2 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 21:41:42.77 ID: mSr8SdCV0

食品開発総合会社VIP、マーケティング部門。

('A`)「よし、終わり」

午後22時。
ドクオは今日の分の仕事を終え、一息ついていた。

ξ゚听)ξ「今日も疲れたー」

( ,,゚Д゚)「あー……めがっさ目が疲れたぜ」

同じ部署の同僚も仕事を終えたようだ。

 

 

3 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 21:44:07.81 ID: mSr8SdCV0
 
('A`)「今日は珍しく残業無く終わりましたねー」

ξ゚听)ξ「そうね。久々にゆっくり寝れるわ」

( ,,゚Д゚)「俺も三日ぶりに娘におやすみが言えるぜ」

各々は、仕事を終えた事の充実感と開放感に浸っている。
そして、ショボン部長のシメによって、今日の業務が終わろうとしていた。

(´・ω・`)「それじゃ、今日の業務は……あ」

('A`)「どうしたんですか?」

(´・ω・`)「ちょっと、新製品の報告書出てないよ」

ξ゚听)ξ「えー!? ちょっと、誰よもー」

('A`)「お、俺は知らないっすよ」

( ,,゚Д゚)「聞いてねえぞゴラァ」

 

 

4 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 21:45:19.92 ID: mSr8SdCV0
   
狭い室内に不満が飛び交う。
当然の反応だろう。
せっかく仕事が終わったと思っていたのに、また仕事となれば誰だって文句の一つも言う。

(´・ω・`)「しかし、これは今日中に仕上げないとやばいな……。
      明日の朝一の会議で使う報告書だ」

('A`)「どうするんですか?」

ショボン部長は、眉を眉間に寄せながらこういった。

(´・ω・`)「誰かが残業して仕上げるしかないね」

(;'A`)ξ;゚听)ξ( ,, Д ) ざわ…ざわ…!

絶対やりたくねぇ……。皆の顔には、そんな言葉が張り付いていた。

(;'A`)(くそ、残業なんかしたら、深夜アニメが見れないじゃないか!)

ξ;゚听)ξ(残業なんてしたら、また寝不足でお肌が荒れちゃう……せっかく肌荒れも落ち着いてきたのに!)

( ,,゚Д゚)(また、しぃに怒られちまう。今日は早く帰るねって約束しちまったぞゴラァ!)

 

 

5 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 21:48:09.35 ID: mSr8SdCV0
 
(´・ω・`)「ドクオ君、どうだい?」

不意に、ショボン部長がドクオに話を振った。

(;'A`)「え? あー、今日はちょっと……ごほっごほっ! か、風邪気味なんですよ」

ドクオは激しく咳き込む。当然、真っ赤な嘘ではあるのだが。
その様子をみて、ショボンはツンの方を見た。

(´・ω・`)「ツン君はどう?」

ξ゚听)ξ「え、えーっと、あ、電話が。はいもしもし。えー!? 隣の家の山田さんちの隣の加藤さんちに空き巣が入ったー!?
     や、やだー。こわーい。早く帰って戸締り確認しなきゃー」

ツンは鳴ってもいない携帯電話を耳に当てる。
入社三年目の新人とはいえ、このアドリブは流石の一言である。

(´・ω・`)「ギコ君は都合つくかい?」

( ,,゚Д゚)「あ、え、と、今夜はその、妻と夜のお仕事が」

嘘が下手な男である。

 

 

6 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 21:49:04.05 ID: mSr8SdCV0
 
ショボンは三人の顔を見渡し、うーん、と唸った。
そして、何か思いついたのか顔を上げる。

(´・ω・`)「仕方ない。こうなったら、残業カードバトルで誰が残業するか決めよう」
 
残業カードバトル。
現代社会において、ジャンケンや多数決よりも公平と一部で言われているカードゲームである。

('A`)「そうですね。このままじゃラチがあかないし」

ξ゚听)ξ「妥当な判断ね。負けても恨みっこ無しよ」

( ,,゚Д゚)「賛成だゴラァ!」

三人は承諾したようだ。
全員の承諾が取れて初めて、残業カードバトルは成立する。

 

 

8 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 21:52:23.57 ID: mSr8SdCV0
 
