1 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/25(日) 21:06:27.91 ID: 3vugzFAdO
「早く起きなさい、もう友達来てるわよ」

母さんの声で僕は目覚めた。
いつもと同じ朝
変わらない日常

寝ぼけた体を引きずり階段を降りる

顔を洗い歯を磨いて身支度をする
学ランをはおれば準備オッケー

朝食はとらずに扉を開く

('A`)「よおブーン。」

ξ゚听)ξ「ほら早く行くわよ」

いつも通りの仲間の声

( ^ω^)「おっおっ、ごめんだ……ん?」

ここで『異変』に気がついた

なんでこんな寒いんだろう

なんで辺り一面凍っているんだろう―――

( ^ω^)ブーンは氷の世界に生きるようです

 

 

2 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/25(日) 21:08:18.52 ID: 3vugzFAdO
1st「ice world」

('A`)「ん?どうした?」

あまりの気温と周囲の景観の変化に言葉を失った僕にドクオが尋ねる。

それはドクオがこの状況を異常だと思っていないことを物語っていた。

(;^ω^)「え……いや、ちょっと……」

少し頭を整理する必要がある。

確か昨日までは春の暖かな陽気がこの街を包んでいたばずだ
それが今や辺り一面銀世界―――ではない。
ただの、氷だ。

そしてそれを目の前の二人は特に気にしている様子はない

と言うことは―――

ξ#゚听)ξ「早くしてよね!!遅刻なんかしたくないのよ!!」

 

 

5 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/25(日) 21:09:32.00 ID: 3vugzFAdO
ツンが吠えた。

しかしそれを気にとめず僕は思考を巡らす。

…………
………
……

結局僕は一つの結論に辿り着いた

恐らく、夢だろう

あまりにも平凡すぎるが今のこの状況に納得するにはこれしかない。

( ^ω^)「ごめんだお。じゃあ行k」

ξ#゚听)ξ「急げって言ってんだろうがぁっ!!」

堪忍袋の緒が切れたツンが僕の腕をグイ、と引っ張ったのは
僕が安易な結論に達したのとほぼ同時だった。

 

 

8 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/25(日) 21:11:05.89 ID: 3vugzFAdO
(;^ω^)「ちょ、痛いお、やめてくれおツン」

ξ#゚听)ξ「フン、自業自得よ」

しばらくしてようやく離された腕からはジンジンという痛みが伝わってきた。

ん?確か夢では痛みって感じないんじゃ……
ってことは……
いや、そんな不毛な考えはやめよう
夢の中なんだから精一杯楽しもうじゃないか

自分の不安を振り払うようにブンブンと首を振る。

('A`)「何してんだ、早く行くぞー」

少し前に進んでいる二人まで駆け足で近寄った。

 

 

9 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/25(日) 21:12:45.88 ID: 3vugzFAdO
そこからは三人で並んで歩く。
僕の家から学校までは徒歩約20分
その道の半ばほどで僕は疑問を口にすることにした

( ^ω^)「二人は寒くないのかお?」

何気ない日常の会話を装いながら情報を聞き出す。
僕的にはほぼパーフェクトな質問だった。

ξ゚听)ξ「?別にそんなことないけど?」

('A`)「おいおい、もう春は来てんだぞ。風邪でも引いたか?」

( ^ω^)「……いや、別になんでもないお」

 

 

11 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/25(日) 21:14:18.09 ID: 3vugzFAdO
ふむ
二人の答えを聞く限りは、
どうやら今の季節は春でこの寒さはまだマシな方のようだ。
まあマシ、とは言っても僕にとっては身も凍るような寒さなのだが

早くこの寒さに慣れる必要があるな

そんなことを考えているうちに学校に着いた。

ξ゚听)ξ「まだ少し時間には余裕あるわね……良かった。」

ツンの言葉を聞きながら『VIP高等学校』と書かれた校門をくぐる。

 

 

13 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/25(日) 21:16:15.69 ID: 3vugzFAdO
学校の敷地内の景色も凍っていた。
木々や草花はひとつもなく、寂しい光景を作っている

