1 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:02:48.49 ID: eWumsmKr0

【前回までのあらすじ】

モンキー・パンチを外人だと思っていたドクオは、恥ずかしさのあまりうどん屋を開業した。
店が軌道に乗ってきた矢先、地球に隕石が衝突するという事実を知らされる。

高校の時天文部だった事を買われ、ドクオは地球を救うべく、宇宙へ飛び立つ事に。
愛する人が見守る中、ドクオは宇宙船へと乗り込んでいった。

( 'A)b(墓場鬼太郎の録画……頼んだぜ)

 

 

3 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:04:53.21 ID: eWumsmKr0
 
貞子たちが城を出発してから、今日でちょうど2週間が経つ。
港町シップボードを目指し、今日も彼らは旅を続けている。

川 ゚ー゚)「いやあ、それにしてもこの二週間は大変だったな」

从 ゚∀从「そうだな。まさかドラゴンに襲われるなんて」

川*д川「横堀くんが機転を利かしてくれたから……助かったんだよね……」

(//‰ ゚)「イエイエ 私ハ タダ 山芋ヲ スッタダケ デスカラ」

(,*゚Д゚)「ニャーゴルァ」

/ ゚、。 /『ま、全部カットされたんすけどねwwwwwwwwwwwww』

 

第十八話「お色気の街 ピンクボード」

 

 

5 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:07:13.57 ID: eWumsmKr0
         
殺風景な平野に囲まれた、騒々しい街がある。
毒々しい色をしたランプの明かりと、退廃的な空気に包まれた街、ピンクボード。
季節感を無視した、露出度の高い女たちが、月夜の街を闊歩する。

この街は昼の間、死んだように静けさに包まれる。
太陽が落ち、月が顔を出し始める時、街は初めて生気を帯びるのだ。
貞子たちは、今日の夕方にこの街に辿りつき、今は宿屋を探す為に街を探索しているところだった。

酔っぱらいの嬌声と、呼び子たちの商戦が、眠らない街を彩る。
街をうろついている内に、彼女たちは幾度となく声をかけられた。

从#゚∀从「うぜえなあ……ナンパもいい加減にして欲しいぜ」

(//‰ ゚)「ココハ 隔離サレタ 歓楽街デスカラ 仕方無イデスヨ
     多クノ 駄目人間ガ 心ノ オアシスヲ 求メ ココニ 集マルノデス」

川 ゚ -゚)「お前以外と毒舌だな」

从 ゚∀从「ていうか、何でこの街のこと知ってるんだ?」

(//‰ ゚)「私ノ 脳内データベースハ 108メガ マデ アリマス」

川;д川「頭痛くなってきたぁ……」

 

8 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:09:41.15 ID: eWumsmKr0

色つきのランプのせいで、貞子の目がチカチカしてきた。
昼間からずっと歩きっぱなしのせいで、足の方も限界が近づいている。
早く宿屋を見つけ、腰を落ち着かせたい彼らだったが、目に入ってくるのはいかがわしい店と飲み屋だけである。

从;゚∀从「腹減ったー。食いもん屋に入ろうぜー」

川;д川「でもお酒の店しか無いよ……」

川 ゚ -゚)「ふん。酒も飲めないのか貴様ら」

从 ゚∀从「飲めねーよ。俺らまだ十七だし」

川;゚ -゚)(私の一個上だと……? よもや一番年下なのは私か……?)

ちなみにクーも酒は飲めない。

 

10 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:11:49.63 ID: eWumsmKr0

/ ゚、。 /『俺は二十歳だから飲めるっすよwwwwww死wwんwwでwwるwwけwwどwwww』

从 ゚∀从「なあ横堀。近くに村とか無いのか?」

(//‰ ゚)「ピピピカリカリカリ コノ近クニ 村ハ アリマセン
     ズット 平野ガ 広ガッテイマス」

从 ゚∀从「仕方ねえから、街の外でテント張ろうぜ」

川 ゚ -゚)「せっかく街に着いたんだから、ベッドの上で眠りたい。そんな乙女心を持つ私なんだが」

从 ゚∀从「うぜえ……」

その時、前から歩いてきた男の肩が、ハインにぶつかった。
よそ見をしていたので、尻餅をつくかたちでハインはこけてしまう。

 

11 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:14:16.51 ID: eWumsmKr0
 
(=゚ω゚)ノ「ごめんよぅ」

男は短い謝罪だけで、さっさと通り過ぎていった。

从 ゚∀从「いってえなあ、ちくしょう。踏んだりけったりだな」

川 ゚ -゚)「泣きっ面に蜂(笑)」

从 ゚∀从「うぜえ……」

その後もクーのわがままにより、彼らは宿屋を探し続けた。
途中知らない男に貞子がナンパされたり、貞子が連れ去られそうになったり、貞子が痴漢に遭ったり。
その度に横堀の胸から火が噴いたりしたが、宿屋は中々見つからなかった。

もうすぐ街を一周してしまう。
彼らが諦めかけたとき、ようやく宿屋っぽい店を発見した。

 

 