(´・ω・`)「よし、それじゃあ始めようか。親は僕で良いよね? 時間もないし、勝負は三巡で。
      まずは状況(シチュエーション)カード、オープン!」

ショボンは、机の中に入っていた十枚のカードをシャッフルし、一枚引いて机の上においた。

(´・ω・`)「状況カードは、採用面接!」
 
('A`)「随分と懐かしい状況カードですね」

状況カード、採用面接。誰もが会社に入るときに通った関門である。

(´・ω・`)「今回は採用面接の状況でたたかってもらう。初期ポイントは10。
      親である僕から時計回りでいくよ」

さて、ここで残業カードバトルについて少し説明しておこう。
このゲームは、限られた手札(今回は五枚)でいかにポイントを稼ぐかを競うカードゲームだ。
状況に応じたカードを出せばポイントが上がり、逆にKYなカードを出すとポイントが下がる。

社会人としての総合能力が試される、まさに実力主義のカードバトルなのだ。

(´・ω・`)「状況カード一巡目の問いは……『当社を志望した理由は?』だ」

 

 

9 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 21:55:07.82 ID: mSr8SdCV0
  
(´・ω・`)「まずは僕のターン。『具体的な案』を出させてもらうよ」

ショボンがカードを出し、状況カードに重ねる。
すると、カードが光を発し、音声が流れ始めた。

「当社を志望した理由は?」

(´・ω・`)「はい。私は大学でマーケティングや流通論について勉強してきました。
      御社は今年からスイーツ部門を新設するとお聞きしたのですが、
      私は大学でスイーツの販売について研究した事があります。御社では是非、スイーツ部門に入り大学で得た知識を(略」

「素晴らしい学生だ」

カードから+2 という表示が浮かび上がった。

(´・ω・`)「ふふ、まずはこんな所かな」

ショボン:ポイント12

ξ゚听)ξ「流石、部長ね。有名大学出身の経験が生きている……!」

 

 

11 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 21:57:39.99 ID: mSr8SdCV0
 
( ,,゚Д゚)「いきなりショボン部長マンセーの流れだぜ。
     こりゃ相対評価で落とされるかもなぁ」

('A`)「つ、次は俺だ」

ドクオは手札を確認し、慎重にカードを選んだ。

('A`)「俺は『専門技術』をアピールさせてもらうぜ」

ドクオはカードを机に叩きつける。
例によって、カードは光を発し音声が流れ始めた。

「当社を志望した理由は?」

('A`)「はい。私はPCの扱いに非常に長けています。
    エクセルやワードを使った表から広告、ホームページの製作まで(ry」

「うーん、質問とかみ合ってないね。私が聞いてるのは志望理由だよ?」

(;'A`)「し、しまった!」

状況カードから、−1という文字が浮かび上がった。

ξ゚听)ξ「あーあ、初心者みたいなミスやっちゃって」

(;'A`)「うっせ! どうせ俺はコミュ力低いよ!」

ドクオ:ポイント9

 

 

12 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:00:46.81 ID: mSr8SdCV0
 
ξ゚听)ξ「次は私ね! 『ゴマすり』よ!」

ツンは手札から一枚のカードを場に出した。

「当社を志望した理由は?」

ξ゚听)ξ「私は御社の商品をよく利用しているのですが、非常に実用的で、かつ値段も安く(ry
     また、社風にも非常に感動し(ry   働きたいと思い志望しました」

ツンの口からは、次々と褒め言葉が飛び出し、さらに、それに志望理由を付け加えている。

('A`)「すげぇ……よくあんなに褒め言葉が出てくるな」

( ,,゚Д゚)「女は怖いぜ」

面接官の表情が柔らかくなっていく。
自社を褒められて、嫌な印象を受ける人は少ないだろう。

 

 

14 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:03:32.11 ID: mSr8SdCV0
 
(´・ω・`)「おっと、そうはいかない。このカードを使わせてもらうよ!
      妨害カード『余計な一言』!」

ξ;゚听)ξ「えっ!?」

ショボンのカードが、場に叩きつけられた。

(´・ω・`)「おやおや、ツンさんじゃないですか。ラウンジ社の面接でもお会いしましたよね。
      しかし、おかしいなぁ。ツンさん、今と同じ台詞をラウンジ社の面接でも言ってましたよね。
      もしかして、使い回しですか? コピペですか? いやぁ、なるほどなるほど」

