2 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 18:36:05.29 ID: NPjeqtHE0

エスパークス、エスタークじゃねぇのかよ!
という人のための登場人物紹介

川 ゚ -゚) 新人。物を呼び寄せる超能力

(,,゚Д゚) 先輩。超脚力の超能力

(*-ー-) 身体が不自由。人の内面の色を視る

( ><) 新人。千里眼

ξ*゚听)ξ クソガキ。記憶を刈り取る

('A`) クーの幼馴染。一般人?

 

 

3 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 18:38:24.86 ID: NPjeqtHE0

「ぐっす……ひっぐ…」

「…ひっ…ひっ………」

「ひっく……ぐす……」

―誰か泣いてる

「……ぐっす……うっ」

「うっうぅう………っ」

「…ひっく……………」

―女の子だ

―オレと同じぐらいの、女の子

 

 

6 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 18:41:01.32 ID: NPjeqtHE0

「……あぅ……ぐっす」

「…ぐ……ぐぅぅ…っ」

「………っぅぅ………」

―なんだよ、オレの場所なのに

「………………………」

「ぐっ……………ぁ…」

「…………ぐすっ……」

―帰ろ

ガサッ

「――!!!」

 

―げ

 

 

7 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 18:43:36.34 ID: NPjeqtHE0

「………ひっ…ひぐっ…」

「…………だぁれ……?」

 

「……お、お前こそ、だれだよ」

 

予想外に震えている自分の声

それ以上に震えている少女の声

そう

この日、オレたちは出会ったんだ

 

 

9 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 18:45:24.74 ID: NPjeqtHE0

川 ゚ -゚)エスパークーのようです

    −第十話:雷雨−

 

11 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 18:47:51.86 ID: NPjeqtHE0

―ラウンジ山麓

('A`)「なんでギコさんがここに…?」

(,,゚Д゚)「…」

川 ゚ -゚)「…」

('A`)「…クー?」

川 ゚ -゚)「ここまで送ってもらった」

('A`)「送ってもらった?」

川 ゚ -゚)「あぁ」

 

 

12 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 18:50:02.26 ID: NPjeqtHE0

('A`)「…」

川 ゚ -゚)「それだけだ」

(,,゚Д゚)「そうそう! やましいことなんて一つもないぞ!!」

 

ヒュ
パッ

ゴイン

(,, Д )゚ ゚「シメサバ!!」

川 ゚ -゚)「うん、それだけだ」

 

 

14 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 18:52:12.77 ID: NPjeqtHE0

(;'A`)「…」

(;'A`)「まぁ、いいけどさ」

('A`)「大丈夫なの、それ」

川 ゚ -゚)「あぁ、もう馴れっこみたいだ」

川 ゚ -゚)「ほら―」

 

(,,。Д゜)

('A`)「…」

川 ゚ -゚)「あれ?」

 

 

16 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 18:54:41.71 ID: NPjeqtHE0


――

(,,゚Д゚)「いやー! 気絶って本当に怖いものですね!!」

('A`)「つーか、息してませんでしたよ」

川 ゚ -゚)「岩が大きすぎたかな」

('A`)「そういう問題か?」

(,,゚Д゚)「あー、ゴキゴキするな」

(,,゚Д゚)「…」

(,,゚Д゚)「うっし、それじゃ帰るわ」

('A`)「…」

('A`)「徒歩で来たんですか?」

(,,゚Д゚)「ん? あぁ、徒歩っちゃ徒歩だな」

('A`)「…」

('A`)「歩きで送ってもらったのか? てっきり車とかだと」

 

 

18 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 18:58:04.49 ID: NPjeqtHE0

川 ゚ -゚)「ん?(さすがにギコの能力を説明するワケにはいかないか……釘を刺されたばかりだし)」

川 ゚ -゚)「最近、変な事件が多いだろ?」

川 ゚ -゚)「女の子の一人歩きは危険なんだ」

('A`)「…お前なら大丈夫そうだけどな」

(,,゚Д゚)「オレもそう思う」

ヒュ
パッ

 

  (゚Д゚,,)「うおっ! あぶねぇ!!」

川 ゚ -゚)「ぬ」

川 ゚ -゚)「やるな…」

('A`)「さっきよりも岩でかくないか?」

 

 

19 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:00:48.26 ID: NPjeqtHE0

(,,゚Д゚)「そう何度も食らってらんねーってね! それじゃ、邪魔者は帰るわ」

(,,゚Д゚)「アデュー」

―ズギューン

 

('A`)「早っ!!」

川 ゚ -゚)「(……隠す必要はなかったかもしれないな)」

川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「(そういえば…)」

川 ゚ -゚)「(ギコは何を言いかけたんだ…?)」

('A`)「…」

 

 

20 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:03:10.25 ID: NPjeqtHE0


ダダダダダダー

(,,゚Д゚)「…」

(,,゚Д゚)「…」

(,, Д )「…」

(,, Д )「…」

 

「あ、ギコさん―」

 

 

21 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:05:01.15 ID: NPjeqtHE0

――ッギギギギギギギィィィィ

(,,゚Д゚)「―!」

( <●><●>)「ストップです」

ξ*゚听)ξ「こっちに向かって走ってるってことは」

(*-ー-)「もう送ってきたの?」

(,,゚Д゚)「お前ら……なんで」

(*-ー-)「野次馬よ、やじうま」

( <●><●>)「ギコさん、場所を知ってるなら案内してもらっていいですか?」

( <●><●>)「念のため体力はとっておきたいので」

ξ*゚听)ξ「ついでにしぃの車椅子押すのもお願いね」

 

 

23 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:07:09.71 ID: NPjeqtHE0

(,,゚Д゚)「…」

(,,゚Д゚)「みんなで行くのかよ」

(,,゚Д゚)「大体、野次馬ってのは…」

(*-ー-)「あら、気になるでしょ?」

(*-ー-)「―ドクオくんのこと」

(,,゚Д゚)「…!!」

(*-ー-)「送るなんて言うから、てっきりギコくんも気付いてると思ってたけど」

(,,゚Д゚)「…あ」

(*-ー-)「まさか気が動転して、忘れてたとか…」

(,,゚Д゚)

