2 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/08(土) 19:32:14.13 ID: M0NvSWeQ0
A prologue

思わず笑みがこぼれる。
何の前触れもなく、本当に唐突にだ。
それだけならばただの気持ち悪い人だが、ちゃんと笑ってしまった理由がある。

―――受験番号0157 内藤ホライゾン
県立VIP高校 普通科 合格

 

5 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/08(土) 19:33:31.45 ID: M0NvSWeQ0
合格、そう書かれた紙を見たときどれほど驚いたことか。
思わずその場で頬をつねってしまいたくなったが、これから通う高校と級友たちの前で早々に馬鹿をやるわけにはいかない。

天才というわけではない。ただ、人よりほんの少しだけ出来るだけ。
定期テストのために勉強をするなんてことはよほど苦手な教科でもない限りしなかった。
その苦手な教科でさえ前日前々日に少しやる程度で、少なくとも平均点かそれ以上は取れてしまうのだ。
そのため殆ど勉強癖というものがなかった僕は、元々持ち合わせていたなまけ癖も災いして高校受験というものを舐めていた。

試験本番2週間前―――気づいた時には崖っぷちだった。

 

6 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/08(土) 19:34:14.16 ID: M0NvSWeQ0
( ^ω^)「全く、今思い出しても冷や汗が出るお」

試験は国語英語数学理科社会、5教科。
それぞれ中学校で3年間学んだこと全てが範囲だ。

僕が苦手な科目は理科と社会、そして数学。
数学は後回しでいい。なぜなら公式と大体のやり方を覚えておけばそれで済むからだ。
問題は社会、特に歴史の分野である。

猶予は14日――否、前日は流石に詰められないので13日。
僕はその僅かな時間で全てを終わらせなければならなかった。

 

 

9 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/08(土) 19:35:15.93 ID: M0NvSWeQ0
結果は先にもあった通り合格。
緊張のあまり、数学と英語で失態を犯してしまったがそれは国語でとりもどした。

完全に勉強というものを見くびっていた僕の通知表はそれはもう酷いもので、この成績では無理かと思われていた。
実際、合否の判定には成績も考慮されるのだ。
だけど最後の追い上げが効いた。

お陰で僕は、進学校・・・とはいえないが中堅上位に位置する高校に入学することが出来た。

 

11 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/08(土) 19:35:59.07 ID: M0NvSWeQ0

( ^ω^)「ふぅ・・・」

ここまで思い出してまたため息が出る。
内藤ホライゾン―――僕は今自室にこもり何をすることもなく思いを巡らせていた。
時刻は26時。受験も終わったのだ、もう寝てもいい時刻だ。

だけど、寝れない。
いまだ体の奥でうごめくこの火照りは冷めず、どうにもならないのだ。
それだけ、嬉しかった。

 

13 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/08(土) 19:36:47.67 ID: M0NvSWeQ0
目をやると机の上には色々な紙が積み重なっている。
乱雑に数式が書きなぐられたルーズリーフや試験の過去問題。
それらを丁寧に分け、いらないものを集める。

そのとき、机の上から何かが落ちた。
それはコロコロと転がり自分の足元で停止する。

( ^ω^)「これは・・・」

ソレを拾い上げて眺める。
まだ綺麗だ。まず封があいていない。

 

15 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/08(土) 19:37:24.48 ID: M0NvSWeQ0
 
( ^ω^)「消しゴム・・・結局使わなかったお」

試験には予備の消しゴムが必須だ。
試験中に落としたりなんかしたら洒落にならない。
だから僕も前日に一つ買ったのだが、結局一度も落とすことなく試験は終わったのだ。
お陰ですっかり小さくなった普段使っていた消しゴムだけですんだ。

( ^ω^)「前の消しゴムも大分小さいし、そろそろ開けて筆入れに入れるお」

そう思って封を開ける。
思えばコレが全ての始まり―――――後に僕はちょっとした不思議に見舞われることになる。

 

( ^ω^)と消しゴムのようです

 

 

 

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