13 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:16:57.29 ID: eWumsmKr0
 
【休憩所:いっちょめ】

川;д川「……」

从;゚∀从「……」

川*゚ -゚)「……」

(//‰ ゚)「イヤア 良カッタ 良カッタ 普通ノ 宿屋ガ アッテ」

从#゚∀从「何処がだ!」

(,,゚Д゚)「入ろうぜ。入るしか無いだろ。入れ!」

从#゚∀从「設定を無視して言葉を喋るな!」

/ ゚、。 /『ハァ……ハァ……』

从 ゚∀从「喘ぐな――!」

 

15 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:19:01.53 ID: eWumsmKr0
 
肩を組んだ男女が、頻繁に出入りしている休憩所いっちょめ。
入り口の上に掲げられた、ピンク色の看板には、悪趣味なハートが散りばめられている。

見た目は小さな宮殿だが、建っている場所が場所だけに、怪しさが半端では無い。
ピンク色の外壁に、所々ゴールドの装飾がされていて、安っぽい派手さを感じる。

川;д川「……入る?」

从*゚∀从「え?」

川;д川「だって……ここしか無いよ……」

从;゚∀从「お前、ここがどういう場所かわかってんのか?」

川 ゚ -゚)「わかっててもベッドで眠りたい。そんな乙女心」

从 ゚∀从「うぜえ……まあいいけどさ」

 

 

16 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:21:47.58 ID: eWumsmKr0
 
(//‰ ゚)「ッシャア!」

(,*゚Д゚)「ニャーゴルァ!」

从 ゚∀从「男と女で部屋分けるからな」

(//‰ ゚)「……」

(,,゚Д゚)「……ごるぁ」

中に入ると、外壁と同じピンク色の壁と、薄暗い照明が彼らを出迎えた。
入り口のすぐ傍に小さなカウンターがあり、そこで受付が出来るようになっている。

カウンターに座っていた小太りの男が、彼らを見つけて顔をほころばせた。
ハインたちが近づいていくと、男はもみ手のポーズで話しかけてきた。

 

18 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:24:12.27 ID: eWumsmKr0
 
小太り「いらっしゃいませぇ」

从 ゚∀从「部屋、二つ空いてる?」

小太り「空いてますよぉ。若いのにお盛んですねぇ」

(//‰ ゚)「ハハハ 若イカラコソ デスヨ」

川д川「横堀くん……何言ってんの……」

小太り「料金は一部屋が、一晩につき30G。2時間なら10G。3時間は12G……」

从 ゚∀从「一泊したい」

小太り「ひひひ……わかりました。ゆっくりお楽しみくださぁい。鍵です。どうぞ……」

 

20 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:27:07.80 ID: eWumsmKr0
     
渡された二つのプレートキーを手に、ハインたちは廊下の奥へ進んでいった。
廊下の両側には部屋が並んでいて、扉の上に部屋番号が書いてある。

扉の前を通り過ぎる時、しばしば「庵っ 庵っ」等の声が部屋から聞こえてきた。
ハインたちは顔を赤らめながら、無言で通り過ごしていく。

从*゚∀从「えっと……あった。この部屋だな」

目当ての部屋は、廊下を挟んで向かい合っていた。
ひとまずハイン、貞子、クーと、横堀、ギコの組で、両側に分かれる(鈴木はどっか遊びに行きました)。

【女部屋】

川*д川「うわあ……」

从*゚∀从「うわあ……」

川*゚ー゚)「うっほぁ……」

部屋の壁は当然の如くピンク色で、シャワー室はガラス張り。
壁にかかっている絵画は全て裸婦の絵である。

部屋の中央には、肌色をした大きなベッドが一つ。
他にはソファーと、背の低い棚が壁際に陳列している。
棚の上でお香が焚いてあり、甘い香りが部屋中に充満していた。

 

21 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:28:52.54 ID: eWumsmKr0

川;д川「ベッド一つしかないね……」

从 ゚∀从「女同士だし、まあ気にしないようにしようぜ」

川*゚ -゚)「……」

从;゚∀从「……お前はソファーで寝ろよ」

川 ゚ -゚)「えぇ……」

川;д川;゚∀从(危険を感じる……)

川д川「あ、ハイン……お金大丈夫だよね」

从 ゚∀从「まだ全然あるはずだぜ」

 

 

24 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:31:24.19 ID: eWumsmKr0
 
ハインたちは、城の財宝の一部を持ち出し、最初の街で換金していた。
何処から集めたものなのか、目玉が飛び出る程の価値があり、旅の資金には十分な額が手に入った。

从 ゚∀从「ほら、ちゃんとここに……」

从;゚∀从「……」

川;д川「……?」

从;゚∀从「……無い」

川゚д川「ええ――!」

川;゚ -゚)「落としたのか!?」

从;゚∀从「そんなはずは……」

川;д川「ひょっとしたら、横堀くんたちが持ってるかも……」

 