ξ*゚听)ξ「ばーか」

 

 

25 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:08:46.18 ID: NPjeqtHE0

(*-ー-)「何かあるとしたら今日の可能性が高いわ」

(*-ー-)「急ぎましょ」

(*-ー-)「あ、ギコくん。 安全運転でお願いね」

 

 

28 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:12:31.87 ID: NPjeqtHE0


いつの頃だったか

確か小学1、2生ぐらいだったと思う

一人っ子のためか両親に甘やかされて育ったオレは、それはそれはひねくれた性格をしてた

世の中を斜めから見て

はぁつまねぇ

なんていつも思ってる、歳にしては大分ませたクソガキだった

 

 

29 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:15:39.92 ID: NPjeqtHE0

ラウンジ山の“ヒミツの場所”を見つけたのは、遠足に行った時だ

一人で行動するのが『クールっぽくてカッコいい』と思ったオレは

集団を抜け出し、山の中へと入っていた

皆とは違うことをしている、オレは『特別』だという感覚

落ちていた木の枝を拾い、気分はまるでヒーロー

見えない敵をやっつけながら、オレはどんどん奥へと進んでいった

 

 

31 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:18:39.27 ID: NPjeqtHE0

気がついたのは大分後

自力で戻れないぐらい深いところに来てしまってからだ

今までオレのステージだったそこは、途端に姿を変えた

上も閉ざされ、下も閉ざされ、どこに行けばいいかも分からない

正直焦った

やばいやばいやばい

たぶん、泣いていたと思う

情けない話だが

 

 

33 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:20:45.69 ID: NPjeqtHE0

半ベソをかきながら、走った

転んで

走って

また転んで

最後には大泣きしながら走っていると、急に世界が開けた

木々はそこで途切れ、まるでこの空間だけ切り取られたかの様だった

少し離れたところには寂れた小屋がひっそりと建っているだけで、他は何もない

日は既に傾いていて、真っ赤な目に夕日が染みた

あぁ、そうか

初めてここに来たときはオレも泣いてたんだな

 

あの子と、クーと同じだ

 

 

34 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:22:24.02 ID: NPjeqtHE0


川 ゚ -゚)「―ドクオ」

('A`)「…!」

川 ゚ -゚)「何を、ぼぅとしてるんだ」

('A`)「ん……あぁ、ガキの頃をな」

('A`)「…思い出してた」

川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「2年生だったか」

('A`)「ん?」

('A`)「…だったか?」

川 ゚ -゚)「確かな」

 

 

35 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:24:33.10 ID: NPjeqtHE0

('A`)「…」

('A`)「泣き虫だったな、お前」

川 ゚ -゚)「む」

川 ゚ -゚)「お前もだろう」

('A`)「オレはあれだ……男泣きってやつだ」

川 ゚ -゚)「泣いてるじゃないか」

 

 

36 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:27:26.99 ID: NPjeqtHE0

('A`)「…」

('A`)「天気わりーな」

川 ゚ -゚)「あぁ」

('A`)「…」

川 ゚ -゚)「小屋のほうに行くか」

('A`)「マンドクセェ」

川 ゚ -゚)「すぐ近くだろ」

('A`)「へーへー」

川 ゚ -゚)「ほら、行った行った」

 

 

37 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:29:43.48 ID: NPjeqtHE0


この小屋は私が来た当初から、ボロボロだった

誰が使っていたのかも分からないが、これから使われる予定もないだろう

この土地も誰かの所有地かもしれないが、その誰かが訪れるようなことは今まで一度もなかった

雨の日はここに雨宿りして、よくドクオと遊んでいた

と言っても、大体が雑談をするだけだ

別に晴れの日でも変わりはしない

 

 

38 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:31:51.23 ID: NPjeqtHE0

ドクオと出会ったのは小学2年生の秋

ここで泣いていた私をドクオが見つけた

当時の私は弱気、優柔不断、消極的、等々ネガティブ要素が満載だった

人と接することが苦手で、集団に溶け込めずにいた

周囲から遠ざかるうちに、周囲から遠ざけられていた

両親が生みの親でないということも、関係していたかもしれない

白い目で見られ、陰口を叩かれた

物を隠されたり、髪を引っ張られたりもした

 

平たく言うと、私はイジメられていた

 

 

40 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:33:39.21 ID: NPjeqtHE0

今思えば、大したことはないように思えるし

相手は悪戯感覚だったのかもしれない

だが、当時の私にとって、それはあまりにも辛かった

放っておいてくれればいいのに、何故私に干渉するのか

こちらから何かした覚えなどないのに

何もしないということが原因だとは、私には分からなかった

 

 

42 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:35:27.92 ID: NPjeqtHE0

怖かった

逃げ出したかった

だから逃げ出した

知らない山に入り、このまま見つからなければいいと思った

奥へ奥へと進んで行くと、開けた場所に出た

夕日が綺麗で、その空間だけ空気が澄んで見えた

元いた場所から、本当に逃げ出してしまったかのような感覚

そうしたら急に帰りたくなって、でも帰り方も分からなくて、私はその場で泣き崩れてしまった

そこにドクオが現れた

 

 

43 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:39:14.16 ID: NPjeqtHE0


(・A・)「え、イジめられてんの?」

川- -)「……うん」

(・A・)「…へぇ」

川- -)「…」

(・A・)「…」

川- -)「…」

(・A・)「イジメかっこ悪い! な、なんつって」

川- -)「…え!? ……うん」

(・A・)「…」

川- -)「…」

(・A・)「…」

川- -)「…」

(;・A・)「(…なんかしゃべれよ)」

 

 

45 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:41:07.70 ID: NPjeqtHE0

川- -)「…」

(;・A・)「く、暗いね」

川- -)「……よく言われる」

(;・A・)「あ、いや、空、そらそらそら!」

川- -)「…あ、ごめん」

(;・A・)「今日は、く、くもってるなー」

川- -)「…うん」

(・A・)「…」

 

