107 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 18:55:21.51 ID: 4SVRL59Z0
狼は今日も1人
赤頭巾の姿をした自分を抱き、泣いてました
_
( ゚∀゚) 〜赤頭巾8〜
111 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: >>108後で回答しまs 投稿日: 2008/04/29(火) 18:58:42.31 ID: 4SVRL59Z0
_
(;゚∀゚)「あ……ありのまま起こった事を話すぜ!
『俺はバーボンハウスで情報貰おうと思ったらいつのまにかハインがツンデレ化してた』
な……何を言ってるのかわからねーと思うが、俺も何をされたのかわからなかった…。
頭がどうにかなりそうだった…。
ラブだとか萌えだとか、そんなチャチなもんじゃあ断じてねえ。
もっと恐ろしいスィーツ(笑)の片鱗を味わったぜ…」
从#゚∀从「黙れそしてオレはツンデレ化してねえよクソ良純」
_
(#゚∀゚)「良純言うな、クソパンダ」
从#゚∀从「あ゛ぁ?」
川 ゚ -゚)「はいストップ。これ以上言い争うなら実力行使で黙らせるぞ」
_
(;゚∀゚)从;゚∀从「「ごめんなさい」」
(´・ω・`)「……賑やかだなぁ」
114 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 19:01:36.46 ID: 4SVRL59Z0
酒と情報を売る店、バーボンハウス。
普段、お客様がほとんど来ないような寂れた店は、今日だけ活気に満ちていた。
活気の大部分は俺とハインだが。
(´・ω・`)「で、調子はどう?」
从 ゚∀从「ばっちりだ。もう体のどこにも違和感感じないぞ」
(´・ω・`)「それはいいことだ。これならもう診断はいらないね」
_
( ゚∀゚)「じゃあもう退院しても大丈夫なんだな?」
(´・ω・`)「厳密には退院じゃないんだけどね」
_
(;゚∀゚)「ツッコまないで、悲しくなるから!」
从*゚∀从「ぶぁーかぶぁーか糞・眉・毛wwww」
_
(#゚∀゚)「煽らないで、ムカつくから!」
俺らがバーボンハウスに大集合してるのには訳がある。
クーがハインを連れてバーボンハウスへ行った日。
俺はいつまでも2人が帰ってこなかったので、ショボンに事情を聞きに行った。
バーボンハウスにクーとハインはいないと思ってた。最悪の事態を想定していたからだ。
そんなわけでショボンへ情報を貰いに行って……
クーとハインがくつろいでたのを見たとき、思わず殺気立ってしまった。
俺、これでもお前らのこと心配したんだぞ。
115 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 19:04:34.37 ID: 4SVRL59Z0
すぐさま事情聴取。
そして、クーは大怪我のための治療、ハインは不死身体質を治すための薬を打ったことを聞いた。
クーの治療はもう終わってた。あとは療養が必要らしい。
ハインの方は薬を打ったらしいが、薬の効果を見るためにしばらくの間、ショボンの診察が必要とのこと。
2人が帰ってこなかったのはそういうことだ。
そして俺たちはしばらくバーボンハウスに泊まることを結論に出した。
理由の1つはハインに無茶をさせないようショボンに言われたから。
2つ目はvipperが目を光らせてる今、足手まといのハインを連れて移動するのは危険だから。
それならいっそバーボンハウスから出ない方がいい。
とハインが一生懸命説明してた。
俺とクーはその意見にしぶしぶ同意した形だ。
言いたいことは山ほどあるが一応理も叶ってるしな。
それから数日経ち、退院(それ以外どういえばいいか分からん)の日が今日というわけ。
川 ゚ -゚)「ところでショボン。ハインの体は今どうなってるんだ?」
(´・ω・`)「軽い傷ならすぐ治るから再生能力がなくなったわけではないね。
ただ、すぐ、というのは一般人と対比しての物言いだから……」
川 ゚ -゚)「再生能力がなくなったわけではないが、薬の効果はあったということか?」
118 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 19:06:59.14 ID: 4SVRL59Z0
(´・ω・`)「うん。
以前のハインと比べると再生の速度は遅くなってる。
今のハインは大抵の怪我を治せるけど致命傷を負うと死ぬ……と思う。
とりあえず薬は完璧じゃないから研究の余地ありだね」
川 ゚ -゚)「まあ、それくらいでいいんじゃないか?やりすぎて普通の細胞を死滅させても困りものだし」
(;´・ω・)「怖いこと言わないで」
(´・ω・`)「ごほん……まあそんなわけだからあまり無理しないでねハイン」
从*゚∀从「……うん」
_
(*゚∀゚)「『……うん』」
_
(*゚∀゚)「ってなんだよwwwwwwwwwww
お前キャラ変わりすぎだろwwwwwwwwwwwwwwwはらいてwwwwwwwwwww」
从# ∀从
川 ゚ -゚)「……ショボン、私たちは少し席を外しとこうか」
(;´・ω・)「……そのほうがいいみたいだね」
120 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 19:09:48.93 ID: 4SVRL59Z0
……
…………。
……………………………あれ?
