30 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2007/12/19(水) 23:45:39.21 ID: OxvhuWix0

城門のところで、貞子は旅の薬売りから、風邪薬や日用品などを買っていた。
彼が来てくれる時は買い出しの手間が省けるため、メイドたちには大人気である。

川д川「いつもありがとう、薬売りさん」

(´・ω・`) 「いいえ……おやすいご用ですよ、お嬢さん。それと、よろしければこれを……」

川д川「? これは何ですか?」

(´・ω・`) 「良い夢を、見られる薬です――」

 

第十一話「媚薬を使う際は用法・用量を守り使わないで下さい」

 

 

32 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2007/12/19(水) 23:46:57.89 ID: OxvhuWix0

ξ#゚听)ξ「あんたねー。そうやってまた仕事をさぼろうとしてるでしょ!」

ミセ;゚ー゚)リ「ち、違うわよ……本当に風邪で……」

ξ#゚听)ξ「嘘! 一年に何度風邪ひくのよ!」

ミセ;゚ー゚)リ「今度のは本当なの……」

ベッドの上で横になっているミセリに向かって、ツンは怒鳴り散らしていた。
いつも仕事をさぼっているミセリに対し、遂に怒りが爆発したのだ。

ξ#゚听)ξ「もういいわよ!」

いくらいってもベッドの上から動かないミセリに対し、愛想がつきたと言わんばかりに捨て台詞を吐き、ツンは部屋から出て行った。

 

 

34 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2007/12/19(水) 23:48:16.02 ID: OxvhuWix0

ミセ;゚ー゚)リ「……あの子はもうちょっとカルシウムが必要ねー」

そう言いながら、ミセリは苦しそうに咳をした。
ミセリは本当に風邪をひいていたのだが、いつも嘘をついていたのが災いして信じてもらえなかったのだ。

ミセ;゚ー゚)リ(ま、仕方ないか――)

諦めてシーツを被り、夢の中に退避しようとしたその時、部屋の扉をノックする音が聞こえた。
「はーい」とミセリが返事をすると、小さな薬箱を抱えた貞子がそっと部屋に入ってきた。

川д川「ミセリさん、お体の方は大丈夫ですか……?」

ミセ;゚ー゚)リ「もう駄目。こんなに苦しいの、前にインフルエンザにかかった時(第六話)以来よ」

 

 

35 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2007/12/19(水) 23:49:17.29 ID: OxvhuWix0

ミセリがそう言うと、貞子はベッドの横の机に薬箱を置き、中を漁り始めた。

川д川「ついさっき、薬売りさんから薬を買ってきたんです」

ミセ;゚ー゚)リ「ありがとー貞子ちゃん。薬代は後で返すねー」

川д川「あれ? えっと……どっちだったっけ……」

貞子は薬箱の中から二つの小瓶を取りだし、首をかしげた。
一つは風邪薬なのだが、もう一つは薬売りからもらった怪しい薬である。
同じタイプのビンに入っていて、中は見分けのつかない錠剤なので、判別がつかない。

 

 

36 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2007/12/19(水) 23:50:04.91 ID: OxvhuWix0

川;д川「えっと……すいません。どっちが風邪薬かわかりません」

ミセ;゚ー゚)リ「薬売りさんからもらった薬でしょ? だったら危険は無いわ。とりあえずどっちか飲ませて」

川;д川「あ、はい……」

貞子は右手にもっていた方のビンの蓋を開け、中の錠剤を二錠紙の上に落とした。
持ってきたカップに水を注ぎ、錠剤と一緒にミセリに手渡す。
ミセリは錠剤を水と一緒に一気に飲み干すと、再びベッドに横になった。

ミセ;゚ー゚)リ「ありがとね貞子ちゃん。さ、もう仕事に戻りなさい」

川д川「はい……また後できますね」

 

 

37 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2007/12/19(水) 23:50:57.19 ID: OxvhuWix0

それだけ言うと、貞子は救急箱を持って部屋から出て行った。
そして、異変は貞子が出て行ってから五分後に起こる。

ミセ;゚ー゚)リ(……あれ……何これ……?)

自分の意志とは無関係にまぶたが降りてくる。
その後数秒も経たないうちに、ミセリの意識は深い闇の底へ沈んでいった。

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38 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2007/12/19(水) 23:51:59.32 ID: OxvhuWix0

ξ;゚听)ξ(さっきは言い過ぎたかな……ちょっと様子を見に行くか)

ミセリのことが気になって仕方ないツンは、部屋に様子を見に行った。

ξ゚听)ξ(……あれ?)