 

47 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:43:10.42 ID: NPjeqtHE0

川- -)「…」

(・A・)「…」

川- -)「…みんなが」

(・A・)「え?」

川- -)「…みんなが…なんで私をイジるのか……わからない……」

(・A・)「…」

川- -)「…」

(・A・)「…」

川- -)「…」

(・A・)「あ」

川- -)「…?」

(・A・)「いや、なんでもない」

川- -)「…そう」

 

48 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:45:09.09 ID: NPjeqtHE0

(;・A・)「(か、帰りたい)」

(;・A・)「ねぇ、もう遅いから帰ろうよ」

川- -)「…」

(;・A・)「…」

川- -)「…」

(;・A・)「(…帰りたいのバレたかな)」

川- -)「帰りたいけど…」

川- -)「帰り道、分からない」

(・A・)「そ、それならオレが案内するから」

川- -)「…ホント?」

(・A・)「ホントホント」

川- -)「…うん」

 

 

49 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:47:33.40 ID: NPjeqtHE0


――

(・A・)「ここをまっすぐ行けばいいから」

川- -)「…うん」

(・A・)「…それじゃ」

川- -)「…うん、またね」

(・A・)「うん」

 

(・A・)「…“またね”?」

 

 

51 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:50:59.70 ID: NPjeqtHE0


('A`)「あれは確信犯だろ」

川 ゚ -゚)「断じて違うと言えるな」

('A`)「あの頃は清楚で可愛かったのに」

川 ゚ -゚)「ドクオはあの頃から憎たらしい顔をしていたな」

('A`)「うるせぇ」

川 ゚ -゚)「お互いさまだ」

 

 

52 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:52:52.44 ID: NPjeqtHE0

('A`)「…」

川 ゚ -゚)「ん?」

('A`)「でも、お前は変わったよ」

川 ゚ -゚)「そうか?」

('A`)「あぁ」

川 ゚ -゚)「いいことだ」

('A`)「…そうだな」

川 ゚ -゚)「…?」

 

 

53 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:54:52.04 ID: NPjeqtHE0


ドクオとは学校が違った

家は割と近くだが学区で分けられているので、一緒になったのは高校のときだ

学校が違うからこそ、気兼ねなしに色々相談もできたのだろう

しかし、何の解決にもならなかった

私はドクオに、ドクオといる空間に逃げていたのだ

私自身が変わらなければ何も意味がなかった

 

 

54 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:56:46.49 ID: NPjeqtHE0

今、ドクオは言う

「お前は変った」

確かに私は変わった

変わらなければならなかった

きっかけは勿論ドクオと会ったことだが、正確には少し違う

きっかけとなったのは、出会ってからちょうど二年が経つ頃だ

 

 

56 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:58:11.97 ID: NPjeqtHE0


(・A・)「オレーオレーカフェオレー」

ガサガサ

川- -)「…」

(・A・)「おう、クー。 もう来てたのか」

川- -)「…うん」

(・A・)「…」

川- -)「…」

(・A・)「…なんだ、またイジメられたのか」

川- -)「…」

川- -)「…うん」

 

 

57 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 19:59:43.51 ID: NPjeqtHE0

(・A・)「…」

川- -)「…」

(・A・)「さ、最近ちょっと友達できたって言ってたじゃん」

川- -)「…」

(・A・)「…」

川- -)「…」

(・A・)「…」

川- -)「…」

(・A・)「ずっと黙ってても分かんねーよ…」

川- -)「…」

(・A・)「…」

川- -)「…うん」

 

 

58 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:01:43.13 ID: NPjeqtHE0

(・A・)「…」

川- -)「…」

(・A・)「お前なぁ!」

川- -)「…」

川- -)「…ごめん」

(・A・)「…」

川- -)「…」

(・A・)「…クー」

川- -)「…ん?」

(・A・)「…あ」

川- -)「…」

(・A・)「イ、イジメっ子とかいるならオレに言えよ」

川- -)「…」

 

 

60 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:02:54.98 ID: NPjeqtHE0

(・A・)「…」

川- -)「…」

(・A・)「…オ」

川- -)「…」

(・A・)「…オオオ」

川- -)「…?」

 

 

62 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:04:58.08 ID: NPjeqtHE0

(・A・)「オ、オレが、守ってやるから!」

川- -)「…!」

川- -)「…」

川  )「……うん」

(・A・)「…な?」

川- -)「…」

川- -)「…あのね、ドクオ」

(・A・)「…うん?」

川- -)「…」

 

川・ ・)「私ここに来るのやめようと思う」

 

 

64 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:07:11.08 ID: NPjeqtHE0

(・A・)「…へ?」

川- -)「…」

(・A・)「おい…」

川- -)「…」

(・A・)「なんで…」

(・A・)「なんでだよ! 意味わかんねー!」

川- -)「…」

(・A・)「…」

川- -)「…」

(・A・)「…答えろよ」

川- -)「…」

 

 

65 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:10:06.81 ID: NPjeqtHE0

川- -)「…私ね」

川- -)「このままじゃダメだと思う」

川- -)「ずっとドクオに逃げてる」

川- -)「ここが好きで、ここにずっといたいと思ってる」

川- -)「そんな弱い自分がきらい」

(・A・)「…」

川- -)「私、強くなる」

川- -)「イジメられても、泣かない、逃げない」

川- -)「だから逃げるのはもうやめる」

(・A・)「…」

川- -)「…今までありがとう、ドクオ」

(・A・)「…」

 

 

67 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:11:58.45 ID: NPjeqtHE0

川- -)「…」

( A )「…待てよ」

川- -)「…?」

( A )「…そんなんでオレはなっとくするかよ」

川- -)「…」

川- -)「…」

川- -)「…なら」

川- -)「…一年後」

(・A・)「…いちねんご?」

川- -)「一年後、またここに来る」

(・A・)「…!」

川- -)「…そのとき、変わってなかったら……私をぶっとばしていいから」

(・A・)「…」

川- -)「…それでいい?」

 