なんかいつの間にか寝てたみたいだ。しかも床で。
変なところで寝てたから頭が妙に痛い。
まるで殴られたみたいに痛い。
そういえばどうして俺はこんなところで寝てたんだ?
_
( ゚∀゚)「……」
まあいいや。どうせたいした理由なんてないだろう。
从 ゚∀从「お?ジョルジュが起きたぞ」
川 ゚ -゚)「ん。ならそろそろ行くか。
ショボン、世話になった。
何かあったらまた頼む」
(´・ω・`)「何もないことを祈ってるよ。またね」
从 ゚∀从「今度来るときまでにいい薬作っとけよ。
作らなければあんなことやこんなことするからなー」
(´・ω・`)「あんなこと、こんなことが何を指すか分からないんだけど……。
まあ、なんだか怖そうだから頑張ってみるよ」
124 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 19:12:15.34 ID: 4SVRL59Z0
_
( ゚∀゚)「……あれ?」
川 ゚ -゚)「キミはいつまで呆けてるつもりだ?
隠れ家に帰るんだろ」
_
( ゚∀゚)「ああ!そうだったそうだった!!」
急いで起き上がりショボンに向き合う。
ハインが世話になったんだ。
保護者としてお礼くらい言わないとな。
_
( ゚∀゚)「ありがとな!
ほんっとありがとな!」
(;´・ω・)「う、うん」
从 ゚∀从「もうちょい気の利いたこと言えよゲジマユ。
あとショボンがお前の勢いに引いてるからちょっと離れろ馬鹿」
_
( ゚∀゚)「へー、ショボンのことになると一生懸命だねー」
川 ゚ -゚)「私もハインと同意見なんだが」
_
( ゚∀゚)「……なあショボン。俺うざい?」
(;´・ω・)「ごめん。黙秘権を行使させてもらうよ」
_
( ゚∀゚)「……」
127 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 19:15:37.79 ID: 4SVRL59Z0
川 ゚ -゚)「いいから早く来い。
ショボンだって疲れてるんだ」
_
( ゚∀゚)「はいはい、どーせ俺はうざ男ですよー」
从 ゚∀从「じゃあな、ショボン」
(´・ω・`)「3人とも気をつけてね」
_
( ゚∀゚)「うぃ」
川 ゚ -゚)「把握した」
ショボンに別れの挨拶をしてバーボンハウスを出る。
しかし外は危険でいっぱいなため、クーに感知系のマニュアルを使ってもらってる。
俺も周囲に警戒しながら並んで歩く。
_
( ゚∋゚)「どんな感じだ?」
川 ゚ -゚)「ん。
ツーマンセルで3組ほどに見張られてるな。
問題ないよ」
从;゚∀从「そこは問題ありだろ……」
130 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 19:18:22.00 ID: 4SVRL59Z0
川 ゚ -゚)「いや、まったくと言っていいくらい問題ないよ。
だってどうせ殺すんだから」
_
( ゚∋゚)「場所は?」