26 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:33:46.17 ID: eWumsmKr0
 
【男部屋】

(//‰ ゚)「ア 皆サン」

从;゚∀从「横堀。お金の入った袋、知らないか?」

(//‰ ゚)「ハイン サンガ 持ッテイル ハズデハ?」

从;゚∀从「それが無いんだよ。どっかで落としたのかも」

川д川「……あ、そういえばハイン。一度男の人にぶつかったよね……?」

川 ゚ -゚)「……スられたな」

从; ∀从「くそ! やられた!」

川;д川「早く取り返さないと……!」

 

27 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:35:20.57 ID: eWumsmKr0
 
川 ゚ -゚)「無駄だ。一流のスリはスった後、街を出て行く。
     誰も気がつかない程の手際を持った者なら、その辺も心得ていることだろう」

从;゚∀从「ど、どうしよう。とりあえずここを出て……」

――コン コン

部屋をノックする音が聞こえた。
横堀がドアを開けると、店主がにやけた顔で姿を現した。

小太り「いやぁすみません。ちょっと料金のことで、話し忘れた事がありましてねぇ」

从;゚∀从「あ、その事なんだけどさ……」

小太り「この店、キャンセルとか出来ないんですよ」

川 ゚ -゚)「え」

 

30 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:38:14.99 ID: eWumsmKr0
 
从;゚∀从「マジ?」

小太り「マジマジ。だから、延長とかする場合は、気をつけて下さいねぇ」

川;д川「あ、あのっ……」

小太り「お金が払えないなんてことになったら……ひひひ。
    働いて返してもらいますからねぇ」

(//‰ ゚)「働ク トハ?」

小太り「私はもう一つ店を経営してましてねぇ。
    ヌルヌル☆エロポリスって店なんですけど……」

从 ゚∀从「ヌルヌル!」

川*゚ -゚)「エロポリス!」

川;д川(果てしなく淫猥だぁ……)

 

33 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:41:32.60 ID: eWumsmKr0
 
小太り「ちゃんと料金の方お願いしますねぇ……ひひひひ」

油がのった顔を歪ませて、不快な笑い声を発しながら、店主は部屋から出て行った。
呆然としているハインに、横堀がそっと声をかける。

(//‰ ゚)b「大丈夫 私ガ 指名シテ アゲマス」

从#゚∀从「働かねえから! 絶対働かねえから!」

川 ゚ -゚)「うまくやれるかな」

从;゚∀从「やる気まんまんかよ!」

川 ゚ -゚)「元はと言えばお前のせいだぞ」

从 ゚∀从「それを言われると辛い……。でも一応言っておくとお前の金じゃないんだぞ」

川;д川(どうしよぅ……)

極彩色の部屋の内装が、貞子の焦燥を余計にかき立てた。
このままではヌルヌル☆エロポリスで働かなくてはならなくなる。

ていうか何なんだろうヌルヌル☆エロポリスって。
ポリスだから警官なんだろうか。
ヌルヌルしててエロい警官のことなんだろうか。
正直な話、今の僕には理解出来ない。

 

35 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:44:30.85 ID: eWumsmKr0
 
从;゚∀从「もう駄目だ! 逃げよう!」

川;д川「逃げるっていっても何処に……!」

川 ゚ -゚)「私は敵に背を向けん主義だ!」

(//‰ ゚)「ヌルヌル!」

(,*゚Д゚)「ゴルァ☆ゴルゥラァ!」

从#゚∀从「うるせ――!」

部屋に騒々しさと混沌が増す。
収拾がつかなくなった彼らは、しばらく言い争いを続けていた。

すると

*(#‘‘)*「ちょっと! うるさいわよ貴方たち!」

从 ゚∀从「へ?」

川;д川「ご、ごめんなさい……」

突如部屋のドアが開かれ、髪を二つ結びにした女が現れた。
よほど興奮しているらしく、女は怒鳴り散らすのをやめない。

 

37 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:46:22.55 ID: eWumsmKr0
  
*(#‘‘)*「こういう場所ではね! 静かにプレイするのがマナーでしょうが!
      そんなに大人数でやってたらそりゃあ騒いじゃうかもしれないけどさ!
      猿じゃあるまいしもっと冷静にかつ情熱的にしっとりねっとりとプレイ出来ないの!?」

何か勘違いしていた。

(//‰ ゚)「ハッハッハ ツイツイ 盛リ上ガッテ シマッテ」

从 ゚∀从「お前黙ってろ」

川 ゚ -゚)「静かにして欲しくば金をくれ」

*(#‘‘)*「はあ?」

川;д川「ちょ……」

川 ゚ -゚)「今金が無いんだ。このままだと私たちは、ヌルヌル☆エロポリス行きになってしまう」

*(;‘‘)*「ぬ、ヌルヌル……」

ヌルヌル☆エロポリスという単語に、女は嫌悪感を露わにし、後ずさる。
この店名を考えた者は心底変態なのだろう。

 

40 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:48:41.52 ID: eWumsmKr0
 
*(‘‘)*「さてはアンタたち、スられたね?」

スリの多い街なのか、女はクーたちがスられた事をあっさりと見抜いた。

川 ゚ -゚)「ククク……ご名答だ」

*(;‘‘)*「む、無駄にかっこいい……」

*(‘‘)*「そうそう、良い考えがあるわ。コンテストの事は知ってるでしょ?」

コンテスト、と言われても何の事かわからなかった。
貞子たちはしばし顔を見合わせ、誰も知らないということを確認してから聞き返す。

 