そこをしばらく歩くと三階建ての校舎に辿り着いた。

校舎内に入ってすぐにある靴箱に脱いだ靴を置く。

靴のデザインは僕がいつも履いているスニーカーと同じ。
白地と赤で彩られたシンプルなスニーカー
しかしその裏側が僕の知っているそれではなく、
黒色の分厚いゴムのような物がくっついておた。
見ると他の靴にも同様のものがついていた。

ああそうか滑り止めか
氷は滑るもんな、と一人ごちる僕の頭には

この世界が夢だという考えは
すでに消え失せていた―――

 

 

14 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/25(日) 21:17:43.36 ID: 3vugzFAdO
(´・ω・`)「おはようブーン」

( ^ω^)「おいすー、おはようだおショボン」

教室に入ると色々なクラスメートが声をかけてくる

しかし、その誰もが校舎の外の景色については触れない。

触れてはいけない話題だから触れないのではなく、
触れる必要もないから触れない
そんな自然な感じを受けた。

 

 

 

15 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/25(日) 21:19:40.06 ID: 3vugzFAdO
やがて授業が始まった。

一時間目のHRから始まり
物理、数学と僕は全て居眠りしながら過ごした。

( ―ω―)「ZZZ……」

ξ ゚听)ξ「ちょっと、なに寝てんのよ。起きなさい」

ドゴッ

( ゜ω゜)「はうっ!!し、死ぬ……」

……何度か隣の席のツンに拳による制裁をうけたけど

そうして迎えたのは四時間目の歴史
普段ならこれも居眠りで過ごすのだが、
今日は授業を真面目に受けることにした。

 

 

16 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/25(日) 21:21:18.71 ID: 3vugzFAdO

なぜならこの世界のことを少しでも知りたいからだ。
もしかするとこの世界を理解する上で有益な情報が得られるかもしれない
特に理由はないがそんな気がした。

( ´∀`)「じゃあ授業を始めるモナ」

独特な口調で授業を始めるモナー先生。

基本的に社会の授業の最初には、
その時間に学ぶことについて要約したものが黒板に書かれる。

のんびりとした動作で大きな読みやすい文字でモナー先生が書いた言葉は

『我が国と周辺国家の関係』

だった。

 

 

19 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/25(日) 21:23:03.43 ID: 3vugzFAdO
ほぼ僕の狙いとドンピシャだ
僕は小さくガッツポーズをし黒板の字をひたすらノートに写していった。

今までで一番集中しているであろう時間は過ぎていく。
僕はその凄まじいスピードを変えず次々に文字を書いていく。

(;゚∀゚)「どうしたんだブーン……居眠り魔のお前が」

不意に声がした。
僕の右斜め後ろの席に座るジョルジュからの声である。

 

 

20 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/25(日) 21:25:15.78 ID: 3vugzFAdO
( ^ω^)「まあなんとなくだお。それよりジョルジュも普段寝てるくせに何で授業聞いてるんだお?」

そう、彼も僕と並ぶほどの居眠り魔なのである。
そんな彼が授業を受ける姿を僕は見たことがなかった

( ゚∀゚)「まあ、なんとなくだ」

( ^ω^)「人間は日々進化するんだお」

( ゚∀゚)「……だな」

ジョルジュとの会話を終えた僕は再び机に向かった。

 

 

22 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/25(日) 21:26:35.79 ID: 3vugzFAdO
キーンコーンカーンコーン

( ´∀`)「じゃあ今日はここまで。」

それからしばらくして授業が終わった。

他の者が昼食の準備を始める中、僕は人目を避けるように教室を出た。

僕達二年生のいる二階から更に二階上。

屋上に出て先ほどの授業でとったノートを広げる。
誰もいない屋上に白い息を吐きながら内容を整理していった。

 

23 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/25(日) 21:28:13.86 ID: 3vugzFAdO
今日分かったことを要約するとこうだ

僕達の住むここは『氷の国』という名前で、
この世界には他に『火の国』、『緑の国』という二つの国がある。

昔は世界中が『緑の国』のように美しい自然に囲まれていたが
原因不明の天変地異により氷漬けの土地や火山の噴火の続く土地が生まれた。

人類は『緑の国』を巡って争いが絶えない

この三つが今日の授業で分かった。

( ^ω^)「何処の世界でも争いは絶えないのかお……」

どこまでも続く氷の世界を見ながら僕は呟く。

ブルッ

(;^ω^)「寒いせいでおしっこ漏れそうだお」

どんな考えごとをしても所詮は人間
寒さから来る尿意に耐えられず、僕は屋上を後にした。

 