俺は懐から銃を抜きながら、感覚を研ぎ澄ましていく。
クーも同じく銃を抜く。
しばらくバーボンハウスにいたから狙いをつけられたのだろう。
場所を把握してないから正確な事を言えないがおそらく……狙撃もありうる。
……っていうか。
_
(;゚∋゚)「早く場所いえよ!」
一応命の危機なのだ、のんびりしてられない。
にもかかわらず、クーはなかなか続きを話そうとしない。
苛立ちを隠せなくなったころにようやく一言。
川 ゚ -゚)「どうせ殺すから場所なんて教えなくともいいだろ」
クーは銃口をあらぬ方向に……空に向かって6発、発砲した。
もちろん空に敵はいない。
クーの行為を理解できなかったので聞いてみた。
132 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 19:20:42.00 ID: 4SVRL59Z0
川 ゚ -゚)「マニュアルを使って弾丸の軌道を捻じ曲げた。
ちゃんと全弾命中させたから安心しろ。
もう変装なんて解いても大丈夫だぞ」
_
(;゚∋゚)「はぁ?」
川 ゚ -゚)「私が始末する旨を伝えたはずだが?」
……ああ。
さっきの言葉は『どうせ“私が”殺すから』ってことね。
主語入れろよサイボーグ。
从*゚∀从「ぶぁーかぶぁーか糞・眉・毛wwww」
_
(#゚∋゚)「煽らないで、ムカつくから!」
川 ゚ -゚)「はいはいワロスワロス。
もう危険はないからゆっくりいこうか」
_
( ゚∋゚)从 ゚∀从 「「おk」」
……
…………
136 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 19:23:54.28 ID: 4SVRL59Z0
で、帰宅っと。
_
( ゚∀゚)「ただいまー」
从 ゚∀从「ただー」
川 ゚ -゚)「いつの間に変装解いたんだか……ただいま」
帰宅時の言葉は三者三様、それでも隠れ家は俺たちを迎え入れてくれた。
我が家の寛大さに思わず感動してその場から動けなくなった。
川 ゚ -゚)「どうした?そんなところで立ち止まって」
_
( ゚∀゚)「……我が家はいいなって思って」
川 ゚ -゚)「そうだな。休めるところがあるのは素晴らしいと思う」
ですよね。
やっぱり我が家に帰ってくると落ち着ける。
感動するのは俺だけかもしれないが別に悪いことじゃないので気にしない。
だって毎日それなりに命を賭けてるんですもの。
しかし本当に寛大な家だよな。
多分、この家の者じゃなくても迎え入れてくれると思うぞ。
( ФωФ)「おかえり」
_
( ゚∀゚)「……どう考えても寛大です本当にありがとうございました」
……迎え入れてたよこの家。
137 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 19:26:57.84 ID: 4SVRL59Z0
まあ隠れ家だからセキュリティなんて贅沢なこと言えないからなこの家は。
で、なんで爺さんがこの家に来てるんだ?