 

71 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:13:57.60 ID: NPjeqtHE0

(・A・)「…」

川- -)「…」

(・A・)「…」

( A )「…」

( A )「…帰る」

川- -)「…」

( A )「…」

川- -)「…」

(・A・)「…一年後な」

川- -)「…!」

川- -)「…うん!」

 

 

73 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:17:44.56 ID: NPjeqtHE0


私は変わりたかった

変わらなければならなかった

強く、なりたかった

そのために自分を磨いた

運動に励み、勉学に勤しみ、外見にも気を使った

相変わらず人と接するのは苦手だったが、それも努力した

ただ、自分のことに精一杯で少々俗世には疎く、言葉遣いも最近の女性らしいとは言えなかったが

 

 

78 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:20:18.31 ID: NPjeqtHE0

私は変わった

変わることができた

喜ばしいことだ

勿論、ドクオもそれを嬉しく思ってくれているはずだ

だが

どうして彼の表情は優れないのか

それが私には分からなかった

 

 

79 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:23:45.74 ID: NPjeqtHE0


ポッ

('A`)「―!」

川 ゚ -゚)「…降ってきたな」

('A`)「…マンドクセェ」

川 ゚ -゚)「中に入るか?」

('A`)「…そうだな」

川 ゚ -゚)「…」

 

 

80 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:24:17.07 ID: NPjeqtHE0

ガチャガチャ
ギィィィィ

川 ゚ -゚)「ドア、ヤバいな」

('A`)「錆びてんだろ、相当」

川 ゚ -゚)「あぁ」

('A`)「…」

川 ゚ -゚)「…」

 

 

85 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:27:24.68 ID: NPjeqtHE0

サー

川 ゚ -゚)「本降りになりそうだな…」

('A`)「…」

ピチョン

川 ゚ -゚)「あ、雨漏り…」

('A`)「ボロ小屋だからな…」

川 ゚ -゚)「…」

('A`)「…」

 

 

87 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:29:31.96 ID: NPjeqtHE0

川 ゚ -゚)「…」

('A`)「…」

川 ゚ -゚)「…ドクオ」

('A`)「…あ?」

川 ゚ -゚)「何かあったのか?」

川 ゚ -゚)「変だぞ?」

('A`)「…」

 

90 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:31:59.34 ID: NPjeqtHE0

('A`)「…」

('A`)「…なぁ、クー」

川 ゚ -゚)「うん?」

('A`)「お前は変わったよ」

川 ゚ -゚)「…? さっきからなんだ?」

('A`)「…」

('A`)「…オレは変わんねーけどさ」

('A`)「…」

('A`)「…やっと気付いたことがあるんだ」

川 ゚ -゚)「…」

ザー

 

 

91 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:34:38.48 ID: NPjeqtHE0

 

   (´・ω・`)「“キミがクーちゃんをどう思っているのかについて”」

   (´・ω・`)「…要するに“好きかどうか”ってことだろ?」

   (´・ω・`)「回りくどいなぁ……だが、それがいい」

   (´・ω・`)「あぁ、ごめんごめん」

 

   (´・ω・`)「キミの答えは――」

 


 

 

92 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:36:18.03 ID: NPjeqtHE0

ザー

( A )「オレはな、クー」

川 ゚ -゚)「…」

( A )「たぶん、ずっと前から…」

( A )「お前を守るって言ったときから…」

川 ゚ -゚)「…」

 

 

95 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:39:31.99 ID: NPjeqtHE0

('A`)「オレはお前のことが――

 

ピカ!!!
ゴロゴロゴロガシャ―――――!!!

 

('A`)「…」

川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「え? 何?」

 

 

('A`)

 

 

100 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:42:34.60 ID: NPjeqtHE0

(;'A`)「(なんだよそれ!! もう言えねぇよ!!)」

('A`;)「(でも、チャンスは今しかねぇ!!)」

('A`)「(言え!! 言うんだ、ドクオ!! 勇気を振り絞って!!!)」

('A`)「…も、もう一回だけだぞ」

川 ゚ -゚)「あぁ、よろしく頼む」

('A`)「オレは、」

川 ゚ -゚)「うん」

('A`)「お前のことが、」

川 ゚ -゚)「うんうん」

 

 

102 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:44:32.80 ID: NPjeqtHE0

('A`)「s

 

ピカ!!!
ゴロゴロゴロガシャ―――――!!!

 

('A`)「…」

川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「え? もう一回」

 

 

('A`)

 

 

108 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:46:21.12 ID: NPjeqtHE0

(#'A`)「あー!!! だから!!! お前のことが!!!」

(#'A`)「

 

ピカ!!!
ゴロゴロゴロガシャ―――――!!!

 

(#'A`)「オレはお前g

 

ピカ!!!
ゴロゴロゴロガシャ―――――!!!

 

(#;A;)「

 

ピカ!!!
ゴロゴロゴロガシャ―――――!!!

 

 

115 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:48:58.90 ID: NPjeqtHE0

(;'A`)「…ぜぃぜぃ」

川 ゚ -゚)「すまん、もう一回」

 

(;'A`)「

ピカ!!!
ゴロゴロゴロガシャ―――――!!!

 

('A`)「…」

川 ゚ -゚)「…」

 

 

119 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:51:14.68 ID: NPjeqtHE0

('A`)「……なんだよ、これ…」

川 ゚ -゚)「雷、やけにうるさいな」

川 ゚ -゚)「…?」

川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「焦げ臭い…?」

('A`)「…」

川 ゚ -゚)「…ドクオ、ちょと外を見てくる」

川 ゚ -゚)「(なんだこの感じは…?)」

 

 

121 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:54:28.21 ID: NPjeqtHE0

―ガチャ

(;'A`)「待ってくれ……オレは、お前を

川 ゚ -゚)「―ん?」

 

ピカ!!!
ゴロゴロゴロガシャ―――――!!!