43 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:51:01.94 ID: eWumsmKr0

川д川「いえ、知りません……」

*(‘‘)*「一週間後、街の広場でコンテストがあるの。それで優勝すれば1000Gもらえるのよ」

一週間二部屋を貸し切ったとすると、30×2×7で420G。
もしも優勝すれば、余裕でおつりが返ってくる額だ。

从 ゚∀从「コンテストって、何を競うんだ?」

*(‘‘)*「あんたたち本当に何も知らないのね。
     ピンクボードの美少女コンテストは、結構有名な大会なのよ」

 

44 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:52:45.16 ID: eWumsmKr0

ピンクボードで毎月行われている、ザ・ビューティフルガール・コンテスト。
略して美女コンは、かなりの歴史をもっている伝統行事である。

第一回開催は、何と300年以上昔のことで、初代優勝者は今でも伝説になっている。
どういう伝説かというと、打ち上げで用意していた酒樽を、全て一人で飲み干したというものだ。

*(‘‘)*「その少女はキング・オブ・ドランカーの名を意のままにし、酒飲みたちは彼女を女神として崇め……」

川 ゚ -゚)「すまん。そこら辺かなりどうでもいい」

*(‘‘)*「あらそう?」

从 ゚∀从「よし、俺たちでそのコンテストに出るぞ! もはやそれしか方法が無い!」

多少自信があるのか、息巻いて喋るその姿は、先ほどとは打って変わって明るい。

 

47 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:54:46.65 ID: eWumsmKr0

川;д川「む、無理だよぉ……」

対照的に、貞子は自信なさげにそう漏らした。
しかしハインは聞いていない。

川 ゚ー゚)(私という美少女がいるなら、優勝は確実というものだな)

(//‰ ゚)(コンテスト……カ)

(,*゚Д゚)(猫のコンテストはしねえのかな)

从*゚∀从(俺の人気上昇フラグ!)

川;д川(本気で出る気なのかな……)

 

50 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:57:14.30 ID: eWumsmKr0
  
*(‘‘)*「私の名前はヘリカル。コンテストに出るなら、ライバルになるわね」

从 ゚∀从「お、あんたも出るのか」

*(‘‘)*「ええ。先月は準優勝だったから、今月こそはってね」

毎月行われるので、簡単にリベンジ出来るのがこのコンテストの利点だ。
ヘリカルは「じゃ、一週間後に」と別れを告げ、部屋を出て行った。

从*゚∀从「明日からコンテストについての情報収集だな」

川;д川(うわぁ張り切ってるなあ……)

貞子はもう逃げられない事を悟った。

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51 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 00:59:45.61 ID: eWumsmKr0
 
貞子たちは、店主に延長する旨を伝えると、ベッドに倒れ込むように眠りについた。
月は地平線の上に落ちていて、もうすぐ夜が明ける頃である。
しかし休憩所いっちょめの店主は、街に静けさが戻りつつあっても、まだ眠らないでいた。

「ごめんよぅ」

店の入り口から、一人の男がやってくる。
男は近くに誰もいない事を確かめると、懐から革袋を取りだした。

(=゚ω゚)ノ「お前の取り分だよぅ」

小太り「いつもすいませんねぇ」

(=゚ω゚)ノ「宿代だから別にいいよぅ。
     でもまとまった金が手に入ったから、俺はもうこの街を出るよぅ」

小太り「ほう、それまたどうして?」

 

52 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:01:36.55 ID: eWumsmKr0
 
(=゚ω゚)ノ「一流のスリとして、リベンジがしたいんだよぅ」

小太り「ははぁ。一ヶ月前のあいつらですね?」

(=゚ω゚)ノ「そうだよぅ。あの銀髪とチビ女には、痛い目にあったから……。
     じゃあな。全部終わったら、今度は観光でここに寄ってみるよぅ」

小太り「どうかお気をつけて……」

男は颯爽とのれんをくぐり、外へ出て行った。
姿が消えると、店主は革袋に入っていた金貨を並べて、金勘定を始める。

小太り「ひっひっひ。地獄の沙汰も……てね」

金勘定が終わると、金貨を袋に戻し、カウンター奥の部屋にある金庫に収める。
「お金の夢が見られますように……」ソファーに体を沈め、店主はそっとまぶたを閉じた。

 

54 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:03:30.35 ID: eWumsmKr0

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57 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:05:01.47 ID: eWumsmKr0
  
【コンテスト当日】从;゚∀从「早っ!」

街の中央広場に、特設のステージが作られていた。
噴水の水は今日だけ止められていて、
代わりに色とりどりのイルミネーションで飾られている。
満月の夜に、その装飾だらけの噴水は素晴らしく映えていた。

街中の人間が集まっているので、広場は大勢の人でごったがえしている。
ハインたちは衣装の入ったバッグを落とさないように気をつけながら、
ステージ横のテントを目指し、人混みの中を突っ切っていた。

从#゚∀从「どけこらあ! 殺すぞ!」

( ;´ー`)「ひぃ! おたすけ!」

(;-@∀@)「シラネ氏。こっちに来るでござる」

( ´ー`)「おおあさぴー氏。今行くぴょん!」

 

62 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:06:26.53 ID: eWumsmKr0
 
从 ゚∀从「ったくオタク共め……」

川 ゚ -゚)「おいお前。さっきからあの暗い女の姿が見えんぞ」

从;゚∀从「貞子のことか? あれ、本当にいねえ……」


ハイーン! 横堀ー! 助けてー!