疑問に思ったんで聞いてみた。
( ФωФ)「そろそろ頃合いもいいころかと思ってな」
_
( ゚∀゚)「……そういうことか」
川 ゚ -゚)「どういうことだ?」
_
( ゚∀゚)「Xデーだよ」
どうせ話を進めていけばクーも分かるだろう。
VIPのトップを暗殺する旨をすでに伝えてあるからな。
だから詳しく説明する気もない。
( ФωФ)「では話すとするか」
_
( ゚∀゚)「おk」
川 ゚ -゚)「よく分からんが把握」
从*゚∀从「アタチ、子供だからむづかしい話わかんなーい☆
あっちの部屋で寝ててもいい〜?」
_
(#゚∀゚)「……」
……ハイン、空気嫁。
139 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 19:29:42.65 ID: 4SVRL59Z0
川 ゚ -゚)「ハイン、どうやらキミもいた方がいいらしいぞ……ジョルジュの顔色的に考えて」
从 ゚∀从「でもねむーい☆」
川 ゚ -゚)「添い寝してやろうか?」
从;゚∀从「ごめん、永眠しそうなんでやっぱ起きてます」
GJすぎるぜクーさん。
気を取り直して椅子に着く。
他の3人もそれに倣って席に着く。
( ФωФ)「ここにいる皆はVIPのトップを暗殺するために集まってる。
そろそろ反旗を翻そうと思うんだがどうだ?」
川 ゚ -゚)「……そういうことか。
計画さえしっかりしてれば私は構わないぞ。
始末してくれた方が私の安全性も上がるしな」
_
( ゚∀゚)「俺はあえて言うまでもないだろ」
クーは同意してくれた。
条件付きだが、その条件は俺としても加えてほしいものなので反対する理由がない。
後はハインのみ、だが。
140 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 19:32:39.63 ID: 4SVRL59Z0
从 ゚∀从「オレは不死身体質が治るかもしれないから無茶は遠慮したいな。
おかしいよな、あんなに死にたがってたのに……死ねる体になったら死にたくないって思っちまうんだ」
_
( ゚∀゚)「……」
ハインは抜けても仕方がない。
そもそもハインを突き動かしてたものは、不死身体質にして利用したVIP研究所、ならびに研究所へ命令してたVIPのお偉方だ。
その前提となるものが消えかかってる今、ハインが俺たちと行動を共にする理由も同じく消えかかってる。
( ФωФ)「ほう、それは喜ばしい。
ならハインはこの計画から抜けるか?」
从 ゚∀从「なんでオレが抜けなきゃならないんだよ?
不死身体質が治るかもしれないってことを知ってる人間なんて少ねえんだ。
クーと同じだけどさ……俺も安全性が上がるに越したことはないんだ。
ただ、もう無茶できない体だからそこらへんを考慮してくれってだけだジジイ」
( ФωФ)「……ふむ。分かった」
_
( ゚∀゚)「……フーン」
从 ゚∀从「なんだよ?」
_
( ゚∀゚)「別に」
俺の言葉にハインは「……あっそ」と返して話を終える。
ハインが決めた道だ、俺がとやかく言う権利はない。
まあ……ほどほどにしとけよ、と心の中で呟く。
143 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 19:37:02.38 ID: 4SVRL59Z0
( ФωФ)「ではさっそく計画を話す。
皆の考えも聞いて多少変えるだろうが、大まかな流れはこうだ」
爺さんが説明する。
要約するとこういうことだ。
まずVIPの代表であり、1番偉いモララーを暗殺すること。
目的はそれだけなので無駄な戦闘をしないようにすること。
手順として、モララーの居所の特定→姿を隠して殺せるところまで近づく→暗殺→撤退、の流れで行う。
モララーの居所はおそらくVIPの首都だろう。
あとで情報を得て確実に把握することにする。
姿を隠して近づくことについて、具体的な方法を爺さんは言わなかった。
そこあたりはこの後、話し合うとのこと。
暗殺の仕方についても議論が必要になりそうだ。
撤退に関しては……その前に行うべき2点が不確定なので今は話し合うべきじゃない。と爺さんは言った。
川 ゚ -゚)「ほとんど決まってないじゃないか」
( ФωФ)「皆と話さないとなかなか決められないから仕方がないだろう?
というわけで何か意見がある奴は挙手を求む」
144 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 19:40:12.72 ID: 4SVRL59Z0
その言葉を聞き、勢いよく上がる1本の腕。
腕はハインから生えていた。
从 ゚∀从「はいはーい。質問しつもーん。
全員一緒に行動するのか?」
( ФωФ)「それが望ましいと思う。
私たちは人数が少ない。
別々に動いて勝手に死なれては困るからな」
爺さんが質問に答える。
ふむふむ。
続いて俺も挙手する。
分からないことが多すぎだからな。
_
( ゚∀゚)「暗殺方法は狙撃か?爆破か?