 

川  )「――!!!」

 

(;'A`)「!!!」

(;'A`)「ク――!!」

 

 

128 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 20:57:47.13 ID: NPjeqtHE0

川 - -)「……」

(;'A`)「良かった気絶してるだけか…」

('A`)「―ん?」

 

('A`)「!!」

('A`)「なんだ……これ」

('A`)「一面、雷が落ちた跡が……」

('A`)「……まさか」

('A`)「さっきのは…」

 

 

132 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:00:08.89 ID: NPjeqtHE0

('A`) ………ッ

ピカ!!!
ゴロゴロゴロガシャ―――――!!!

 

('A`)「………」

('A`)「……ウソだろ……」

('A`)「オレがやったっていうのかよ」

('A`)「自分で自分の告白を妨害してた、っていうのか……?」

('A`)「………」

( A )「…ウソだ」

 

「ウソだ――――――――!!!!!」

 

ピカ!!!
ゴロゴロゴロガシャ―――――!!!

 

 

138 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:02:46.46 ID: NPjeqtHE0


(*-ー-)「あれは…!!」

(,,゚Д゚)「っち!! 遅かったか!!」

ξ*゚听)ξ「ギコが合羽買おうって言うから!!」

(,,゚Д゚)「風邪引いたらどうすんだよ!!」

(*-ー-)「今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ!!」

ξ*゚听)ξ (,,゚Д゚) …ハイ

 

 

140 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:05:15.99 ID: NPjeqtHE0

( <●><●>)「凄いエネルギー反応です!」

(*-ー-)「…ここまで来ると、さすがに雨が凄いわね」

(,,゚Д゚)「…」

(,,゚Д゚)「…しぃ、みんな、ここで待ってろ」

(*-ー-)「!」

ξ*゚听)ξ「!」

(,,゚Д゚)「オレ一人で行く」

ξ*゚听)ξ「何言ってんのよ、バカ!」

(,,゚Д゚)「足手まといだ」

ξ#゚听)ξ「―!!! あんた――」

(*-ー-)「ツンちゃん!」

ξ*゚听)ξ「!」

 

 

142 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:07:35.89 ID: NPjeqtHE0

(*-ー-)「ギコくんの言うとおりよ」

(*-ー-)「こうなるともう、私たちには手出し出来ないわ」

ξ*゚听)ξ「でも…!」

(,,゚Д゚)「心配すんな、クソガキ」

(,,゚Д゚)「必ずふたりをっふぃ…!!

ボコォォォ…

( <●><●>)「見事なアッパーカットです」

ξ*゚听)ξ「絶対二人を連れて戻ってきなさいよ! みんな無事で戻ってこないと、許さないんだから!!」

(メ,,゚Д゚)「…ぁあ……ぐふっ」

(*-ー-)「私たちは私たちの『役割』があるわ」

(*-ー-)「ギコくん、お願い」

( <●><●>)「お願いします」

(,,゚Д゚)「任せとけつーの!」

 

 

144 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:09:49.01 ID: NPjeqtHE0

(,,゚Д゚)「オレ、帰ってきたらクーちゃんと結婚s

ξ*゚听)ξ「いいから早くいけ!!」

(,,゚Д゚)「ちぇ」

(,,゚Д゚)「…」

(,,゚Д゚)「じゃあ、いってくらぁ」

 

―ッギャン!!

 

(*-ー-)「…」

(*-ー-)「(頑張ってギコくん、あの感じからすると彼はもう…)」

 

 

146 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:12:24.68 ID: NPjeqtHE0


ギャギャギャ――――!!!

(,,゚Д゚)「ズザーっとね」

(,,゚Д゚)「…」

(,,゚Д゚)「おーおー」

(,,゚Д゚)「雷様にでもなったのか?」

 

 

(,,゚Д゚)「―ドクオくん」

≫( A )≪ バチバチバチバチ

 

 

150 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:14:46.32 ID: NPjeqtHE0

≫( A )≪ オレハ―オレハ――

(,,゚Д゚)「すげぇな…」

(,,゚Д゚)「…ドクオ」

(,,゚Д゚)「力に飲まれちまったんだな」

(,,゚Д゚)「クーちゃんを助けてやるついでだ」

(,,゚Д゚)「助けてやる」

(,,゚Д゚)「少しd

ピカ!!!
ゴロゴロゴロガシャ―――――!!!

 

      (;,,゚Д゚)「うおぃ!!!」

 

 

153 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:16:58.95 ID: NPjeqtHE0

(;,,゚Д゚)「危ねぇだろ!! おい!!」

(,,゚Д゚)「…全く」

(,,゚Д゚)「…」

(,,゚Д゚)「せっかくだ」

(,,゚Д゚)「本気だしてやるよ、ドクオ」

(,,゚Д゚)「オレの能力は超脚力だけってわけじゃねぇ…」

 

(,,゚Д゚)「“オレは全てを突破する”」

 

(,,゚Д゚)「いくぞ―」

 

ピカ!!!
ゴロゴロゴロガシャ―――――!!!

 

 

155 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:18:48.99 ID: NPjeqtHE0


オレは臆病だ

自分に自信がない

相手から嫌われるのが怖い

このままでいい

このままがいい

―オレは変わらない、変われなかった

 

 

157 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:20:41.56 ID: NPjeqtHE0

クーと一緒にいたのは、彼女が自分より弱い存在だから

守ってあげないと、オレが彼女を助けないと

義務感と自己満足

オレだけがお前を守ってやれるんだ、そう言ったつもりだ

 

しかし

拒絶された

 

 

160 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:23:33.67 ID: NPjeqtHE0

彼女は変わると言う

強い自分になると言う

それは困る

この関係が壊れるのが嫌だった

だから、クーを引き止めた

結局のところ、止めることはできなかったが関係を続けることはできた

オレは少しほっとした

泣き虫のクーが高々一年程度で変わるとは思えなかった

この関係を維持できる

ちっぽけな自尊心を満足させたかった

 

 