ドアを開けて中をそっとのぞき込むと、ベッドの上から上半身だけを起こし、窓からぼーっと夜空を見ているミセリの姿があった。

ξ#゚听)ξ「ちょっと、やっぱり仮病じゃないの」

そう言ってミセリの前に回り込んだとき、ミセリの顔が真っ赤にほてっていることにツンは気がつく。

ミセ*゚ー゚)リ「……」

ξ;゚听)ξ「あ、やだ……すごい顔真っ赤よ? 本当に風邪なの……?」

ミセ*゚ー゚)リ「……ふふふ」

 

 

39 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2007/12/19(水) 23:52:45.44 ID: OxvhuWix0

ξ;゚听)ξ「え、うわ!?」

いきなり手をひかれたツンは、ベッドの上に盛大に倒れ込む。
するとミセリはツンの上に乗っかかり、馬乗りになって体を押さえつけた。

ξ;゚听)ξ「み、ミセリ……?」

ミセ*゚ー゚)リ「ツン……」

ミセリの顔がツンに急接近する。
両手を抑えられているので、ツンはソレを拒むことができなかった。

チュ――。

ξ////)ξ「ひ!?」

ミセ* ー )リ「んふふふ……」

 

 

40 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2007/12/19(水) 23:53:20.28 ID: OxvhuWix0

唇が触れるだけのキスだったが、意外と清純派のツンはそれだけで頭が真っ白になった。
そもそも友達、それも女の子にキスされれば戸惑うのも無理は無い。

ξ////)ξ「ん……んんっ……」

断続的に触れるだけのキスが続いた後、ミセリは強引に舌を潜り込ませた。

ミセ* ー )リ「好きよ……ツン」

ξ////)ξ「駄目……ちょっと……」

ミセリの手がツンの胸と下半身に伸びてくる。
とその時……。

 

 

41 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2007/12/19(水) 23:53:57.32 ID: OxvhuWix0

( ゚"_ゞ゚)「さ、さ、さ、探し物……」

探し物を求めて城内をうろついていたオサムが部屋に入ってきたのだ。
ちなみに何を探しているのかは省こう。

(;゚"_ゞ゚)「う、うわぁあああ!」

ξ;゚听)ξ「お、オサム様!」

一気に目が覚めたツンはミセリを押しのけ、急いで体を起こした。
それでもミセリは離れることなく、猫がじゃれつくようにツンの胸に頬ずりをしている。

 

 

43 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2007/12/19(水) 23:55:12.87 ID: OxvhuWix0

ミセ*゚ー゚)リ「好きぃ……ツン……」

ξ;゚听)ξ「ちょ、ちょっとやめなさいってば!」

(;゚"_ゞ゚)「……」

呆然としていたオサムだったが、やがて何か理解したように頷くと、遠い目をしながら言った。

( ゚"_ゞ゚)「……愛って、宇宙だよね」

ξ;゚听)ξ「何言い出してるんですか!」

( ゚"_ゞ゚)「いや、いいと思うよ……うん……ごめんね、邪魔して」

ξ;゚听)ξ「あ、ちょ!」

ツンの制止など聞かず、オサムはそっと扉を閉め、そこから離れていった。

 

 

44 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2007/12/19(水) 23:57:01.10 ID: OxvhuWix0

ミセ*゚ー゚)リ「抱いてぇ……ツン……」

ξ#゚听)ξ「いい加減にしなさい!」

パコン――☆

ミセ*゚x゚)リ「ヤバス!」

ツンデレ秘伝の奥義、巨大ハンマーで叩くと、ミセリはあっさりと気絶した。
膝の上ですやすやと気絶するミセリをベッドにちゃんと寝かせると、ツンはその場でがくんと崩れ落ちる。

ξ゚ー゚)ξ「あは……ははは……ふぁーすときっすが……」

 

46 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2007/12/20(木) 00:00:20.09 ID: ZW3PCy460

その時ふと机の上に置いてあった小瓶に目がとまる。
ミセリの突然の変化に関係があるやもと思い、中に入っていた錠剤を一粒取り出すと、ぺろっと舌で舐めてみた。

ξ゚听)ξ「ペロ……これは……薬!」

その後貞子から事情を聞いて、薬売りからもらった怪しい薬のせいだとわかり、ひとまず一件落着となる。

意識を取り戻したミセリは、既にいつもの彼女に戻っていた。
さらにおかしくなっていた時の記憶も忘れていたので、あえて事情は説明することはせず、何も無かったことにした。

でも二人の関係は、前より少しだけ良くなったかも……。

 

 

47 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2007/12/20(木) 00:02:09.78 ID: ZW3PCy460

ξ゚听)ξ「ミセリ、風邪はもう大丈夫なの?」

ミセ*゚ー゚)リ「え? あ、うん。貞子ちゃんからもらった薬が効いたみたい。心配してくれたの?」

ξ*゚听)ξ「べ、別に心配なんかしてないわよ。ただあんたがいないと、私の仕事が増えるわけ」

ミセ*^ー^)リ「……うん、そうだねー。貴方は人の心配なんかするタイプじゃないし」

ξ#゚听)ξ「どういう意味よ!」

ミセ*^ー^)リ「そういう意味だよー」

二人の掛け合いは、きっとこれからも続いていくだろう。

 

48 名前: ◆CnIkSHJTGA Mail: 投稿日: 2007/12/20(木) 00:02:46.87 ID: ZW3PCy460


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 |_ゞ゚)(私はお前たちのことを応援しているぞ……)
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そして、オサムの心に残る大いなる誤解も、この後ずっと続いていくのであった。

 

第十一話「媚薬を使う際は用法・用量を守り使わないで下さい」 完

 

 

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