それとも肉薄して直接殺すんか?」
( ФωФ)「狙撃が望ましいがおそらく無理だろうな。
こんなご時世だからボディガードは絶対いるし、最悪、戦闘支援AIによる守備もあると思う。
爆発物も立場上、手に入れにくいから爆破も無理だし。
ならば、なんとか肉薄して殺したいが上手く近づけるか怪しい。……皆の意見を聞きたい」
146 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 19:42:38.70 ID: 4SVRL59Z0
戦闘支援AIまで引っ張り出されては狙撃も接近して殺害するのも成功するとは思えない。
COOLみたいなのもあるわけだしその考えは間違ってないだろう。
从 ゚∀从「でも戦闘支援AIなら、クーが何機か壊したんじゃないか?」
その言葉に反応し、クーへ皆の視線が集中する。
クーは3つのそれらを受け止め、口を開く。
川 ゚ -゚)「2機壊したな。
1年前まで戦闘支援AIは全部で3機だった。
新しい物を造ってないなら、もう出てこないはずだが」
(;ФωФ)「……すごいな」
禿同。
よくもまあ壊せたものだ。
流石、『COOL』と同化した女というわけか。
_
(;゚∀゚)「……!」
そこまで考えて、クーを侮辱しているような気がなってしまった。
俺は今、『COOL』と同化した女……つまり“人間”として彼女を捉えてしまったからだ。
彼女がどうして自分を“狼”と揶揄してるのか、事情を知らないわけではない。
148 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 19:45:14.11 ID: 4SVRL59Z0
『クー』と『COOL』が同化して、片方の人格が消えた。
そして自分が何者か分からないから、自分を機械扱いせず、人間扱いせず、赤頭巾に出てくる“狼”と例えてる。
自分が同化した相手を喰い殺したということを誤魔化さない為に。
それは自傷行為だ。
そしてそれは『狼』より適した言い方がある。
……犯してしまった事実によって相手を苦しめる物。
―――――人はそれを罰と呼ぶ。
彼女は自分で自分に罰を与えている。
俺はそれを……。
……思考を切り替える。
先ほどクーは「新しい物を造ってないなら、もう出てこない」と言ったな。
少し疑問に思ったので聞いてみるか。
_
( ゚∀゚)「新しい物について何か情報あるか?」
川 ゚ -゚)「『CUTE』という駄作くらいしか聞いてないな。
ちなみにそれは結構前に壊してる
……あー、その駄作含めたら3機壊してるんだな私は」
ふむふむ。
……お前、マジで強いな。
150 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 19:48:00.20 ID: 4SVRL59Z0
从*゚∀从「つえーじゃん。さすがサイボーグだな!」
川 ゚ -゚)「サイボーグ言うな雌パンダ。
あと、私の考えを言わせてもらうと……おそらく今、この国には戦闘支援AIがほとんどないと思う」
从#゚∀从「パンダ言「どうしてそう思うのだ?」(ФωФ )
ハインが言い終える前に爺さんがクーに質問してきた。
こいつに意見以外のことを言わせると場が荒れるので、爺さんが強引に話を進めたのだ。
爺さんGJ。
流石、付き合いが長いだけある。
川 ゚ -゚)「『CUTE』は『COOL』の残骸から造った劣化品だった。
なぜそんなことをしたのか?……劣化品を造った理由は2つ考えられる。
『COOL』に未練があった、もしくはVIPの戦闘支援AIが品薄になったか。
そのどちらかだ」
( ФωФ)「クーは後者だと考えたのか」
川 ゚ -゚)「ああ。
以前、現存の2機が非稼働になってた時があった。
その間を補うために『CUTE』が造られたと考えられるんだ。
……これはショボンの言ってたことだけどな」
ほう?ショボンがそう言ったのか。
あいつが言うことなら間違いないだろう。
ショボンなら情報に詳しいので信用できる。
騙してると考えられなくもないが、それならハインやクーの治療はしないだろうからそっちの面でも信用できる。
152 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 19:51:20.46 ID: 4SVRL59Z0
とりあえず現在、戦闘支援AIがないということはつまり……。
_
