46 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 19:17:32.62 ID:4N2JE46c0
('、`;川「い、嫌です! 私も行きます!」
「駄目だ。危険すぎる」
「私たちに任せて頂戴。必ず戻ってくるから」
('、`;川「でも……!」
「城にあるものは全て好きにしてくれていい。城を出るも残るも自由だ。そう伝えてくれ」
('、`;川「……」
「じゃあな」
「元気でね」
ペニサスは、眩しい朝日に消えていく二人の影を、ただ見送ることしか出来なかった。
手に持った手紙を握りしめ、彼女はそっと涙を流した。
第十六話「おわかれの時間」
48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 19:18:52.37 ID:4N2JE46c0
いつもの食卓、いつもの食事。
メイドたちは、いつものように談笑を交えつつ、オサムが来るのを待っていた。
从 ゚∀从「遅いなーオサム。寝込み襲いに行こうかな」
∬´_ゝ`)「一緒に行きましょうかハインちゃん」
从*゚∀从「合点承知だアネキ!」
ξ;゚ー゚)ξ「朝(夜だけど)から元気だね」
ミセ*゚ー゚)リ「ハインの取り柄はそれだけだしー」
川*д川「ですねえ」
从 ゚∀从「貞子まで……俺ちょっとショック」
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 19:20:05.57 ID:4N2JE46c0
彼女たちは何も変わっていないと思っていた。
先日のドラキュラ襲撃も、危なげながら何とか退け、それで終わりだと思っていたのだ。
誰もがまたいつも通りの生活を始められる。
そう信じていた。
∬´_ゝ`)「ペニサスちゃん。どうしたの? 具合でも悪いんですか?」
('、`*川「……うん、ちょっとね」
('、`*川(……私に任せてくれたんだから、言わないとね)
∬´_ゝ`)「?」
ただ一人、真実を知っているペニサスの顔は暗かった。
自分が託されたことを、みんなに伝えるのが辛かった。
50 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 19:21:07.09 ID:4N2JE46c0
('、`*川「……みんな、ちょっと聞いて頂戴」
それでも彼女は、メイドとしての最後の仕事を放棄しようとは思わなかった。
他の誰でもない、自分を信頼して託してくれた仕事なのだから。
从 ゚∀从「どうしたペニサス」
从;゚∀从「は……まさかまた料理を……!」
('、`*川「お願い。静かにして」
从 ゚∀从「……あ、ああ」
いつもと雰囲気の違うペニサスに、メイドたちは少し緊張した顔で言葉を待った。
('、`*川「……あのね。実は……」
51 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 19:21:31.91 ID:4N2JE46c0
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54 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 19:27:15.35 ID:4N2JE46c0
オサムとしぃが、今朝城を出て行った。
その時のことを話し終えた時、案の定メイドたちは顔面蒼白でうろたえていた。
ミセ;゚ー゚)リ「……」
ξ;゚听)ξ「……冗談でしょう? ま、またすぐ帰って……」
('、`*川「いいえ。すごく遠出らしいわ」
∬;´_ゝ`)「帰ってくるのはいつになるんですか?」
('、`*川「わからない……。でも、オサム様たちは危険な旅になるって言ってた」
川;д川「危険って……一体何をする為に……」
川;゚д川「あ……この前のブーンて人と、関係あるんですね……?」
('、`*川「詳しくは教えてくれなかったわ。でも、これをもらったの」
ペニサスは一枚の手紙を取りだし、テーブルの上に置いた。
56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 19:28:04.41 ID:4N2JE46c0
('、`*川「まだ私も見てないけど、たぶん、ここに全部書かれてるのよ」
从;゚∀从「み……見ようぜ……」
('、`*川「う、うん」
手紙を開けるペニサスの手は、小刻みに震えていた。
丁寧に封を切り、折りたたまれた一枚の紙を広げる。
('、`*川「!」
川;д川「こ、これは……!」
