それから数週間後、ブーンとツンは定期的に様子を見に、産婦人科に訪れていた。
相変わらず忙しそうな院内は健在だ。
/ ,' 3 「ツンさーん!どうぞ!」
荒巻の現役ぶりも変わらない。
ξ゚听)ξ「はーい!それじゃブーン、いってくるね」
( ^ω^)「おっおっ!把握したお!」
随分大きくなったお腹に負担をかけないようにと気をつけながら診察室へ向かう。
その姿はもう立派な母親に見えた。
3 名前: ◆gk43jgqTBM Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 18:54:33.29 ID: GagsF81f0
( ^ω^)「・・はやいもんだお。時の流れも」
そう呟き、小さくため息を吐いたブーン。
前までは恋人同士だったのに、今は結婚して子どもまで居る。
いつでも時の流れはあっという間。充実している時なら更に。
( ^ω^)「・・・・・・・・・」
思わず感傷に浸ってしまう。自分はもう1児の父親になるのだ。
いまいち実感が湧かないのは事実だ。
( ^ω^)「・・子どもが無事に成長してるといいんだお」
小さな声でそう呟いて、ツンが入っていった診察室を見つめる。
様々な気持ちが入り混じりながら。
5 名前: ◆gk43jgqTBM Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 18:55:55.69 ID: GagsF81f0
/ ,' 3 「ふーん・・お子さん、順調ですね。そろそろ陣痛も始まるんじゃないかと思います」
ξ゚听)ξ「ほ、ホントですか!?」
/ ,' 3 「ええ、おそらく無事に生まれてこれますよ。私が保証します」
にっこりと明るい笑顔と一緒に話す荒巻。
その笑顔に釣られてなのか、ツンもとびっきりの笑顔を見せた。
ξ*゚听)ξ「よかったぁ・・!!」
顔が少し紅潮している。よっぽど嬉しかったのだろう。
荒巻の顔もその笑顔を見てなのか、ほんのり赤くなった。それほど、ツンの笑顔は魅力的なのだ。
6 名前: ◆gk43jgqTBM Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 18:58:02.80 ID: GagsF81f0
/ ,' 3 「でも油断しちゃダメですよ。もう講習は受けてますよね?」
ξ゚听)ξ「え、講習?」
/ ,' 3 「え・・」
疑問系の答えが返ってきて、荒巻は耳を疑った。
/ ,' 3 「もしかして・・赤ちゃんが生まれる前の事前講習、受けてないんですか・・?」
ξ゚听)ξ「存在さえ知りませんでした」
/ ,' 3 「ちょwwwwwwwwwwwうぇwwwwwwww」
7 名前: ◆gk43jgqTBM Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:00:48.99 ID: GagsF81f0
ξ゚听)ξ「だ・・大丈夫ですか?」
いつもの荒巻先生じゃないっ!といわんばかりの狂い方に少しビックリしたツン。
だが自分が大事な講習を受けていないという事だけは把握した。
/ ,' 3 「し・・失礼。その様子じゃ受けていないみたいですね・・」
ξ゚听)ξ「はい・・すいません」
/ ,' 3 「うーん・・仕方ないですね。私がここで教えます。覚えて帰ってくださいね」
ξ゚听)ξ「ホントですか!?ありがとうございます!」
優しい荒巻先生の配慮により、レクチャーを受けるツン。
8 名前: ◆gk43jgqTBM Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:02:42.59 ID: GagsF81f0
/ ,' 3 「・・・こんな感じです。わかりました?」
ξ゚听)ξ「はい!ヒッヒッフー!!」
/ ,' 3 「・・今は使わなくていいんですよ。ラマーズ法」
9 名前: ◆gk43jgqTBM Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:06:00.66 ID: GagsF81f0
ξ゚听)ξ「何となく荒巻先生のおかげで分かりました。ホントにありがとうございます!」
/ ,' 3 「ええ、お役に立てて嬉しいですよ。それじゃ・・」
ξ゚听)ξ「ありがとうございました!!」
これ以上ブーンをまたせてはいけないと挨拶もそこそこに、待合室に急いで出て行った。
/ ,' 3 「・・無事に生まれるといいですね、ツンさん」
荒巻先生もツンの安産を祈っている。赤ちゃんは無事に生まれる事ができるだろうか。
(;^ω^)「お・・」
その頃、ブーンはぐっすり眠っていた。たった数十分だが、夢を見たブーン。
10 名前: ◆gk43jgqTBM Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:08:28.87 ID: GagsF81f0
(;^ω^)「恐ろしい夢だったお・・」
その内容とは・・
( ^ω^)「おっ!ここには面白い物がいっぱいなんだお!」
夢の中でブーンはよくは分からないが、自分にとって面白い物が沢山あるところにいた。
( ^ω^)「おっおっ!あそこにいってみようかお!」
ブーンは明るい色で色つけされている建物の方へ向かっていく。
入り口は薄暗く、とても人が居るような感じの場所ではなかったのだが・・
( ^ω^)「おっ!今の僕に怖いものなんてないお!いくお!」
何故か自信満々になっている。おおかた、夢の中の自分補正でもついてんじゃねー?