( ゚∀゚)「暗殺方法は狙撃でFA?」
全員に聞いてみた。
しかし、否定の声がクーから出てきた。
川 ゚ -゚)「いや、そう簡単に狙撃が成功するとは思えない。
私とてVIPの全てを知ってるわけではないんだ。
何らかの切り札を隠し持ってるものとして行動した方がいい」
ふむふむ、確かにそうだな。
しかし、そうなると、
从;゚∀从「切り札あるなら肉薄もできねえんじゃね?」
……ハインに言われてしまった。
切り札が対狙撃だけとは限らないしな。
クーがハインの疑問に口を開いた。
そして一言。
川 ゚ -゚)「接近戦のプロが何を言ってるんだ?」
その言葉にハインは黙った。
確かに接近戦のプロだからな、ハインは。
エモノは2本のナイフなわけだし。
154 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 19:53:53.70 ID: 4SVRL59Z0
_
( ゚∀゚)「まあ俺もそれなりに接近戦ができるから、ハインと一緒なら何とかなるか。
で、結局どの方法でいくんだ?」
川 ゚ -゚)「私は器用貧乏だからどれでもいい。でも爆破は勘弁願いたい」
从 ゚∀从「狙撃に3人もいらないだろ?
近距離での暗殺でもいいけど、オレとしては爆破の方が簡単そうでいいな」
川 ゚ -゚)「爆発物が手に入らないなら作るしかないが……結構骨だぞ。
遠距離から指令を出すタイプの爆発物を作るのは簡単だ。
ただ、威力をチェックできる場所がない。
加えて言うならチェック出来ても爆音で、最悪、vipperがワラワラ来ることも考えられる」
_
(;゚∀゚)「それは却下願いたいな」
暗殺実行前はあまり目立ちたくない。
なら接近して殺すか、狙撃で殺すかの2択になる。
どれが最善か分からないな……。
と、頭を悩ませているとクーの方から声が聞こえた。
川 ゚ -゚)「ロマネスク、近距離戦と遠距離戦……どっちがいいと思う?」
( ФωФ)「そうだな……」
爺さんはその問いにしばらく黙る。
俺たちも黙って爺さんの答えを待つ。
その間が1分も続かないうちに沈黙を破った。
156 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 19:57:20.82 ID: 4SVRL59Z0
( ФωФ)「老いぼれた私はどの実行役にも適さない。
だからどれにするか君たちに任せたいが……敢えて意見を述べさせてもらおう。
私としては肉薄しての暗殺を薦める」
_
( ゚∀゚)「理由は?」
( ФωФ)「確実性を採った考え方だ」
……なるほど。
狙撃が失敗する可能性もあるからな。
距離もそうだが風も厄介だ。
さらに言うなら、狙撃を回避する隠し玉があるかもしれない。
クーのような技能を持った機械とかな。
川 ゚ -゚)「ならどうにかして肉薄する手段を考えないとな」
そして再び場に沈黙が訪れる。
まあ沈黙と言うのは破られるものだ。
先ほどと同じように1分もしないうちに声が上がった。
沈黙を破ったのはハイン。
从*゚∀从「誰かが陽動で暴れまわればいいんじゃね?
モララーのすぐ近くで。
そうすれば敵もそっちに目が向く、警備がある程度固まるかもしれないが、モララーは動けなくなるから良案だろ!」
158 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 20:01:01.44 ID: 4SVRL59Z0
確かにメリットがあるな。
ただ、大量にデメリットも出てくるがな。
それをやれば暗殺じゃなくなるから警戒してvipperがわらわら集まりそうだ。
さらにいえばそれは、
_
(;゚∀゚)「明らかに危険な役だな。
誰がやるんだよ?」
从*゚∀从「もちろんオレ様」
(;ФωФ)「無茶はできないって言ってなかったか?」
从*゚∀从「これくらい無茶にも入らねーよ!」
うわー、ここに馬鹿がいるぞー。
これは1発ガツンと言ってやらねば。
_
( ゚∀゚)「お前は今、弱いんだからやめとけ」
从#゚∀从「あ゛ん?」
_
( ゚∀゚)「ここは俺がやる」
从#゚∀从「手前こそ弱いくせにしゃしゃり出んな!!」
159 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 20:03:33.62 ID: 4SVRL59Z0
_
(#゚∀゚)「うるせえよ!」
お前じゃ無茶なんだよ!