从 ゚∀从「字、きったねー」
しかし読めなかった。
(//‰ ゚)「私ガ 解読シテ ミマス」
(//‰ ゚)「キュイイィィン カリカリカリカリ ピーピピピピピ」
ミセ;゚ー゚)リ「ど、どう?」
(//‰ ゚)「……読ミマス」
58 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 19:29:08.18 ID:4N2JE46c0
(//‰ ゚)『みんなへ。
何も言わず、城を出て行くことを謝る。すまん。
全て話すことはしない。
とにかく、私としぃは、ある者のところへ行かねばならん。
みんなは城に残っても、出て行ってもいい。
出て行った者も、自由に帰ってきていい。
城は自由に使っていいということだ。
正直に言うと、もう帰ってこられないかもしれない。
もちろん、私はこの城が好きだし、お前たちのことも好きだ。
だから帰ってくることを約束はする。
一番重要なことは、お前たちが後悔のないようにして欲しいということだ。
年頃の娘なんだから、他にしたいことは山ほどあるだろう。
だからお前たちには自由に生きて欲しい。
私を待って、一生を城で過ごすなんて馬鹿な真似はするなよ。
面と向かって言いたかったが、どうせお前たちのことだ。
私についてくると言い出しかねないだろう。
だからこうやって手紙という形を取った。
とにかく、後悔の無いように生きるんだ。
お前たちの幸せを祈ってる。
みんな、元気でな』
61 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 19:35:04.03 ID:4N2JE46c0
川д川「……」
从 ∀从「……はあ……? 何だよこれ……」
从 ;∀从「お前なんかに……幸せを祈って欲しくねえよ……」
ξ;凵G)ξ「……」
ミセ; ー )リ「ツン、泣かないで……」
部屋の空気は重く、悲しみに満ちていた。
そんな中一人のメイドが席を立った。
∬;´_ゝ`)「……ちょっと、部屋で休んでくるわ……」
みんなを尻目に、一人姉者は部屋を出て行く。
ペニサスだけは、姉者の気持ちがわかった。
62 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 19:36:01.47 ID:4N2JE46c0
( 、 *川(ごめんね……姉者)
彼女はオサムが最後に手紙を渡したのが、ペニサスだということが許せなかったのだ。
オサムは別に何か特別な意味があってそうした訳ではない。
ペニサスが一番メイド歴が長く、冷静な判断が出来るとふんだからそうしただけだ。
姉者だってそんなことはわかっている。
それでも、彼女に対する嫉妬をおさえることが出来なかった。
川д川「ペニサスさん……どうして止めなかったんですか……!」
('、`;川「え?」
川д川「貴方が止めていれば、オサム様たちは出て行かなかったんじゃないんですか!?」
('、`;川「そ、そんなの……」
63 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 19:36:49.55 ID:4N2JE46c0
ξ;凵G)ξ「やめなさい貞子!」
川д川「……」
('、`*川「……」
川д川「私も……部屋で休んでいます……すいません」
姉者に続き、貞子も部屋を出て行く。
その後もダイニングでは、ツンとハインのすすり泣く声が続いていた。
(;、;*川「……」
いつまでも続くはずだった、幸せの毎日が、この日おわかれを告げた。
第十六話「おわかれの時間」 完
65 : ◆CnIkSHJTGA :2008/01/01(火) 19:38:42.17 ID:4N2JE46c0
第一期完結しました。
次回からは第二期に入り、タイトルはそのままですが主役が交代します。
さーて次回の「棺桶死オサムのようです」は
第十七話「いい日旅立ち」
オサムたちがいなくなり、メイドたちも次々と城を出て行ってしまう。
まだ残っていた貞子、ハイン、横堀は自分たちがどうすべきなのか迷っていた。
そんな三人を見て、ペニサスがある決意をする。
そしてKYなハンターも仲間に加え、三人と一機と一匹の冒険が始まる。
「先輩……今までお世話になりました――!」
お楽しみに!
まとめ(まとめてくれた順/上からアップル、NEWS)
ttp://applevip.web.fc2.com/osamu/osamu.html
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('A`)何か質問とかあれば