中は入り口より更に暗く、何があるかもよく分からない。まるで洞窟みたいだ。
とりあえず携帯を取り出し、カメラのライトで周りの様子を確認する。
11 名前: ◆gk43jgqTBM Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:10:24.30 ID: GagsF81f0
( ^ω^)「何も無い空間みたいだお・・」
思った以上につまらない場所だったらしい。すぐに背を向けてここから出ようとしたその時だった。
「ヒッヒッフー」
( ^ω^)「お・・?」
何者かのラマーズ法が何も無い暗い空間に響き渡った。
( ^ω^)「な・・何者だお!?」
「ヒッヒッフー」
姿は確認できないままで、ラマーズ法だけが辺りに響き渡っている。
12 名前: ◆gk43jgqTBM Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:11:59.34 ID: GagsF81f0
(;^ω^)「どこに居るお!?姿を見せるお!!」
ラマーズ法を行う者の声は低い声だ。
どうやら男のようだ。何故男がラマーズ法をしてるかって?
それは・・
(´・ω・`)「やぁ、ここで会ったが百年目」
ショボンだからだ。
ホモに憧れるが故に異性を捨てた男。異性との愛を知らぬ者。彼が目指すものはそう、
「くそみその世界」なのだ。
(´・ω・`)「ようこそ、僕の館へ」
( ^ω^)「なっ!逃げるお!」
ショボンを見るや否や、すぐに出口の方に駆け出すブーン。
捕まればやられる事は一つだからだ。
13 名前: ◆gk43jgqTBM Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:13:32.32 ID: GagsF81f0
だが・・
( ^ω^)「おっ!?」
(´・ω・`)「逃げようとしても無駄だ。さぁ、おとなしくするんだ!」
いつに無く高圧的な態度に一瞬怯むブーン。
だが掘られるのならば、ショボンを張っ倒してここから脱出する方がマシだろう。
( ^ω^)「すまないが・・食らえお!波紋失踪!!」
ホントに波紋は失踪している。出せるわけが無い。
ただの右ストレートがショボンの顔面に向かって飛んでいく。
(´・ω・`)「そんなやわな拳では・・この体にキズ一つつけることも出来ぬわ!」
いとも簡単にブーンの右ストレートはショボンに受け止められてしまう。
しかもその手はもの凄い力で抑えつけられて、離れる様子が無い。
14 名前: ◆gk43jgqTBM Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:15:25.18 ID: GagsF81f0
( ^ω^)「ちょwwww頼むから勘弁してくれお・・」
(´・ω・`)「残念ながら君の願いを聞く事は出来ない。俺の息子「ダニエル」が男のケツが欲しいと疼いているんだ」
( ^ω^)「凄く・・大きいです」
自分の二倍程の大きさの股間「ダニエル」が今か今かと奮えている。
(´・ω・`)「それじゃあブーン・・」
(*´・ω・`)「僕と愛のラマーズ法を奏でようじゃないか・・」
いつの間にかパンツまで脱がされ、ケツをショボンの方に向けられている。
動こうにも、凄まじい力で押さえつけられていてまったく動けない。アナル処女が無くなるのも時間の問題だ。
15 名前: ◆gk43jgqTBM Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:17:10.61 ID: GagsF81f0
(*´・ω・`)「さあ・・怖がらないで・・」
( ^ω^)「ヒッヒッ・・」
( ゚ω゚)「フッーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
16 名前: ◆gk43jgqTBM Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:19:12.86 ID: GagsF81f0
その瞬間に目が覚めた。自分のケツを確認し、夢だったと安心した。
( ^ω^)「おあ・・最近ツンがやおいやおいいってるからこんな夢見ちゃうんだお・・」
ツンの話を出した瞬間にツンが診察室から出て、自分の方に向かってくるのを確認した。
噂をすればなんとやら。
ξ゚听)ξ「・・・・・」
( ^ω^)「おっ!赤ちゃんどうだったお?」
ξ゚听)ξ「・・実は・・」
( ^ω^)「・・・?」
何故か暗い様子に少し心配になるブーン。赤ちゃんに何かあったのだろうか。
17 名前: ◆gk43jgqTBM Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:24:10.82 ID: GagsF81f0
ξ゚听)ξ「この赤ちゃん・・腐女子なんだって・・」
(;^ω^)「な、なんだってー!?」
あまりの衝撃の事実にブーンは軽く仰け反った。
ブーンにとってその事実はかなり重たいものだった。どれだけ腐女子というものが恐ろしいのかというのが分かっていたからだ。
(;^ω^)「う・・生まれる前から腐女子だなんて・・」
( ;ω;)「おっおっおっ・・」
周りの様子をはばかる事無く、泣き出すブーン。
ξ゚听)ξ「ちょ、嘘だからそんなに泣かないで・・」
( ^ω^)「本当かお!?」
嘘という言葉を聞いて速攻で泣き止んだブーン。切り替えは相変わらず早いようで。
ξ゚听)ξ「ごめんごめん、からかってみたかったの」
18 名前: ◆gk43jgqTBM Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:26:31.44 ID: GagsF81f0
( ^ω^)「あんまり度の過ぎた冗談は勘弁して欲しいお・・」
ξ゚听)ξ(腐女子ってそんなにいけない事なのかしらね・・?)
