3 : ◆pGlVEGQMPE :2007/09/06(木) 13:10:00.88 ID:MYI35SKJ0
     〜プロローグ〜

走る。
走る。
とにかく走る。

早くあそこへ行かなければ体を休めることもできない。
それ故走っているのだが、不意に体がぐらつきビルの壁に寄りかかってしまう。

少し休むとしばらく動けなくなるだろうから気合を入れて走り出そうとする。
が、体が休息を欲しているためか、そのまま壁に伝う水滴のようにずるずると腰を低くしていき、ついには座り込んでしまった。

川  - )「くっ……はぁっ………」

くらくらする頭を振って周囲を確認する……よし、追手は来てないな。
ならば少し休んでおこう。
先ほどから走りっぱなしで体を酷使しすぎたからな。

空を見上げると綺羅星が私を見下ろしている。
壁を伝って水が頭に垂れてきて少し冷たい。
先ほど壁に寄りかかったからなぁ……血が垂れてくるのは仕方のないことだが気分が滅入る。

 

4 : ◆pGlVEGQMPE :2007/09/06(木) 13:12:09.48 ID:MYI35SKJ0

私の体は血塗れだった。
漫画や小説のように返り血だったらまだ気が楽なのだが、全身を濡らしている赤は紛れもなく私の血だ。
1時間ほど前に大手術を行ったばっかりで体のあちこちで出血が見られる。
よくまあこんなにも走れたものだなと思う。

痛い。
痛い。
体はかなり痛い、でも。

体なんかよりも心が痛い。

川  - )「はぁっ……はぁっ…………はは」

心が、痛い。
どうして…………

川  ー )「ははは……あははははははははははははははははははは」

これほど滑稽で悪趣味な自分に笑ってしまう。
どうして…………

 

5 : ◆pGlVEGQMPE :2007/09/06(木) 13:15:30.30 ID:MYI35SKJ0

川 ; ー;)「あははははははははははははははははははははははははははははははははははははあっ!!」

 

どうして私はキミを喰ってしまったんだ?

 

川 ; ー;)「ははははっ!!ごめんな、ごめんなあ!私だけが生き残ってしまってごめんなあ!!」

 

己の赤で染め上げた服を着て、狼はなお笑う。
この笑いを止める方法など知らない、誰か教えてくれるのなら教えてくれ。

 

……痛い。

 

     〜プロローグ fin〜

 

 

 

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