川 ゚ -゚)「人混みにのまれてるみたいだ」

从 ゚∀从「横堀がいるではないか。行け」

(//‰ ゚)「ラジャー」

ゴオオオオオオオオ――!

 

63 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:08:28.34 ID: eWumsmKr0

「ぎゃああああああ!」

「何だこいつ! その足から出てるやつなんだよ!」

(//‰ ゚)「ロケットブースター デスガ 何カ?」

「何かって……うわあ! こっち向けるな! 熱い!」

从 ゚∀从「貞子はあいつに任せよう」

川 ゚ -゚)「うむ。良い判断だ」

混乱に乗じて、ハインたちはすいすい人混みをかき分けていく。

 

64 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:09:55.73 ID: eWumsmKr0
 
全員がテントに到着出来るまで、三十分かかった。
横堀が大乱闘を起こさなければ、もっと早く着けたことだろう。

受付「受付はこちらです。こちらのフォームに記入して下さい」

从 ゚∀从「はいはい」

川 ゚ -゚)(スリーサイズを書く欄がある……少し水増しさせておくか)

川;д川「やだーこれ体重も書かなきゃいけないんですかぁ……?」

受付「個人情報は保護しますので、恐れ入りますが……」

書類には名前、年齢はもちろん、職業、出身地、家族構成。
性格、スリーサイズ、チャームポイント、etc……細かく書かなければならないようである。

 

66 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:12:17.29 ID: eWumsmKr0
 
从 ゚∀从「書けたぞ」

川 ゚ -゚)「私も」

川*д川「恥ずかしい……」

受付「……はい、いいみたいですね。
   コンテストが始まりましたら、受付の順番でステージに上がってもらいます。
   それまでに奥のテントで着替えを済ませておいて下さい」

川д川「わかりました」

从 ゚∀从「横堀。観客席で暴れんなよ」

(//‰ ゚)「エエ モチロン」

(//‰ ゚)(観客席デハネ……)

 

67 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:14:49.30 ID: eWumsmKr0
 
そして、遂にコンテストが始まった。

司会「レディースエーンドジェルトルマンタチィィィィ!!!」

観客「「「オ――!!!!!!」」」

司会「遂に始まりました! ピンクボードで最も熱い夜ッ!
   若さ溢れる天使たちがステージの上に舞い降りる夜があああ!」

( *´ー`)「おおおお――――!」

(-@∀@)「いやっほー!」

司会「司会は私司会が。そして実況はもちろん――」

実況「私、実況が勤めさせていただきます」

 

68 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:17:00.31 ID: eWumsmKr0
 
司会「もはやルール説明は無用だと思いますが、ここでもう一度確認しておきます。
   参加者の方は一人ずつステージに出て、五分間の自己アピールをしてもらいます」

実況「やはり脱ぐんでしょうか?」

司会「脱ぎません。分かってて聞かないで下さい。
   そして全ての参加者がアピールを終わり次第、審査員の方たちから
   優勝者、準優勝者を発表していただくという事になっております」

実況「ドキがムネムネしてきました」

司会「はい。それではごたくはこのくらいにして……早速始めたいと思います!」

( *´ー`)「宴じゃ宴じゃー!」

(-@∀@)「シラネ氏が輝いている……!」

 

72 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:19:27.39 ID: eWumsmKr0
 
司会「エントリーナンバー1番!
   前回惜しくも準優勝だったツンデレツインテールが帰ってきた! ヘリカルッ!」

観客「おお! ツンデレ姫のヘリカルが帰ってきた!」

*(‘‘)*「はーい」

司会「これは凄い! 前回を越える大胆な衣装で現れました!
   詳しい描写をするとこの作品がR-18指定になるのでしませんが、
   観客も審査員もウハウハなんじゃないでしょうか!」

実況「キタ――――――!!!!!」

司会「ああ……実況が一番ウハウハでした」

*(*‘‘)*「べ、別にあんたたちの為に来たんじゃないんだからねっ!」

司会「何というテンプレート! しかし赤らめた頬が最高にキュートです!」

 