ξ;゚听)ξ「うぐっ!!」

 

 

15 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:04:02.33 ID: mSr8SdCV0
  
( ,,゚Д゚)「うわぁ、印象が一転最悪になるコンボだぞゴラァ!」

('A`)「『ゴマすり』が好印象だった分、今の妨害カードは痛いな……」

ドクオ達の言う通り、面接官の表情が見る見るうちに憤怒へと変わっていく。

「なるほど。じゃあツンさんは、わが社の面接に落ちてもラウンジ社があるので大丈夫ですよね?」

ξ;゚听)ξ「あ、い、いえ、御社が第一志ぼ……」

「はい、ありがとうございました。次の方どうぞ」

ツンの放った弁解の言葉は、もはや面接官達の耳には届いていない。
一度の失敗が死を招く。それが面接というものなのだ。

(´・ω・`)「ふふふ。終わったな」

ξ;凵G)ξ「イ――ヤ――!!」

ツンの悲鳴と共に、−3という文字が表示された。

ツン:ポイント7

 

 

18 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:08:32.01 ID: mSr8SdCV0
  
( ,,゚Д゚)「最後は俺だゴラァ……!」

ギコは手札を確認し、出すカードを吟味する。

( ,,゚Д゚)(クソ、いい手札とは言えねぇぞゴラァ。
     『資格自慢』は柔道二段……いまいち実務には結びつかないな。
      ここは『自信』で安直でも堂々とした姿勢を貫くべきか?)

しかし、そこでギコは考え直す。
『自信』のカードで安直な答えを突きつけても、ショボン部長の『具体的な夢』の後じゃ相対評価で0ポイントかもしれない。

( ,,゚Д゚)(元々、『自信』のカードは先制で出して、後の奴らのマイナスポイントを増やす封じ系のカードだ。
     または支援、防御の時に使える守りの万能なカード……。
     どちらにせよ、今出すべきカードではないな。よし、ここはやはり、他の奴らと差別化でき、かつ妨害もしにくい『資格自慢』でいくぞゴラァ!)

ギコは手札からカードを一枚取り、場に出した。

( ,,゚Д゚)「俺は『資格自慢』を使うぜ!」

(´・ω・`)「ほう。堅実なカードを使ってきたな」

( ,,゚Д゚)「ツンのように、一気にポイントを上げようとして妨害されたら困るんでね」

 

 

20 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:09:18.20 ID: mSr8SdCV0
  
ギコの選択はショボンの言う通り、実に堅実だった。
後攻の利点は、相手の戦術がじっくり見れる、という事である。

( ,,゚Д゚)(恐らくショボン部長の作戦は、妨害カードを駆使した先行逃げ切り!
     うかつに手を出すより、ここは様子見だゴラァ)

『資格自慢』のカードが光り、場に表示される。

「当社を志望した理由は?」

( ,,゚Д゚)「はい。俺は大学では体育会系の柔道部に所属しており、現在柔道二段です。
     業務と直接関係はありませんが、体育会系で学んだ上下関係と……
     当社の人事部にも柔道部のOBの方がいらっしゃると聞いて……とても良い職場だと常々聞いており……」

「うむ。クックル君は元気に働いているよ。ギコ君の事も耳にした事がある。
 とても真面目な柔道部員だそうじゃないか。これは期待できそうだね」

( ,,゚Д゚)「ありがとうございます!!」

ギコが頭を下げ、大きな声でそう言った。
面接官の表情は良好。この選択は正解だったと言えるだろう。

 

 

22 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:11:35.98 ID: mSr8SdCV0
  
ξ゚听)ξ「ギコ、中々やるわね。一見、志望動機とは関係ない『資格自慢』を
     見事にOBの繋がりと人望で志望動機に結びつけ、かつショボン部長とは違う切り口で自己アピールを決めたわ」

('A`)「くっそー。俺のは繋がりが無かったからいけなかったのか……。
    2chの有名コテと知り合いってだけじゃ何にも役に立たねぇなチクショウ」

ツンが冷ややかな目でドクオを見る。が、ドクオは気付いていなかった。

そして、表示されたポイントは+2

ギコ:ポイント12

( ,,゚Д゚)「とりあえずショボン部長と並んだぞゴラァ!」

(´・ω・`)「まだまだ、あとニ巡あるよ。勝負はこれからさ」

一巡目終了

(´・ω・`) 持ちカード3枚 ポイント12

('A`) 持ちカード4枚 ポイント9

ξ゚听)ξ 持ちカード4枚 ポイント7

( ,,゚Д゚) 持ちカード4枚 ポイント12

 