ムカッと来たのでそう言ってやろうと思った。
が、それを言う前に別の口から声が出た。
川 ゚ -゚)「ここは私がやったほうがいいな。私が1番生き残れそうだ」
クー……お前空気嫁よ。
お前は俺たちの中では1番狙われてるんだから出てくんなよ。
从#゚∀从「手前は引っ込んでろサイボーグ!!」
_
(#゚∀゚)「お前は大人しく補佐でもやってろ鉄仮面!!」
共通の敵とみなしたのか、ハインと息が合った。
こういうときだけ息が合うのも困りものだが……まあいい。
とりあえずクーが引っ込めばそれでいい。
しかし、クーもクーでムカついたのか、一言だけ俺らに向かって言葉を発した。
川#゚ -゚)「……キミ等ちょっと浴室まで来い」
_
(;゚∀゚)从;゚∀从 「「ごめんなさい」」
結局、陽動役はクーに決まった。
なんていうか……鶴の一声っていうのはこういうのを指すのか?
160 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 20:06:13.65 ID: 4SVRL59Z0
( ФωФ)「えーと……陽動役はクーでいいとして暗殺役は誰がやる?」
_
( ゚∀゚)「できれば2人以上ほしいな。
実行役とその補佐役で」
从 ゚∀从「そこはオレとジョルジュでいいんじゃね?」
( ФωФ)「ならば決まりだな。
暗殺組はジョルジュとハイン。
陽動組はクーと私。
異論がなければこれで話を進めるが」
ん?ちょっと待った。
異論があるので挙手する。
これだけはどうしても言っておかなければならない。
( ФωФ)「どうしたジョルジュ?」
_
( ゚∀゚)「いや、ちょっと言い忘れてたことがあるんだけどさ」
_
( ゚∀゚)「爺さんは後処理を頼む。
暗殺も陽動もしないでほしい」
162 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 20:08:33.30 ID: 4SVRL59Z0
(#ФωФ)「……お前は私を年寄り扱いするのか?
私はまだまだ元気だぞ!!」
_
( ゚∀゚)「それでも向き不向きがある」
从 ゚∀从「手前には今死なれると困るんだよ」
ハインも俺に続く。
流石、付き合いが長いだけある。俺の言いたいことを理解している。
ただ、クーは若干戸惑い気味だが。
川 ゚ -゚)「死なれると困る……とは?」
从 ゚∀从「このジジイ、実はVIPの議員さん」
川 ゚ -゚)「……あー」
ハインがそれだけ言うとクーは少し考えて納得してくれた。
頭がいいだけのことはある。
(#ФωФ)「議員だから何だというのだ!
VIPの政策は酷いの一言に尽きる!
だが私にはこの国を変えるだけの力がない!!
だから力づくでも変える流れを作らなければならないのだ!!
そうしなければ……あのクレーター群の下で息絶えてなお泣いている住民に示しがつかないだろうがッ!!!」
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(#゚∀゚)「馬鹿野郎!!
VIPのトップを暗殺しただけでこの国を変えれると思ってるのか?!」
164 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 20:11:39.45 ID: 4SVRL59Z0
そう、革命というものはそれくらいでは成立しない。
爺さんはそれを忘れたのか?
ならば、このボケジジイにも分かるように1から教えてやるよ。
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(#゚∀゚)「革命というのはな、国民が起こすものなんだ!
分かるか?国のトップを殺したくらいじゃ足りないんだ!