74 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:22:05.83 ID: eWumsmKr0
 
*(‘‘)*「えっとー、歌を歌うので聴いてください。
     聴きたくない奴は帰っていいんだからねっ!」

観客「帰りませーん!」

( ´ー`)「帰ってたまるものか!」

(-@∀@)「この耳に全てを集中させるまででござる!」

司会「今回もヘリカルさんの美声が聞けるようですよ」

実況「オリコンチャートではトップテンに入る腕ですからね。今回も期待しています」

司会「オリコンチャート? 初めて聞きましたが、何処が調べたものですか?」

実況「私の脳内です」

司会「さあヘリカルさんに歌っていただきましょう!
   伴奏はヘリカルファンクラブの皆さんで、曲名は”越冬ズワイガニです”!」

 

76 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:24:38.18 ID: eWumsmKr0
 
曲:越冬ズワイガニ  唄:*(‘‘)*

寂しい秋を通り越し  冷たい冬がやってくる
ことしも私は横歩き  お歳暮まで待っててね

(サビ)
ああ春はまだかしら  つめたい海の底だけが
貴方を待ってる私の居場所  誰にも私に気がつかない

 

宴会料理で並んでも  私に見向きもしないのね
カニ用ハサミがあるじゃない  恥ずかしくて使えない?

(サビ)
ああ今日も手つかずね  貴方の秘密知ってるわ
重度の甲殻類アレルギー  いつでも私は残り物

 

78 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:26:29.72 ID: eWumsmKr0
 
観客「ヘリカル可愛いー!」

*(‘‘)*「べ、別に嬉しくないんだからねっ!」

司会「これでアピールタイムは終了です! いやあ素晴らしい歌声でしたね」

実況「食べて欲しい……でも食べて貰えない……。
   そんなカニの切ない感情が込められていましたね。
   まあ私もアレルギーなんで見るのも嫌いなんですが」

司会「聞いてません。それにしてもトップバッターがヘリカルさんというのは、
   後に続く者たちにとってかなりのプレッシャーになりそうですね」

実況「ヘリカルさんは彼氏とかいるんでしょうか?」

司会「知りません」

 

81 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:29:05.33 ID: eWumsmKr0
 
その後参加者のアピールタイムは滞りなく行われ、遂にハインの順になる。
楽屋裏で待機していたハインは、名前を呼ばれると意気揚々とステージに上がっていった。

空手着に身を包んで。

从 ゚∀从「どうもー!」

司会「な、な、何と胴衣姿です!? これは新しい萌えの発見ではないでしょうか!」

実況「バンブレファンの私としては、スポーツ少女は大歓迎です」

司会「ではアピールタイムに入ってもらいます! えーとハイン選手は……。
   か……瓦割りを行ってくれるそうです……?」

( ´ー`)「え?」

(-@∀@)「瓦……?」

 

84 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:31:55.98 ID: eWumsmKr0
 
観客「ま、まさか美少女コンテストで……?」

从 ゚∀从「今日は死ぬ気でいきます!」

唖然としている者たちをよそに、スタッフによって瓦が積まれていく。
その数実に25枚。ミスターサタンとタメをはれそうだ。

从#゚∀从「どおおりゃああ――――!!!」

ガシャンと音を立てて、積まれた瓦に傷が走った。
真っ二つになった瓦が、左右に崩れ落ちていく。

从 ゚∀从「ありがとっした――!」

 

86 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:33:50.76 ID: eWumsmKr0
  
静まりかえった会場を、軽い足取りで退場していく。
本人としては十分な手応えだったらしいが、見た者全員が引いていたのは確かだ。

司会「ハインさんでした……い、いやあ凄い特技を持ってますね」

実況「そうですね。あの腕力で、是非お尻を叩いて欲しいものです」

司会「貴方は凄い性癖を持ってますね。
   さあ続いてのチャレンジャーは……おお!?
   何と少女にしてハンターの娘らしいです!」

 

( ´ー`)「あさぴー氏。ハンターとは何を狩る者なりか?」

(-@∀@)「おそらく吸血鬼でござるな。今は廃れた職業でござる」

 

87 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:35:51.90 ID: eWumsmKr0
 
司会「実況さん、これは個性的な美少女を期待して良さそうですね!」

実況「資料によると、バスト128、ウェスト39、ヒップ98とありますが……」

司会「うぇぇ!? ま、まあとりあえず入場してもらいましょう!
   初参戦で見事優勝なるか! クーさんです!」

川 ゚ -゚)「やっほー」

観客「こらー! どう考えてもバスト128もねえだろうが!」

川#゚ -゚)「遠近法だ!」

観客「ああ……なるほど」

観客「納得するのか!?」

 

91 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:37:32.14 ID: eWumsmKr0
 
司会「クーさんは何を見せてくれるんでしょうか!」

川 ゚ -゚)「今日は私の特技である、弓の技をお見せしよう」

実況「流石はハンターですね。しかし昔を思い出すなあ……」

司会「まさか実況さんも、若かりし頃はハンターを?」

実況「ええ、黒魔導士と迷ったんですが、接近せずに通常攻撃出来る利点がありますからね」

司会「何のゲームの話ですか」

川 ゚ー゚)「これが私の必殺技、三本矢だ!」

 

94 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:39:34.00 ID: eWumsmKr0

クーは矢をつがえた。

司会「複数の矢を放つのはかなりの高等技術と聞いています!
   若いのに素晴らしいハンターですね!」

実況「二本以上の矢を放つには、スキル値を80以上にする必要があるんですよ」

司会「お前黙ってろ。あれ? 矢を放つってことは……」

川 ゚ー゚)「てや!」

司会「観客の皆さん避けて――――――!!!」

観客「「「ギャ――――――――!!!!!」」」

 

98 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:41:46.77 ID: eWumsmKr0
 
会場は大パニックとなり、倒れた観客が累々と横たわっていく。
幸運にも矢は誰にも当たらなかったが、クーは屈強な警備員に連れ出されていった。


離せ無礼者! 私はハンターだぞ!


