする……」
しかし上司は聞き分けが無い。
( ;^W^)「こっちの道が正しいんだお。
この森には渡辺が召還した魔獣がうようよいるから、道を間違えると大変だお」
13 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 19:56:56.24 ID: 4cYfmL+Y0
lw´‐ _‐ノv「大丈夫……米を愛する者だけが見える米神がこっちだと告げている……」
( ^W^)「えぇ……何その局地的な神」
(゚、゚トソン「私はシュー様に従います」
( ;^W^)「ええぇぇ――! 米神だぞ!?」
勝手に進んでいく二人を、ブーンが慌てて追う。
( ;^W^)「本当に危ないんだお!」
lw´‐ _‐ノv「危険が酒のツマミさ……」
( ^W^)「何を言っているんだこいつは……」
二十分後。
14 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 19:59:21.27 ID: 4cYfmL+Y0
派/゚皿゚) グルルルルル…
牙を剥いた獰猛な魔獣が、三人の前に立ちはだかった。
( ^W^)「なんてこったい……」
lw´‐ _‐ノv「どうしてこっちの道を選んだの……」
(゚、゚トソン「全く。使えない上司ですね」
(#゚W゚)「殺す……」
魔獣との戦いは壮絶な死闘となった。
二時間の奮闘の末、命からがら逃げおおせる事に成功する。
ただし戦っていたのはブーンだけだった。
15 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 20:02:02.72 ID: 4cYfmL+Y0
(メ^Wメ)「歴戦の戦士みたいになっちゃったお」
lw´‐ _‐ノv「かっこいいー」
(゚、゚トソン「かっこいいー」
(メ^Wメ)「あからさまなお世辞でも、ちょっと嬉しい自分が悲しい」
気を取り直し、一旦分岐点まで引き返す。
( ^W^)「さあ、数行で傷も治ったし、一気に森を抜けるお!」
※ ここからはレス数の都合上、例によってダイジェストでお送りします。
18 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 20:05:23.07 ID: 4cYfmL+Y0
( ^W^)「こっちだお」
lw´‐ _‐ノv「いや、こっちな気がする」
-=(((派/゚皿゚) -=(((( ;^W^)
( (#)W^)「さあ、ここを曲がって……」
lw´‐ _‐ノv「男……いや、漢なら直進あるのみ」
-=((((派/゚皿゚)゚皿゚) -=((((;(#)W^) ッパネェ! マジパネェ!
(;;;(#)W゚)「ここは絶対左が正しい……」
lw´‐ _‐ノv「いや、左は罠だよ。クラピカもそう言っていた」
グルルル… フゥゥ…
派/゚皿゚)/゚皿゚)/゚皿゚)
派/゚皿゚)/゚皿゚)/゚皿゚) (#)W゚;;;) モウダメ カモワカランネ…
派/゚皿゚)/゚皿゚)/゚皿゚)
シャー
20 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 20:07:23.78 ID: 4cYfmL+Y0
(;メ(#)Wメ)「前が見づらいお……」
lw´‐ _‐ノv「どうして魔獣に会うの……」
(゚、゚トソン「全く。使えない上司ですね」
(;メ(#)Wメ)「死にたくなってきた……」
数々の修羅場をくぐり抜け、森を出た頃には、夜が明けそうになっていた。
三人はオサムと違い、陽の光に極端に弱い。
ひとまず近くの洞穴に避難し、その日の旅は終わった。
そして次の日(の夜)。
23 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 20:10:01.12 ID: 4cYfmL+Y0
日が完全に落ちると、三人は洞窟から出てきた。
空にはまん丸い満月が輝き、月光が彼らを出迎える。
( ^W^)「いい月夜だお」
lw´‐ _‐ノv「月を見ていると思い出すわね」
( ^W^)「何を?」
lw´‐ _‐ノv「忘れたけど」
( ^W^)「それ思い出せて無い……」
その時、トソンの耳がぴくんと動いた。
何かを探すように、きょろきょろと顔を動かす。
(゚、゚トソン「人の気配がします。一人……子供ですね」
( ^W^)「おっ?」
24 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 20:12:39.24 ID: 4cYfmL+Y0
lw´‐ _‐ノv「彼女、耳が良いのよ。目は見えてないんだけどね」
( ^W^)「そうなのかお。気付かなかったお」
トソンは視力が無い代わりに、“音”で物を見る。
彼女にかかれば心臓の鼓動はもちろん、血管を流れる血液でさえ認知出来るのだ。
半径数百メートル内の音は、全て拾う事が出来る優れものの耳なのである。
(゚、゚トソン「ここから約200メートル先……林の中にいます」
lw´‐ _‐ノv「良いお弁当が出来たね」
( ^W^)「おっ……」
シューはトソンを連れて、林の中に歩いていった。
二人は吸血鬼、人間の血こそが至高の食料なのだ。
( ^W^)「……」
26 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 20:15:09.72 ID: 4cYfmL+Y0
:
:
:
:
:
:
:
:
:
:
lw´‐ _‐ノv( ^W^ )(゚、゚トソン「……」
彼らが見つけたのは、一人の少女だった。