162 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:25:44.65 ID: NPjeqtHE0

一年なんてあっという間だ

オレはクーが来なくなっても、ちょくちょく“ヒミツの場所”を訪れた

泣き虫のクーのことだ、すぐに戻ってくるんじゃないのか

正直期待はしていた

しかし、クーは一度も姿を現さなかった

そして―

 

 

163 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:27:52.48 ID: NPjeqtHE0


(・A・)「…」

川*゚ ゚)「…」

(・A・)「…」

川*゚ ゚)「どうした、ドクオ?」

川*゚ ゚)「顔、忘れた?」

(・A・)「…」

川*゚ ゚)「おい」

 

 

165 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:30:23.65 ID: NPjeqtHE0

(・A・)「あ」

(;・A・)「…いや、なんつーか」

(;・A・)「変わったな、お前」

川*゚ ゚)「…」

川*゚ ゚)「そうか?」

(・A・)「あぁ」

川*゚ ゚)「ふーん、そんなもんかな」

(・A・)「…」

川*゚ ゚)「でもそれなら、ドクオからぶっ飛ばされずに済むってことか」

(・A・)「…よく覚えてるな、そんなこと」

川*゚ ゚)「私が言ったことだからな」

(・A・)「…あー、そうだったな」

川*゚ ゚)「…」

(・A・)「…」

 

 

166 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:31:25.36 ID: NPjeqtHE0

川*゚ ゚)「―あ」

(・A・)「あ?」

川*゚ ゚)「はい、これ」

(・A・)「…これって、クローバー?」

川*゚ ゚)「うん」

(・A・)「四つ葉…」

川*゚ ゚)「さっき見つけたんだ、あげる」

(・A・)「…」

(・A・)「…ありがと」

川*゚ ゚)「…」

(・A・)「…」

 

 

168 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:33:28.90 ID: NPjeqtHE0

川*゚ ゚)「…」

(;・A・)「(え、もしかしてオレからの待ってるの?)」

川*゚ ゚)「…」

(;・A・)「(そんなの持ってきてねーよ!)」

(;・A・)「(どうしよう、どうしようどうしようどうしよう)」

川*゚ ゚)「…」

(;・A・)「…!!」

川*゚ ゚)「…」

パッ

(;・A・)「…はい!」

川*゚ ゚)「…!」

 

 

170 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:35:34.01 ID: NPjeqtHE0

川*゚ ゚)「…」

川*゚ ゚)「…これ……」

(・A・)「 石 !!」

川*゚ ゚)「…」

(・A・)「…」

川*゚ ゚)「…」

 

 

172 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:38:09.83 ID: NPjeqtHE0

(;・A・)「(やべー、やべーよ、やっぱ今拾った石なんかいらねーよなー)」

川*゚ ゚)「…」

クスッ

川*  )「…ありがとう」

(;・A・)「え?」

川*゚ ゚)「ドクオは変わらないな」

(・A・)「…わ、悪かったな」

川*゚ ゚)「だがそれがいい」

(・A・)「…」

(/A/)

(/A/)「なに言ってんだ、おめーは!」

川*゚ ゚)「本音だ」

カラカウナ!
ナニ ソンナツモリハナイゾ
ウソツケ

 

 

 

175 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:39:42.64 ID: NPjeqtHE0

川*゚ ゚)「それじゃ」

(・A・)「あぁ」

川*゚ ゚)「またね」

(・A・)「…“またな”」

クスッ
…ワラウナヨ

 

 

179 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:41:30.42 ID: NPjeqtHE0


こうしてオレ達は一年に一回プレゼント交換をすることになる

彼女は変わった

驚くほどに

泣き虫でオレの様子をいつも伺うようにしゃべっていたクーは、もういない

口調ははっきりとして、凛とした瞳はまっすぐにオレを見ていた

オレのほうがおどおどしてしまったほどだ

立場はすっかり変わってしまった

 

 

180 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:42:54.71 ID: NPjeqtHE0

年を重ねる毎にクーは変っていった

オレは……変わらない

変われない

誰かの助けがなければ自分の本音にすら気付けない

そんな情けない男だ

 

 

183 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:44:12.62 ID: NPjeqtHE0

そういえば、クーのことが気になりだしたのはいつの頃だろう

同じ高校に入ることが分かったときだったか

それとも中学の修学旅行先が同じだったときか

いや…

もっと前

彼女が泣き虫だった頃からか

 

 

184 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:47:52.64 ID: NPjeqtHE0

オレは自分の気持ちを隠した

オレとクーはあまりにも違う存在のような気がしたからだ

隣で泣いていた少女は、いつの間にかオレの前に立っている

隠すうちに自分でも分からなくなった

クーのことが好きなのかどうか

自分に自信がない

相手から嫌われるのが怖い

このままでいい

このままがいい

立場は変わってしまったが、関係は続けることができたのだ

これでいいかと思っていた

 

 

188 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:50:04.27 ID: NPjeqtHE0

でも

クーがエスパーになったと聞いたとき

クーにオレの知らない仲間ができたと知ったとき

悲しかった

寂しかった

また取り残されてしまう

今度こそ本当に置いていかれるようだった

 

 

191 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:51:46.30 ID: NPjeqtHE0

だから繋がりを求めた

隠してる気持ちを掘り起こして、相手にぶつけようと決めた

誤魔化す自分に事実を突きつけた

“オレがクーをどう思っているのか”

伝えようと思った

 

けれど

最後の最後でオレは逃げた

心の奥では変わらないことを選択した

 

 

194 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:53:12.18 ID: NPjeqtHE0

結局、こんなもんだ

 

あぁ

そうだ

プレゼント交換がまだだった

ちゃんと渡さないと…

いけ…

ないな……

 

 

196 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:54:40.94 ID: NPjeqtHE0


ξ*゚听)ξ「―ギコ!!」

(*-ー-)「ギコくん!!」

(,,-Д-)「……ただいまー」

(,,-Д-)「オレ…頑張ったよー」

(,,-Д-)「パトラッシュ……お迎えがくるよー」

(*-ー-) ξ*゚听)ξ オツカレー

 