 

24 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/25(日) 21:30:03.04 ID: 3vugzFAdO
僕の教室の横にあるトイレに入ると、そこには先客がいた。

( ゚∀゚)「おっ、進化したブーンじゃないか。」

( ^ω^)「進化したジョルジュ、どうしたんだお?」

などと軽口を叩きながら用を足す。

( ^ω^)「ふぅ〜ごくらくごくらく。」

用を済ますと手を洗う。

少し躊躇したが思い切って流れる水に手を突っ込んだ。

 


26 名前: >>25訂正 Mail: 投稿日: 2007/11/25(日) 21:32:52.42 ID: 3vugzFAdO
(;^ω^)「……………」

とてつもなく、冷たい
刺すような痛みに少し顔を歪めた。

( ゚∀゚)「……………」

その様子をジョルジュがどこか興味深そうに見つめている。

僕はそれを何故か見られたらいけないような気がして、

(;^ω^)「ジョ、ジョルジュ居たのかお」

あわてて問いかけた。

( ゚∀゚)「なあブーン……」

そんな僕に対してジョルジュはゆっくりと言葉をつむぐ

( ゚∀゚)「今日、寒くないか?」

 

 

28 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/25(日) 21:34:09.32 ID: 3vugzFAdO
ドクン

心臓が一つ、大きく脈を打った。
その音が僕自身にも分かった。

僕は記憶と照らし合わせて考える。

「今日寒くないか?」という質問
言い方さえ違えど聞きたいことは同じだ
ドクオとツンに対しての僕の言葉と僕に対してのジョルジュの言葉
全く同じだ

更には突然歴史の授業だけを真面目に聞くという行動
僕は眠っていたから真実は分からないが、
多分ジョルジュも三時間目までは寝ていたはずだ

同じ言葉に同じ行動

そこから導き出されるのは―――

( ^ω^)( ゚∀゚)「この世界おかしくないか(お)?」

 

 

29 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/25(日) 21:35:29.89 ID: 3vugzFAdO
( ゚∀゚)「あ……」

( ^ω^)「お……」

しばらく沈黙が訪れる

( ゚∀゚)「だよなあ!!なんで凍ってんだよって話だよなあ!!」

( ^ω^)「おっおっ、しかも誰も気にしてないし、本当に」

( ^ω^)( ゚∀゚)「意味不明だよ(お)なー」

本日二回目のハモりに僕らはテンションが上がった。

良かった、今の状況を分かち合えるやつがいて
それだけでもかなりの助けになる

 

 

33 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/25(日) 21:36:46.81 ID: 3vugzFAdO
その後、僕はジョルジュに今まで分かったことを伝えた。

痛みを感じるから恐らく夢ではないこと
靴の裏がゴムのようなものになっていたりと、この環境に人々は馴染んでいることなど、
授業の内容も含めて情報を共有した。

( ゚∀゚)「……俺からは一つだけだ」

( ^ω^)「何だお?」

( ゚∀゚)「『緑の国』っつー国は軍事力が凄いらしい。それで他の二国は手を出せないみたいだ」

 

 

35 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/25(日) 21:37:53.46 ID: 3vugzFAdO
なるほど、他の二国よりも恵まれた土地にも関わらず、
支配されたりしていないのはそういう訳か

( ^ω^)「把握したお、引き続き情報収集を続けるお」

( ゚∀゚)「りょーかい」

ジョルジュの返事を聞きながらトイレをでる。

……それにしてもお腹空いたな……

豪快に音をたてる腹部をさすりながら教室に向かった―――

 

 

37 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/25(日) 21:39:41.80 ID: 3vugzFAdO

「大佐!!ご報告申し上げます!!」

「……なんだ、言ってみろ」

「『氷の国』にて『メモリー』を発見しました。」

「ふむ……」

「どういたしましょうか、いますぐ捕獲を」

「いや、その必要はない。それより『火の国』の『メモリー』の方が先決だ」

「はっ!!それでは失礼します」

「ふふ、『氷の国』の『メモリー』か……」

( ・∀・)「どんなツラか、楽しみだな」

1st「ice world」
終わり

 

 

 

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