13 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: sage 投稿日: 2007/11/28(水) 23:41:38.39 ID: XHFGDcY+O
2nd「what happened?」

教室に戻った僕は購買部で買ったパンを昼食としてとり、
短い昼休みから午後の授業の終わりまでずっと居眠りをしていた。

情報収集をする、とは言ったものの知識が得られる教科は限られる。
ジョルジュも僕と同じ考えのようで昼食を済ますと眠りについていた。

( ―ω―)「ZZZ……」

( -∀-)「ZZZ……」

僕らが夢の世界にいる間も時計の針は進み、今日の授業は終了した。

 

 

15 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/28(水) 23:42:24.28 ID: XHFGDcY+O
そして午後のHR。
先生が簡潔に明日の予定等を伝える。
そしてそれも終わり……

( ,'3 )「それじゃあ今日はこれまで。さようなら」

生徒からの小さな返事を聞くこともなく、先生が教室を出る。

( ^ω^)「……………」

僕はなんとなくジョルジュの方を向いた。

(゚∀゚)

( ^ω^)「こっちみんな」

( ゚∀゚)「ちょ、ひでぇな。まあそれよりお前放課後暇だろ?」

 

 

16 名前: ◆toM5rBS.ck Mail: 投稿日: 2007/11/28(水) 23:43:19.35 ID: XHFGDcY+O
( ^ω^)「まあ帰宅部だし、暇だお」

( ゚∀゚)「なら図書室でも行かねぇか?」

( ^ω^)「お?なんd……」

ああそうか情報収集か。
なるほど、図書室なら生徒向けに分かりやすい歴史の本もあるかもしれない。
町の図書館に行くより手早く情報が集まるだろう。

( ^ω^)「分かったお。」

( ゚∀゚)「よっしゃ、善は急げ、だ。行くぞ」

言いながら教室を出るジョルジュ。
慌てて僕も後を追った。

 

 

17 名前: ◆toM5rBS.ck Mail: 投稿日: 2007/11/28(水) 23:45:08.97 ID: XHFGDcY+O
三階のほぼ中心部にある図書室には僕ら以外に誰もいなかった。
本来なら図書委員が本の貸出し等の受付として
この部屋に一人はいるはずなのだが誰もいない。

( ^ω^)「誰もいないおね」

( ゚∀゚)「大方サボりだろ。まあいない方が助かるが」

椅子に座りながらジョルジが言う。
僕も同意しようとしたその時

「おやおや、なら私は帰った方が良いのかな?」

不意に、僕らの背中から声がした。

( ゚∀゚)「あん?誰かいんの……っ!!」

問いかけの途中でジョルジュが言葉を失った。
僕も後ろを振り返り、
そして絶句した。

 

 

18 名前: ◆toM5rBS.ck Mail: 投稿日: 2007/11/28(水) 23:47:01.87 ID: XHFGDcY+O

川 ゚ -゚)

そこにいたのはとても整った容姿をした女子生徒だった。
なるほどジョルジュが絶句するわけだ、
どこか冷静さを感じさせるその顔は、見る者を虜にするのに充分だろう。

川 ゚ -゚)「2年7組図書委員のクーだ。」

表情を崩さぬまま挨拶をするクー。

( ゚∀゚)「あっ、ああ……2年1組のジョルジュだ。」

( ^ω^)「同じく2年1組のブーンだお。始めましてだお」

始めまして、と挨拶したものの僕は彼女を知っている。
恐らくジョルジュも同様だろう

 

 

19 名前: ◆toM5rBS.ck Mail: 投稿日: 2007/11/28(水) 23:48:42.81 ID: XHFGDcY+O
7組のクーと言えば
容姿淡麗、成績優秀、運動神経抜群とまさしくパーフェクト人間である。
そんな噂がほとんど関わりのない僕らの耳にも何度か入ってきた。

7組の男子たちはこぞって彼女にアタックを繰り返したと聞くが、
実際会ってみると確かに玉砕覚悟で特攻するのに充分な魅力がある。

しかし彼女はどの男子たちの告白も断ったとも聞いた。
まあ多数の異性から好感を持たれる人間の気持ちは分からないが、
正直、うらやましい。
そして、もったいない気もする

 

 

