3 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/22(土) 00:19:45.07 ID: nlPGUa8L0
【March 5】
ζ(゚ー゚*ζ「えっと、まずはパートに別れます。」
(´・ω・`)「女声と、男声はテナーとバスに分かれよう。」
いつもの様に日差しが暖かな窓際で僕は彼女を見ていた。
日々積極的になっていく彼女は、もし普通に学校に通えていたならきっと人気者になっていただろう。
否、もう既に彼女は人気者と呼べるかもしれない。
彼女の周りには多くの人が集まり、彼女の支持を聞いて行動している。
( ^ω^)「こんなところでボーっとしてるのは僕くらいかお・・・」
一人呟いてみても、誰も答えをくれない。
僕はようやく立ち上がり、みんなの方へと向かうことにする。
5 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/22(土) 00:21:39.27 ID: nlPGUa8L0
ζ(゚ー゚*ζ「あ、ブーンさん。」
( ^ω^)「僕のパートは何かお?」
僕に気づいた彼女は少し嬉しそうに楽譜に目をやる。
ζ(゚ー゚*ζ「えっと・・・ブーンさんはテナーを・・・」
( ^ω^)「了解だお」
僕のパートはテナーらしい。
元々素人の男にしては結構高い音域まで出す事のできる僕。
彼女の判断は妥当なものだった。
6 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/22(土) 00:23:30.13 ID: nlPGUa8L0
ζ(゚ー゚*ζ「じゃあテナーの人はあっちに集まっているので・・・。」
デレが指し示した一角には男が数人固まっている。中にはドクオもいるようだ。
僕はそちらに向かって歩いていく。
ガシッ
( ^ω^)「なんだお?」
突然、後ろから肩を掴まれる。
振り向くと、そこにはショボンがいた。
(´・ω・`)「いやブーン。悪いけど、君にはこれをやってもらいたいんだ。」
7 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/22(土) 00:25:23.80 ID: nlPGUa8L0
(´・ω・`)「ドクオ、」
('A`)「はい、ここに」
瞬時にドクオが傍に現れる。
ショボンと一言二言会話をし、次の瞬間には消え、また次の瞬間にはそこにいた。
はい、と何かを渡される。
瓢箪のような形をしたボディから一本突き出ている板。
そこには6本の弦がピン、と張られていて・・・・
( ^ω^)「なんて立派なレスポール」
それは立派なエレキギター。
9 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/22(土) 00:26:43.23 ID: nlPGUa8L0
( ^ω^)「なんでこんなもんを・・・」
(´・ω・`)「やっぱピアノの音だけじゃ寂しいからね。」
(´・ω・`)「なんかポワポワした音出せるやつ・・・ワウだっけ?アレ使って。」
そう言うとショボンはデレの元へ戻り、再び振り分け作業に戻ってしまった。
ギターを手に立ち尽くす僕。
('A`)b「頑張るしかないよ」
10 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/22(土) 00:27:59.65 ID: nlPGUa8L0
( ^ω^)「・・・・・。」
('A`)「あ、それ俺のだから大事に使うんだぞ(はぁと」
( ^ω^)「・・・・。」
('A`)「・・・・・。」
('A`)「さらば!」
無言で威圧してみるも、ドクオはまたも目にも留まらない速さで逃げていった。
12 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/22(土) 00:29:09.16 ID: nlPGUa8L0
( ^ω^)「さて・・・」
実は、ドクオをこの場から排除したのは僕の罠だ。
日ごろの恨み、はらさでおくべきか・・・。
とりあえずギターを置きドクオの机に向かう。
流石にギターを壊すのは忍びない。
椅子の真ん中あたりに画鋲を置く。勿論これはフェイクだ。
隣のクラスから、卒業制作で使われているのだろう―――――ピアノ線を頂戴してきて自分の机とドクオの机を結ぶ。
これで完了だ。
( ^ω^)「楽しみだお」
後はホームルームを待つのみだ。
14 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/22(土) 00:31:41.24 ID: nlPGUa8L0
('、`*川「みんなー、席に着くように」
帰りのホームルーム、いつものように先生が教室に入ってくる。
みんな慌しく自分の席へと走る。
そんな中、一人の男が声を上げた。
('A`)「だれだ?人の椅子に画鋲なんておいたのは」
そう言って画鋲を拾い上げようと自分の机に背を向けるように屈む。
( ^ω^)(今だ!!)