俺ら4人じゃ足りなすぎなんだよ!
俺らがやることは事実を作ること!
国民によってトップが殺された事実を流して、“国民にも力がある”と思わせることなんだ!!」
VIPでデモを起こすとvipperが潰しにかかる。
この国の人々はvipperなんて知らないだろう。
しかし何者かが止めに入って……そして反政府活動が死に直結することを理解してるだろう。
だから悪政にも何も言わない。
泣き寝入りするしかないのだ。
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(#゚∀゚)「だがな、力があると思う前にどうしてもある状況に陥ってしまうんだ!!
国のトップがいなくなれば間違いなく国民は動揺する!混乱する!
だったら誰かが手綱を握らなければならないだろうが!!!」
(;ФωФ)「……!!」
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(#゚∀゚)「そして手綱を握るのは手の綺麗な奴じゃないと駄目なんだ!!
混乱に乗じて今までより酷い政策やられてはたまらないからな!!
国を想ってる爺さんの気持ちはよく分かる!
だがな、それが行動に表れてなければ無意味なんだよ!!
俺らがやろうとしていることはあんたやVIPを無意味にすることだ!
それくらい分かってんだろクソジジイ!!!」
165 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 20:14:16.12 ID: 4SVRL59Z0
手を汚した政治家なんて誰もついて来はしない。
そして、その政治家自身に一生つきまとう。
どこで情報が漏れるか分からない。
ここは隠れ家だし、爺さんもたまにしか訪れないからいいが……暗殺に加わってしまったらどうなるか分からない。
成功するか保証できないんだ、命からがら逃げ延びたとしても政治生命は終わる。
だからもし俺らが失敗したときに、俺らと同じように仲間を集めて再度、暗殺を企てるくらいのゆとりを持ってほしい。
だから……
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( ゚∀゚)「だからあんたは後処理を頼む。……分かってくれ」
( ФωФ)「とても不満だが……………心得た」
その言葉を聞いて一気にクールダウンした。
……納得してくれてありがとう。
そして場に3度目の沈黙が訪れる。
今度は3分経っても破られない。
原因は分かってる……俺だ。
つい熱くなってしまったので、爺さんはもちろん、クーやハインも委縮してしまってる。
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(;゚∀゚)「頼む……何か話してくれ」
居心地が悪かったので思わず呟く。
コホン、と咳払いが聞こえた。
クーだった。
川 ゚ -゚)「とりあえず名演説だったぞ」
166 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 20:17:21.51 ID: 4SVRL59Z0
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(;゚∀゚)「そこをつっこまないで」
川 ゚ -゚)「それなら話を戻そうか。
あとは逃亡手段だが……これはあとで話し合おう」
从 ゚∀从「なんでさ?」
川 ゚ -゚)「決行日にモララーがどこにいるのかショボンに聞かなきゃ分からない。
そして場所を把握してないから逃亡手段も立てられない」
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( ゚∀゚)「確かにそうだな」
( ФωФ)「ならば今日はこれで終わりだな。
決行日は皆の都合のいい日にしたいのだが」
从 ゚∀从「オレはいつでもだいじょーぶだぜ!!」
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( ゚∀゚)「俺は銃のメンテや弾を買い揃えたいから……んー、3日ほど待ってくれ」
( ФωФ)「クーは?」
川 ゚ -゚)「仕事は休ませてもらうからいいとして、マニュアルの整理もろもろがあるから。
そうだな……1週間くらいだな」
167 名前: ◆pGlVEGQMPE Mail: 投稿日: 2008/04/29(火) 20:20:09.34 ID: 4SVRL59Z0
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( ゚∀゚)「なら10日後の午前3時、決行でいいか?」
从 ゚∀从「おk」
川 ゚ -゚)「把握」
( ФωФ)「問題ない」
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( ゚∀゚)「念のため繰り返すが……後処理頼んだぜ」
(#ФωФ)「……まだボケてないから2度も言わなくていいぞクソガキ」