はいはい。良い子にしようね

 

司会「……」

実況「誰も怪我が無くて良かったですね」

司会「そ、そうですね。(何でこんなに落ち着いているんだ…)
   では次のエントリー選手を紹介します」

実況「ドキがムネムネします」

司会「二回目はウケないですよ。次は最後の選手となりますが……」

「チョット 待ッタ!!!」

 

100 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:45:05.36 ID: eWumsmKr0
  
司会「おお、飛び入りですか!?」

実況「二大会連続で飛び入りとは珍しいですね。
   しかし前回の優勝者も飛び入りでしたから、これは期待してしまいます」

司会「そうですね。さあステージに上がってもらいましょう!
   先ほど声をあげた人はどなたでしょうか!?」

 

(//‰ ゚)「私ダ――――――!!!!!」

 

( ´ー`)

(-@∀@)

司会「」

実況「」

観客「」

 

     うわあ……

          会場一同より

 

103 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:47:07.32 ID: eWumsmKr0
  
【楽屋裏】

从 ゚∀从「何だ? 会場が急に静かになったな」

川д川「さっきは一気に騒がしくなったのにね……」

水を打ったかのような静けさは、嵐の前触れであった。
地の底からわき上がるような「帰れ」コールが、噴火した火山のようにわき上がったのだ。

川;д川「な、何が起こってるの!?」

从;゚∀从「わかんねえ! 見てみるか?」

貞子とハインは、こっそりとステージ横に近づいていった。

川゚д川

从 ゚∀从

それは、目を疑う光景であった。

 

 

105 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:48:56.14 ID: eWumsmKr0
  
(//‰ ゚)「燃エテシマエ! 何モカモ!」

司会「ぎゃああああ――!!!」

実況「燃えてたまるか! 萌えるならまだしも!」

観客「熱いッッ!」

観客「助けてくれぇ――!!!」

スカートを身につけた横堀が、胸の火炎放射器で辺りを燃やしているのだ。
それは地獄のような光景だった(横堀のスカート姿も含めて)。

从;゚∀从「やめろ横堀!」

(//‰ ゚)「ア……ハイン サン」

ハインの声に反応し、横堀は横を向いた。
業火の火炎を放ったままで。

川;д川「きゃああああ――!!!」

从 ゚∀从「貞子――――!!!」

 

108 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:51:14.26 ID: eWumsmKr0
  
この時貞子は、ステージ衣装のドレスを着ていた。
純白の衣装が一瞬で灰となってしまう。

(//‰ ゚)「貞子サン――!!!」

川;д川「あう……」

幸いにも、ドレスがぶかぶかだった為、貞子に火傷は無かった。
しかしせっかく用意した衣装が見るも無惨な様になっている。

司会「あのサイボーグを捕まえろ!」

警備員「はい!」

(//‰ ゚)「ハ 離セ!」

从;゚∀从「横堀、お前どうして……!」

川;д川「横堀くん……」

(//‰ ゚)「……」

 

110 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:52:39.41 ID: eWumsmKr0
   

 

(//‰ ゚)b「……サイボーグッテ ステータス デスヨネ」

 

从 ゚∀从「い……」

 

――意味わかんねえ……

 

男なら、誰でも一度は美少女に憧れる。
これは、美少女を目指した、サイボーグの中のサイボーグの物語であったのだ。

从 ゚∀从「これまたマイナーなネタを……」

司会「ふう……あやうく死人が出るところでしたね」

実況「いっそ出た方が盛り上がったんじゃないですか?」

司会「貴方を真っ先に殺しますよ。えーさて、コンテストを続けていきます」

 

112 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:55:06.76 ID: eWumsmKr0
  
【再び楽屋裏】

「次は最後のエントリーになります。これまた初参戦。貞子さんです!」

司会の声が、貞子を呼ぶ。
しかし焼けただれた衣装では、ステージに上れない。

「貞子さーん? 出番ですよー?」

「化粧直しをしているんですよ。全く女心のわからない人だ」

「お前だけには言われたくなかった」

川;д;川「ど、ど、どうしよう……」

从;゚∀从「慌てるな! VIP人は慌てない!」

川;д;川「でも……」

从 ゚∀从「そうだ……ドレスは無いけど、アレがあるじゃねえか」

川д川「アレ……?」

 