フラフラと危なげな足取りで、杖を突きながら歩いている。
その姿を、三人は草むらに隠れつつ眺めていた。
lw´‐ _‐ノv「どうする?」
(゚、゚トソン「どうする、とは?」
lw´‐ _‐ノv「誰から吸うかって事」
( ^W^)「……その事なんだけど」
29 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 20:17:26.94 ID: 4cYfmL+Y0
lw´‐ _‐ノv「あ、転んだ」
( ^W^)「……聞いてるのかお」
lw ‐ _ ノv「……ブーン」
l ‐ ノv「貴方もしかして……」
( ;^W^)「!」
シューの体が、空気にとけ込むように消えていく。
姿だけでなく、気配すらその場から消滅してしまった。
( ;^W^)「あの子を……」
l ‐ ( ;^W^)「助けよう……なんて」
lw´‐ _(゚W゚; )「考えてないよね……?」
ブーンが彼女を知覚したのは、完全に背後を取られた後だった。
のど元にナイフを突き立てられ、ブーンは身動きが出来ない。
少しでも返答を間違えば殺される。
彼女はそんな殺意に充ち満ちていた。
31 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 20:19:57.17 ID: 4cYfmL+Y0
(^W^; )「ち、違うお」
lw´‐ _‐ノv「じゃあ何」
(゚、゚;トソン「……」
(^W^; )「こ、子供だから、だお」
ブーンは必死に考え始めた。
この危機的状況を切り抜ける策を。
(^W^; )「子供だから、血は少ないお。大人になるまで待った方がお得だお」
lw´‐ _‐ノv「どのくらいお得なの」
(^W^; )「に……二斗くらい……かな」
lw´‐ _‐ノv「……」
沈黙が流れた。
トソンの耳には、ブーンのはち切れそうな心臓の鼓動が届いていた。
33 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 20:21:56.86 ID: 4cYfmL+Y0
lw´‐ _‐ノv「それ……」
(^W^; )「……」
(゚、゚;トソン「……」
lw´‐ _‐ノv「それ超お得じゃん!!!」
ナイフが、そっと首元から離れる。
ブーンは死の恐怖から解放された。
(゚W゚ )(助かった……アホで助かった――――!!!)
(゚、゚;トソン「ホ……」
lw´‐ _‐ノv「それやばいよね。二斗ってお前……もっと早く教えてよ」
( ;^W^)「す、すまんお」
35 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 20:24:16.02 ID: 4cYfmL+Y0
lw´‐ _‐ノv「あ、また転んだ」
( ^W^)「おっ……」
シューの目線の先で、先ほどの少女の姿がある。
この辺りに人間、それも女の子が一人でいるのは相当奇妙な事だ。
ブーンはそれがわかっていたので、その少女に少し興味があった。
それが助けた理由の一つでもある。
( ^W^)「ちょっと話しかけてくるお。もしかしたら道に迷ったのかも」
lw´‐ _‐ノv「ロリコン」
( ^W^)「あえて否定はしない」
(゚、゚トソン「……私も行きます」
lw´‐ _‐ノv「はいはい。じゃあ私は先に行くね」
シューはその場にしゃがみ込むと、足のバネを使って大きく跳躍した。
頂点に達する前に、傍に生えていた大木の腹を蹴り、斜めに飛んでいく。
木々の間をはね回るようにして、彼女は林の奥へ消えていった。
39 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 20:26:27.06 ID: 4cYfmL+Y0
(゚、゚トソン「……」
( ^W^)「……お前はシューについて行かなくて良かったのかお?」
(゚、゚トソン「あの人間に興味があるので」
( ^W^)「僕もだお。じゃ、颯爽と登場するかお」
:
:
:
(#゚;;-゚)「はぁ……」
少女は煌々と照る月を眺めながら、ため息をついた。
頭の上に広がる壮大な星空を楽しむ余裕は、残念ながら持ち合わせていない。
飲まず食わずで何時間も歩いていたので、既に体力が限界だったのだ。
(#゚;;-゚)(私……死ぬんだ。ここで……)
43 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 20:28:29.80 ID: 4cYfmL+Y0
それでもいいかと、少女は考えた。
大好きだった両親に、会える事が出来るのだから。
(#゚;;-゚)(今……私もそっちに……)
仰向けに寝ころぶと、胸の前で手を組み、少女は目を瞑った。
獣に襲われず、飢えで死ねたらいいな、そう思って。
「……お」
(#゚;;-゚)「……」
「風邪引くおー」
(#゚;;-゚)「だ、誰……!?」
45 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/04/03(木) 20:30:42.31 ID: 4cYfmL+Y0
どこからともなく聞こえてきた声に反応し、少女は体を起こした。
背後に気配を感じ、恐る恐る振り向く。
(#゚;;-゚)「……!」
( ^W^)「こんばんわ」
(゚、゚トソン「闇を糧に生きる、美少女ヴァンパイアトソンと申します」
( ;^W^)「自己紹介がヴァージョンアップしてる……」
(#゚;;-゚)「……???」
それが、彼女とブーンたちの、最初の出会いだった。
( ^W^)「二十二話に続くんじゃ」
第十九話「( ^W^)中間管理職は辛いようです」 完