21 名前: ◆toM5rBS.ck Mail: 投稿日: 2007/11/28(水) 23:50:30.59 ID: XHFGDcY+O
川 ゚ -゚)「悪かったな、仕事はちゃんとしてるつもりなんだが。」

( ゚∀゚)「いや俺が悪い。すまん……」

クーの言葉は本心かそれとも皮肉か
その変化のない表情からは伺い知れない。
それにある種の諦めを抱いたのかジョルジュが謝った。

川 ゚ -゚)「まあいい、気にしないでくれ。で、何の用だ?」

用、というのは図書室に来た理由だろうか
それなら……

( ゚∀゚)「この国の歴史について調べたい。」

僕の開きかけた口で言おうとしたことをジョルジュが言った。

川 ゚ -゚)「歴史書は窓側の左奥だ」

クーが言うとジョルジュは返事もせずに立ち上がり、目的の本棚に向かった。

 

 

23 名前: ◆toM5rBS.ck Mail: 投稿日: 2007/11/28(水) 23:51:59.86 ID: XHFGDcY+O
( ^ω^)「……………」

川 ゚ -゚)「……………」

沈黙

ただただ重い空気が僕とクーの間に漂っていた。

早くジョルジュに戻って来てほしい
そんな気持ちが僕の中に渦巻いていた。

川 ゚ -゚)「……ブーン君、だったよな」

( ^ω^)「はっ、はい。そうですお」

川 ゚ー゚)「ははっ、改まる必要はないぞ。呼び名もクーで良い。クラスの輩のさん付けにはうんざりだ。」

そう言って笑うクー。
素直に、可愛いと思った。

 

 

24 名前: ◆toM5rBS.ck Mail: 投稿日: 2007/11/28(水) 23:53:31.93 ID: XHFGDcY+O
( ^ω^)「じゃあ僕もブーンで良いですお」

川 ゚ -゚)「分かった。ところで、歴史書なんか読んでどうするんだ?」

( ^ω^)「それは……」

言葉が見つからなかった。
自分達がこの世界のことを知らないなどと言っても、
きっと信じてもらえないだろう。

川 ゚ -゚)「言いづらいなら良いぞ。人にはそれぞれ事情がある。それに」

ここで息を一つ吸った。
そして続ける。

川 ゚ -゚)「未知の世界について調べるのは、悪い選択じゃない。」

 

 

25 名前: ◆toM5rBS.ck Mail: 投稿日: 2007/11/28(水) 23:55:58.94 ID: XHFGDcY+O

息が詰まるとはこのことだろう。

実物のクーを初めて見たときに似た、
しかしそれよりも明らかに大きな衝撃。

なんで、なんで

クーが僕らの目的を知っているんだ?

僕らとクーは初対面で、しかも自己紹介がすんだ程度だ。
もちろん僕らが図書室に来た目的なんか言ってない。

なのに、クーは知っていた。

何故?なぜ?ナゼ?

 

 

26 名前: ◆toM5rBS.ck Mail: 投稿日: 2007/11/28(水) 23:57:32.12 ID: XHFGDcY+O

川 ゚ -゚)「聞きたいかい?何故私が君達の目的を知ってるのか」

クーが問う。

( ゚∀゚)「ああぜひともお願いしたいね」

本を数冊持って戻ってきたジョルジュが答えた。

( ^ω^)「ジョルジュ……」

( ゚∀゚)「一体どうなってんだ?意味が分からねぇ」

大袈裟に両手を上げてジョルジュが言った。

川 ゚ -゚)「そうだなまずはこの国の成り立ちについて話そうか。むかしむかし……」

そう言ってクーは語り始めた―――。

 

 

27 名前: ◆toM5rBS.ck Mail: 投稿日: 2007/11/28(水) 23:59:10.04 ID: XHFGDcY+O
むかしむかし

この地球にはたくさんの国がありました。
それぞれちがった発展をとげていく国々。
地球でくらすひとはみんな幸せでした。

しかしそんな幸せな日々はとつぜんのおわりをむかえます。

なぜそうなったのかはだれも知りません。

人類があらそった結果だとか
隕石がぶつかったからだとかと後々議論が始まりますが、
本当のことを知っているひとはいません。

おわりをむかえた地球には草のひとつも残りませんでした。

 

 