「クーちゃん!!」
「クー!!」
「ドクオくんも!!」

 

(,,゚Д゚)「……」

 

 

198 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:56:31.10 ID: NPjeqtHE0

( <●><●>)「……」

( <●><●>)「お疲れ様でした」

(,,;Д;)「ありがとう、ビロード」

(*-ー-)「ギコくん、泣いてる場合じゃないわ!」

(,,;Д;)「ふぇ?」

(*-ー-)「クーちゃんとドクオくんをすぐ病院へ!」

(*-ー-)「ツンちゃん……私たちの出番よ」

ξ*゚听)ξ「……ん」

 

(,,-Д-) マタ ハシルノカ…

 

 

199 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:57:37.17 ID: NPjeqtHE0

―VIP総合病院

川 - -)「……ん」

川 ゚ -゚)「―!」

川 ゚ -゚)「ここは…」

川 ゚ -゚)「病院……?」

川 ゚ -゚)「…」

川 ゚ -゚)「どうしてこんなとこに…」

ガチャ

キコキコキコ

(*-ー-)「クーちゃん、目が覚めたのね」

川 ゚ -゚)「しぃさん…!」

ξ*゚听)ξ「…」

川 ゚ -゚)「ツンも…」

 

 

200 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 21:58:52.48 ID: NPjeqtHE0

(*-ー-)「…」

川 ゚ -゚)「どうして私は病院に?」

川 ゚ -゚)「確か……」

川 ゚ -゚)「そうだ! ドクオは?」

川 ゚ -゚)「私とドクオは一緒に小屋にいて、私が外を見に出たら落雷が…」

川 ゚ -゚)「雷が鳴ったときにドクオも近くにいたはずです」

川 ゚ -゚)「ドクオは…?」

(*-ー-)「…」

ξ*゚听)ξ「…」

川 ゚ -゚)「…?」

(*-ー-)「…クーちゃん」

川 ゚ -゚)「…はい」

(*-ー-)「…悲しいお知らせがあるの」

 

 

207 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 22:01:51.39 ID: NPjeqtHE0


――

(*-ー-)「記憶の座標軸って分かるかしら?」

川 ゚ -゚)「―いえ」

(*-ー-)「まぁ、造語だしね」

川 ゚ -゚)「(じゃあ聞くなよ)」

(*-ー-)「…記憶っていうのはね」

(*-ー-)「それぞれが繋がってるの」

(*-ー-)「原因があって、結果があるように」

(*-ー-)「クーちゃんがあって、今のドクオくんがいるの」

川 ゚ -゚)「?」

川 ゚ -゚)「…どういうことですか?」

 

 

210 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 22:03:37.74 ID: NPjeqtHE0

(*-ー-)「うん、ちょっと聞いててね」

(*-ー-)「まず事実をひとつ…」

(*-ー-)「ドクオくんは……エスパーよ」

川 ゚ -゚)「―!!」

川;゚ -゚)「ドクオが!? エスパー…?」

(*-ー-)「それもとても大きな力を持ったね」

(*-ー-)「力が大き過ぎて、力に飲み込まれてしまったの」

(*-ー-)「今は意識不明、このままだと命が危険よ」

川;゚ -゚)「そんな…」

(*-ー-)「そしてもう一つ」

(*-ー-)「この原因は……クーちゃん、あなたよ」

 

 

213 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 22:05:37.76 ID: NPjeqtHE0

川 ゚ -゚)「! 私が…?」

(*-ー-)「…そう」

(*-ー-)「私がドクオくんを視たとき、そこに映ったのは」

(*-ー-)「雨粒、雷鳴、…そしてクーちゃん」

川 ゚ -゚)「…!」

(*-ー-)「ドクオくんがあなたに感じているのは、友情、信頼、尊敬、気軽さ……愛情と孤独」

(*-ー-)「そして……劣等感よ」

川 ゚ -゚)「…劣等感?」

川 ゚ -゚)「…どういうことですか」

(*-ー-)「…さぁ、私にはそこまで視えないから」

川 ゚ -゚)「…(ドクオ…)」

(*-ー-)「…」

(*-ー-)「ただ、今のドクオくんはクーちゃんに囚われてる」

(*-ー-)「感情を整理できずに苦しみ、自身の力で身を焦がしながらね」

 

 

217 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 22:08:34.91 ID: NPjeqtHE0

川  - )「……」

川 ゚ -゚)「なんでドクオが?」

川 ゚ -゚)「なんで気付けなかったんですか?」

(*-ー-)「…」

川 ゚ -゚)「…っ」

川 ゚ -゚)「あなたならもっと早く分かったはずだ!」

(*-ー-)「…」

(*-ー-)「そうね」

(*-ー-)「そうかもね」

川 ゚ -゚)「……すいません」

川 ゚ -゚)「…」

(*-ー-)「…」

 

 

220 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 22:10:29.30 ID: NPjeqtHE0

川 ゚ -゚)「…それで」

(*-ー-)「ん?」

川 ゚ -゚)「それで、私はどうすればいいんですか?」

(*-ー-)「うん」

(*-ー-)「クーちゃんが何かをするわけじゃないわ。 やるのは私達」

(*-ー-)「ドクオくんを蝕んでるのは、彼自身の力。 内から溢れ出す感情に負けて、力が暴走してるの」

(*-ー-)「力の暴走を止めるには、感情の発生源を絶つしかないわ」

(*-ー-)「この場合は『ドクオくんのクーちゃんへの想い』ってとこかしら」

川 ゚ -゚)「…?」

川 ゚ -゚)「私への想いを絶つ…?」

(*-ー-)「…簡単に言うとね」

(*-ー-)「ドクオくんを救うためには、彼からクーちゃんという要素を取り除かないといけないの」

(*-ー-)「記憶を刈り取ることによってね」

 

 

222 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 22:12:16.26 ID: NPjeqtHE0