114 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:56:40.74 ID: eWumsmKr0
  
司会「出てきませんねえ……」

実況「だから化粧直しだと言っているでしょう。これだから素人は……」

司会「何のプロなんですか、何の」

「あの……」

司会「お、出てきたようです……!!! これは!?」

実況「おお――!!! 神々しい!!!」

フリルつきのスカートに、暗色のワンピース。
カチューシャと白いエプロンという、
まさしくメイド服オブメイド服に身を包んだ貞子が現れるや否や、
会場のテンションが一気に上がった。

川*д川「……どうも」

司会「これは……良い――! 私司会業を勤めさせてもらっていますのに言葉が見つかりません!」

実況「お"……お"持"ち"帰"り"し"た"い"ぃ"ぃ"]

司会「気持ち悪ッ!」

 

115 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:57:58.57 ID: eWumsmKr0
  
( ´ー`)「あさぴー氏……」

(-@∀@)「ああ、わかってる。我々は今、神を見ている――」

観客「ありがたや……ありがたや……」

観客「モノホンのメイドや……!」

司会「アピールタイムという事ですが……もうそんなものいりません!」

川д川「え?」

実況「ただそこにいるだけで良い……それこそが美少女の極み」

司会「その通りです。実況さん。貴方わかってらっしゃる」

実況「なぁに。伊達に美少女フォルダが2テラを越えてませんよ」

司会「気持ち悪ッッ!」

 

118 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 01:59:56.75 ID: eWumsmKr0
 
横堀のスカート姿を見た後だったからか。
純粋に貞子が美少女だったからか。
はたまた審査員が重度のメイドオタだったからか。

その日のコンテストは貞子がぶっちぎりで優勝した*(#‘‘)*チクショ――!!!
(2位のヘリカルと8億ポイントの差をつけていた)。

从 ゚∀从「やったな貞子! 今の感想は?」

川;д川「もう何が何だか……」

コンテストの打ち上げは次の日の朝まで続いた。
ハインは「正直、ただ騒ぎたいだけだよな。こいつら」と言っていたが。
それはもう大正解であった。

                  :
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                  :
                  :

 

119 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 02:02:03.36 ID: eWumsmKr0
  
川 ゚ -゚)「全く。なんで私が失格だったんだ」

コンテストから2日後。
街を出てからも、クーはその事ばかり愚痴っていた。

川 ゚ -゚)「一番気に入らないのはお前だ」

川;д川「私……?」

川 ゚ -゚)「メイド服がたまたま受けが良かっただけで優勝するとはな。
     言っておくが、真の美少女は私だぞ」

川;д川「そ……そだね」

从 ゚∀从「貞子。あんまり相手するな。こいつアホだから」

川#゚ -゚)ビキビキ

 

 

120 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 02:04:11.29 ID: eWumsmKr0
  
(//‰ ゚)「貞子サン アノ時ハ 申シ訳アリマセン デシタ」

川д川「ううん。もういいよ」

(//‰ ゚)「一時ノ 気ノ迷イデ 自分ヲ 美少女ダト 思ッテシマッテ……」

从;゚∀从「気が迷い過ぎだ!」

(,,゚Д゚)「ごるぁ……」

/ ゚、。 /『……』

今回の話、さっぱり空気だったなあ、と猫と鈴木は思ったとさ。
三人と一機と一体と一幽霊は、それぞれの想いを抱えながら、長い旅路を進んでいた。

これから先、国を巻き込んだ大戦に巻き込まれるとは知らず。
その渦中に、探しているオサムがいることも知らずに――。

第十八話「お色気の街 ピンクボード」 完

 

 

122 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 02:05:48.58 ID: eWumsmKr0
  
【今日の( ゚"_ゞ゚)と(*゚ー゚)】

从*゚_ゞ゚)「いらっしゃいませえ」

オサム様がオカマバーで働き始めてから二週間が経つ。
約束の2000Gまで、あと少しってところかな。
それにしても、何だか……。

(*゚ー゚)(……これはこれで……イケる)

酔った勢いで押し倒してみるか、画策中です。

 

 

126 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 02:09:00.55 ID: eWumsmKr0

〜次回予告〜

第十九話【( ^W^)中間管理職は辛いようです】
厨二病が入っている部下と、電波を飛ばす上司に板挟みにされている男の物語。
「何なんだお……米って何なんだお――!!!」

第二十話【( ゚"_ゞ゚)オカマバーでトップを目指せ!】
ひょんな事からオカマバーで働く事になったオサム。
陰湿なイジメに耐え抜き、見事トップの座を奪えるか!

第二十一話【流石だよなこの一家】
遂に7つめのバイトをクビになった姉者。
失意に落ち込むところにやってきたのは、かつてのメイド仲間であった。
「旅に出るのじゃ! 待つだけの女なんて価値は無いのじゃ!」

あとちょっと訂正というか何というか。
ドラキュラ = 吸血鬼かと思ってたら違うようですね。伯爵の名前か……。
でも今作では ドラキュラ = 吸血鬼 = ヴァンパイア とします。
ヴァンパイアという呼び方、何か格好いいのでこれから先出していきます。

何か質問とかあればどしどし受け付けます。

 

 

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