僕は、自分の机を力の限り引っ張った。
持ち主のほうへと倒れる机。
その角はドクオの後頭部へと吸い寄せられるかのごとく・・・・。
ゴスッ、と教室に鈍い音が響いた。
15 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/22(土) 00:33:19.83 ID: nlPGUa8L0
―――――――帰り道、僕は珍しくドクオと一緒にいた。
最近クーと一緒に帰ることが多かったためなかなかドクオと帰る機会がなかったのだ。
少し前までの僕なら、毎日女の子と下校するなんて考えられなかった。
朝方とは打って変わって鈍色の雲に覆われた空が、僕の心までも暗くしていく。
('A`)「それにしても、後頭部がいたい・・・・」
( ^ω^)「悲しい事件だったお」
クーは放課後も残って練習したいそうだ。
ちなみにデレとショボンは合唱の許可申請に職員室へ向かった。
16 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/22(土) 00:35:54.96 ID: nlPGUa8L0
('A`)「暇・・・だな・・・・」
普段から面倒くさいと感じている学校も、無ければ無いで寂しいものだ。
卒業して、この学校に通うことができなくなる・・・・そう考えると少し悲しかった。
特に思い入れがあったつもりはなかったのだが、こんな気分になるのは何故だ。
僕は空を見上げる。
そこには相変わらずどんよりとしたくもが敷き詰められていた。
('A`)「あーあ・・・天気が悪いとテンションが下がるな」
( ^ω^)「・・・・・。」
ドクオも同じ気持ちなのだろうか。
17 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/22(土) 00:36:37.46 ID: nlPGUa8L0
('A`)「なぁ、ブーン」
( ^ω^)「なんだお?」
('A`)「学校・・・戻らないか?」
ポツリ、とドクオが呟く。
僕が考えている事が伝わったのだろうかと思い、ドクオのほうを向く。
('A`)「うんこしたい。」
( ^ω^)「・・・・・・。」
僕は黙って今来た道を引き返す。
学校に――――みんなに会いに行くために。
19 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/22(土) 00:38:20.47 ID: nlPGUa8L0
扉を開ける。
( ^ω^)「あれ?」
長い黒髪、恐らくこのクラスで一番スラリとした美しい体型。
そこにいたのは紛れもなくクーだった。
( ^ω^)(というかクーしかいないお・・・・)
ドクオは今ここにはいない。
わき目も振らずトイレに駆け込んで行ったので、この前やったゲームで主人公がやってた悪戯。
――――個室の扉を開かないように固定し、扉に【僕の部屋】と書いておく・・・をしておいた。
自業自得というものだ、多分使い方間違ってるけど。
20 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/22(土) 00:39:08.09 ID: nlPGUa8L0
川 ゚ -゚) 「あれ?ブーンか。帰ったんじゃなかったのか?」
クーが僕に気づいた。
( ^ω^)「なんとなく戻ってきたんだお」
川 ゚ -゚) 「そうなのか・・・・。」
( ^ω^)「ところで、デレは?」
まだ職員室から戻ってきていないのだろうか、 彼女が先に帰ったとは思えない。
21 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/22(土) 00:40:25.43 ID: nlPGUa8L0
川 ゚ -゚) 「・・・・・まだ職員室じゃないか?」
僕はクーにお礼を言うと、職員室へ向かった。
去り際に見たクーの顔が怒っているように見えたのは、きっと見間違いだったのだろう。
怒られる理由も思い当たらない。
そんなこんなで職員室の前にやってきた。
( ^ω^)(えーと・・・)
が、辺りを見てもデレの姿は無い。
うちの学校は職員室のドアがガラス張りになっているため中の様子も分かるのだが・・・・いない。
仕方なく、教室に戻ることになってしまう。
まさにとんぼ返りという奴だ。
22 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/22(土) 00:40:58.21 ID: nlPGUa8L0
( ^ω^)「ただいまー」
クーはまだ教室にいた。
熱心に何かをしているようだ。
( ^ω^)「何をしてるんだお?」
川;゚ -゚) 「うわっ、ビックリした。」
先程まで何かを持っているようだったが、その手にはもうなにも無くなっている。
川;゚ -゚) 「あ・・・・まあいいか」
何がいいんだか。
23 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/22(土) 00:42:18.48 ID: nlPGUa8L0
( ^ω^)「それより、デレが見当たらなかったお。」
川 ゚ -゚) 「・・・・・・。」
また怒ったような表情をするクー。
彼女は、鞄を手に取ると僕の横を通り抜け一人で出て行ってしまった。
静かになった校内。
あたりに響くのはどこからか聞こえてくる―――――ドアでも叩いているのだろうか、ドンドンという音のみだ。
窓の外に目をやると先程より深みを増したように見える雲。
どうやら僕は一人で帰らなければならないらしい。
続く
27 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/22(土) 00:45:25.52 ID: nlPGUa8L0
おまけ
( ^ω^)「ギター・・・・」
( ^ω^)ギャーーン↑↑↑(攻撃的な音)
( ^ω^)カチャカチャ(ワウを着ける)
( ^ω^)ポワーーン↓↓↓(なんとも形容しがたい音)
( ^ω^)「・・・・なんかスゲェお」