川 ゚ -゚)「…!! それは……!」

(*-ー-)「知ってのとおり、ツンちゃんは人の記憶を刈り取る能力を持ってるわ」

(*-ー-)「その能力の限界は丸一日分」

(*-ー-)「ドクオくんからクーちゃんという人物の記憶を、完全に刈り取ることはできない」

(*-ー-)「でも、一番大事なところ」

(*-ー-)「全ての因果となるところを刈り取れば、ドクオくんは助かるわ」

川 ゚ -゚)「………」

 

 

227 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 22:14:10.44 ID: NPjeqtHE0

(*-ー-)「最初に言った記憶の座標軸って言葉」

(*-ー-)「ツンちゃんは、記憶の中でどこを消すのか座標指定して決めるの」

(*-ー-)「クーちゃんが物をテレポートさせる時と一緒ね」

(*-ー-)「ツンちゃんが座標を指定して刈り取ると、そこの座標を中心として記憶が改ざんされるわ」

(*-ー-)「…出会いの記憶を刈り取れば、出会わなかったことになるわ」

(*-ー-)「記憶が、脳がそう判断して、思い出を変えていくの」

川 ゚ -゚)「………」

 

 

229 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 22:15:24.72 ID: NPjeqtHE0

(*-ー-)「うっすらとは残るかもしれない」

(*-ー-)「ドクオくんとクーちゃんの場合と、名前は知ってる、ぐらいね」

(*-ー-)「でも、元の関係には戻れない」

川 ゚ -゚)「………」

ξ* )ξ「……クー」

川 ゚ -゚)「………ツン」

ξ* )ξ「………ごめん…ごめんね」

川 ゚ -゚)「…いいんだ、ツン」

川 ゚ -゚)「しぃさん、ドクオの命を救う方法は…」

川 - -)「いや、聞くことじゃないな…」

 

 

231 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 22:16:53.05 ID: NPjeqtHE0

川 - -)「………」

(*-ー-)「………」

ξ* )ξ「………」

川 - -)「………」

川 - -)「………」

 

川 ゚ -゚)「………」

川 ゚ -゚)「お願いします、しぃさん」

 

 

234 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 22:17:56.07 ID: NPjeqtHE0

(*-ー-)「…!」

ξ*゚听)ξ「―! でも!!」

(*-ー-)「ツンちゃん」

ξ* )ξ「………」

(*-ー-)「………わかったわ」

(*-ー-)「………」

(*-ー-)「クーちゃん、あなたとドクオくんが出会った日、覚えてる?」

(*-ー-)「私じゃそこまで深いところは……視えないの」

川 ゚ -゚)「………」

川  - )「10年前の、今日、です」

 

 

238 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 22:19:41.34 ID: NPjeqtHE0

(*-ー-)「…ありがとう」

(*-ー-)「ツンちゃん、行きましょう。 早くしないと……手遅れになる」

ξ*゚听)ξ「………うん」

 

キコキコキコ

―バタン

 

 

川 - -)「………」

川 ゚ -゚)「………」

川 - )「っぐ……」

川 - )「……うっ」

 

 

242 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 22:20:47.25 ID: NPjeqtHE0

 

「――ああああああああああ!!!!」

 

ξ* )ξ「クー……」

(* ー )「………」

ξ*゚听)ξ「…しぃ……泣いてるの?」

(* ー )「…いえ」

(*゚ー゚)「いきましょう、ツンちゃん」

 

 

244 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 22:22:00.20 ID: NPjeqtHE0



――
―――

(-A-)「…」

(-A-)「…う、うん」

('A`)「ん…?」

('A`)「…」

('A`)「…病院?」

('A`)「いたっ…」

('A`)「何でオレはこんなとこに…」

('A`)「…」

 

 

245 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 22:23:22.30 ID: NPjeqtHE0

('A`)「…確か、ラウンジ山に…」

('A`)「年に一回の……」

('A`)「…」

('A`)「…なんだっけ」

('A`)「…」

('A`)「大事なことのような…」

('A`)「…思いだせねぇ」

('A`)「…」

('A`)「ま、いいか」

('A`)「思い出せねぇってことは、大したことじゃねーんだろ」

 

 

251 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 22:24:52.92 ID: NPjeqtHE0

('A`)「…」

( 'A`)「ん?」

( 'A`)「なんだこの紙袋…」

( 'A`)「!」

(*'A`)「うひょぉぉおお!」

(*'A`)「ナベちゃんの限定コンサートDVDじゃん!! これ欲しかったんだよなー」

(*'A`)「季節外れのサンタさんがいるもんだぜ!」

 

 

256 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 22:26:33.41 ID: NPjeqtHE0

ガチャ

「!!」

「先生ー!! 先生ー!! 215号室の患者さんがー!!」

 

('A`)「!」

(*'A`)「看護婦さんも美人だ…」

('A`)「…」

('A`)「つーかなんでオレは入院してるんだ?」

 

 

260 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 22:27:56.91 ID: NPjeqtHE0

「いやー良かった良かった」

「身体の傷は大したことないのに、意識が戻らなくて心配してたんですよ」

「わっはっはっはっは」

('A`)「…」

 

 

262 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 22:29:29.13 ID: NPjeqtHE0

「いやーお友達も心配してましたから、良かった良かった」

「わっはっはっはっは」

('A`)「友達?」

「えぇ、綺麗な女の子でしたね」

「わっはっはっはっは」

(;'A`)「ちょっ!!! kwsk!!」

「いやー、私は何にも知りませんよ」

「わっはっはっはっは」

 

 

264 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 22:30:52.47 ID: NPjeqtHE0

「―あぁ」

「そういえば、あなたのポケットにコレが入っていたんですが……プレゼントか何かですか?」

「わっはっはっはっは」

 

 

272 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/10/03(水) 22:32:52.29 ID: NPjeqtHE0

―チャラッ

('A`)「これは―」

('A`)「ペンダント……?」

 

―安っぽいそのペンダントを手に取ったとき

 

('A`)「…」

 

―何故かほんの少しだけ寂しかった

 

第十話了

 

 

 

戻る

inserted by FC2 system