28 名前: ◆toM5rBS.ck Mail: 投稿日: 2007/11/29(木) 00:00:24.99 ID: /yscA46wO
それを見て神さまは悲しみました
そして悔やみました
自分の創った人間のあやまちは
じぶんにも責任があるとおもったのです。

そして、神さまは人間を愛していました。
悩み、考え、喜ぶ。
そんな人間が神さまは大好きだったのです。

神さまはしばらく考えた結果、
人間にもう一度チャンスをあげることにしました。

 

 

29 名前: ◆toM5rBS.ck Mail: 投稿日: 2007/11/29(木) 00:01:42.42 ID: /yscA46wO

神さまは暗い淀みが支配する世界に三つの国をつくりました。

一つは土地のすべてが凍っている国
もう一つは絶えず火山が噴火を続ける国
さいごに自然の豊かな昔の地球によく似た国
この三つの国に均等に人が割り振られました。

やがて三つの国は発展し、争いが始まりました。

豊かな自然を求めて―――、
『緑の国』と他の国との争いです。

 

 

31 名前: ◆toM5rBS.ck Mail: 投稿日: 2007/11/29(木) 00:03:26.93 ID: /yscA46wO
しかし『緑の国』は争いに破れませんでした。
豊富な資源を利用した『緑の国』の兵器は、
他の国のそれとは段違いでした。

やがて、他の国も『緑の国』と友好な関係を築くことにしました。
争うだけ無駄だと考えたのです。

そうやって『緑の国』を中心に平和な世界が築かれました。

神さまはその世界を見守り続けています

めでたしめでたし

 

33 名前: ◆toM5rBS.ck Mail: 投稿日: 2007/11/29(木) 00:04:50.84 ID: /yscA46wO
川 ゚ -゚)「……というわけだったとさ」

( ゚∀゚)「それでこの国が出来た、と」

何故か納得しているジョルジュ。
ちょっと待て
そうじゃないだろう。
僕らが聞きたいのは……

( ^ω^)「で、なんでクーは僕らの目的を知ってるんだお?」

クーの話を聞く限り、僕らの住んでいた世界は遠い昔のようだ。
つまり、僕らはタイムスリップした、ということだろう。

その世界でもあくまで成績優秀な一生徒だったクーが、
僕らの事情を知っているような口ぶりをしている。

疑問を持たない方が、おかしいだろう。

 

 

34 名前: ◆toM5rBS.ck Mail: 投稿日: 2007/11/29(木) 00:06:14.90 ID: /yscA46wO
川 ゚ -゚)「ああ、そのことについてはさっきの話の続きがあってな。」

( ^ω^)「早く言ってくれお」

川 ゚ -゚)「世界は平和を迎えたが……」

神さまにはひとつ不安がありました。

それは、他の二国がいつか強力な兵器を開発して再び争いを起こすことでした。

もしかすると、科学力が発達し、強力な兵器が『緑の国』を襲うかもしれません。
そうしたら『緑の国』も大きな損害を受けます。

世界が再び過ちをおかすかもしれないのです。

 

 

37 名前: ◆toM5rBS.ck Mail: 投稿日: 2007/11/29(木) 00:08:13.95 ID: /yscA46wO
そこで、もし世界が再び過ちをおかし、
また暗い淀みが支配するようになってしまいそうになったときのために、
神さまは一つの救済措置をとりました。

それは、『氷の国』と『火の国』に合わせて五人の『メモリー』と呼ばれる、
むかし、世界中が『緑の国』のような美しい場所だったころに
地球に暮らしていた人たちをこの世界に連れてきて
それぞれに他の住人と同じように生活をさせる、というものです。

 

 

38 名前: ◆toM5rBS.ck Mail: 投稿日: 2007/11/29(木) 00:09:26.47 ID: /yscA46wO
川 ゚ -゚)「そして……」

はな〜れてくらすき〜みに〜♪

クーの話がいよいよ、というところで僕の携帯が鳴った。
ドクオからの着信だった。

( ^ω^)「ごめんだお」

断りを入れて電話に出る

( ^ω^)「もしもしドクオ、どうしt」

(;'A`)「おっ、おいブーン!!テ、テレビつけろ!!早くっ!!」

ドクオの焦りがただ事ではないことを物語っていた。
慌てて図書室に備えつけられているテレビをつける。

そこに映っていたのは―――

2nd「what happened?」
終わり

 

 

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