冗談だったのにブーンが泣き出したので、腐女子に対して少し疑問を持ち始めたツンだ。
なんだかんだで腐女子卒業は無理だろうけどね。
( ^ω^)「安心した所で、そろそろ帰ろうかお?」
ξ゚听)ξ「そうね、今日の晩御飯の買い物もしたいし・・」
( ^ω^)「おっおっ!今日はツンのカレーが食べたいんだお!」
ξ゚听)ξ「あら・・ホントに?じゃあ今日はカレーにしよっか♪」
いつもと変わらない仲良しな様子で病院を出て、近くのスーパーに向かっていく二人だった
19 名前: ◆gk43jgqTBM Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:27:38.61 ID: GagsF81f0
その頃・・
('A`) 「ふあ・・眠いな。今日は特に・・」
休日も約束が無ければどこにも出かけないドクオ。今日も変わらず家でゴロゴロしているらしい。
('A`) 「・・・」
(*'A`) 「ネモは俺の嫁・・」
Zガンダムに出てくるネモの人形を見つめながら呟いている。正直キモい。
完全に暇しているその時だった。珍しく携帯が鳴っているのを確認するドクオ。
('A`) 「ん・・?誰からだ?」
「やぁ、元気か?一週間後、何か予定あるか?よければまた一緒に遊ばないか」
クーだった。あまりにも唐突で、驚き百倍なドクオは口をあんぐりとあけたままだ。
('A`) 「あ・・・あ・・」
('A`) 「は、早く返信しなきゃ・・来週は・・」
運良く来週は休日出勤はしなくていい日だ。
20 名前: ◆gk43jgqTBM Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:28:26.80 ID: GagsF81f0
('A`) 「よし!」
カチカチ・・
「来週は大丈夫っぽいぞ!どこにいこうか?」
川 ゚ -゚) 「おっ・・返信だな」
川 ゚ -゚) 「よかった・・いく場所か・・」
少しクーは考えてみた。だがいい場所が見つからない。
仕方ないので、自分達の町周りでもいいかなと思ったみたいだ。
川 ゚ -゚) 「そうだな・・」
「ドクオの町を案内してくれないか?」
('A`) 「・・俺の街?面白い所あったっけな・・まぁいいか」
「いいぜ。じゃあ来週楽しみにしてる!」
一度遊んだ事のある二人。もうスムーズに約束を済ませ、メールを終了する。
21 名前: ◆gk43jgqTBM Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:28:45.68 ID: GagsF81f0
('A`) 「久々にクーに会えるのか・・楽しみだな」
ドクオはそんな思いを胸に眠りについた。
そしてあっという間に当日がやってくる。
('A`) 「ふあ・・」
('A`) 「もうこんな時間か、早く準備を始めないといけないな・・」
ベットからでるとちょちょいと準備を済ませるドクオ。
男の準備なんて大して時間もかからないから問題ない。
('A`) 「さて・・行こうかな」
玄関を勢いよく飛び出して、待ち合わせ場所であるニー速駅へと車で急ぐドクオ。
女の子を待たせてはいけないという思いがドクオをそうさせる。
('A`) 「・・うん、何とか間に合ったみたいだな」
ニー速駅へとついた時、クーの姿はまだ無かった。
安心してクーを待つ。数分後、噂の彼女がやってきたようだ。
22 名前: ◆gk43jgqTBM Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:29:22.30 ID: GagsF81f0
川 ゚ -゚) 「すまない、ドクオ。待ったか?」
('A`) 「いや、大丈夫だ。それじゃ行こうか!」
川 ゚ -゚) 「ああ、今日は楽しみにしてたんだ。早く行こう!」
('A`) 「ああ・・あれ、メールだ」
こんな時間帯に珍しい。しかも送信者がブーンというところもまた珍しい。
('A`) 「どうしたんだ・・?」
ゆっくりとした手つきでメールを確認すると、ドクオの表情が明らかに変わっているのがクーにも分かった。
川 ゚ -゚) 「・・どうしたんだ?」
23 名前: ◆gk43jgqTBM Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:29:58.53 ID: GagsF81f0
('A`) 「ツンの陣痛が始まったらしい!」
川 ゚ -゚) 「な!それはホントか?」
ドクオはブーン、クーはツンと仲が良かった為、そろそろ生まれるという事は聞かされていた。
だがいつになるかは分からなかった。
('A`) 「ここから・・病院は近いな、よし、クー!悪いがブーンとツンの元に向かうぞ!」
川 ゚ -゚) 「え・・!?」
クーの返答を聞く前にドクオは車を動かし、病院へと向かっていく。
ツンは無事、おなかの赤ちゃんを出産できるだろうか。
第十二話へ続く