 

25 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:14:46.98 ID: mSr8SdCV0
    
(´・ω・`)「さあニ巡目といこうか。次の問いは……『あなたが学生時代に一番頑張った事は何ですか?』」

ショボンが面接官カードを横にした。
一巡が終了し、ニ巡目となった合図である。

('A`)「定番の質問ですね」

(´・ω・`)「甘く見ちゃいけない。この問いは、協調性やリーダーシップを図る物だ。
      社会人に必須のコミュニケーション力なども問われる」

ξ゚听)ξ(ふふ、これは私の為にあるような質問ね。
     学生時代、色んな活動をやってきた私にとって、こんな質問おちゃのこさいさいよ!)

( ,,゚Д゚)(まずったな……。ロクなカードがねぇ)

(´・ω・`)「まずは僕からだ。いくよ」

面接官のカードが光り、質問が始まった。

 

 

26 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: >>24誤字りました 投稿日: 2008/04/11(金) 22:16:06.49 ID: mSr8SdCV0
  
「あなたが学生時代に一番頑張った事は何ですか?」

(´・ω・`)「僕は『経験』のカードを出し、さらにコンボで『資格自慢』を場に出す!!」

ショボンは手札から二枚のカードを重ねて場に出した。
その行為に、一同から驚きの声が漏れた。

(;'A`)「な……! こ、コンビネーションだってー!?」

ξ゚听)ξ「残り三枚のうち、二枚を使うなんて。ショボン部長、勝負に出たわね」

( ,,゚Д゚)「おいおいおい、こりゃあマズイぞゴラァ」

何故、ここまで皆は焦るのだろうか?
答えは簡単。最初に答える『親』がコンボカードを出すという事は、後の者にプレッシャーを与えるという抑えの効果があるのだ。

 

 

28 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:19:07.76 ID: mSr8SdCV0
 
(´・ω・`)「僕は学生時代に某IT会社にアルバイトとして働いていました。
      その際、プログラミングやHP作成、その他PC業務を担当しており、パソコンの扱いには慣れています。
      資格として初級シスアド、エクセルの……」

(;'A`)(ま、ままままずい! このままじゃショボン部長の直後の俺は不利だ!)

ドクオは慌ててカードを取り出した。

('A`)「妨害カードとして『自己アピール』を割り込むぜ!」

ξ;゚听)ξ「ちょ、バカ!」

ツンが静止の声をあげたが、時既に遅し。
ドクオのカードが、ショボンのコンボカードに割り込んだ。

 

 

30 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:22:18.26 ID: mSr8SdCV0
 
('A`)「そんなこと俺だって出来ます! いや、俺の方がプログラミング関係は専門です!」

面接官が、ドクオの方に冷ややかな視線を送った。

(;'A`)「あれ?」

「今、ショボン君に質問している最中なんだ。他の人が喋ってる時に割り込むのはマナー違反だぞ」

('A`) がぁぁっぁぁぁぁっぁん!!

ξ;゚听)ξ「バカ……」

(´・ω・`)「ふふふ、コンボカードに妨害カード一枚で挑むなんて甘いよ」

妨害は、必ずしも成功するとは限らない。
相手のポイントの方が上、さらにコンボカードに割り込むなど、はっきりいって無謀である。

「君はあれだ、今流行のKYというやつだよ。ショボン君、すまないね」

(´・ω・`)「いえいえ、お気になさらずに」

 

 

36 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:25:28.94 ID: mSr8SdCV0
  
ドクオの妨害もむなしく、ショボンにポイントが加算される。
その数値は+6。一巡目で基盤を作り、ニ巡目でコンボを決める完璧な先行逃げ切りだった。

ショボン:ポイント18

(´・ω・`)「ふふふー。内定、内定、内々定。僕は内定、君らは泣いて♪」

('A`)「ぐあああああああああああっ!!!」

当然、妨害に失敗したドクオはペナルティを受けた。コンボ効果で、マイナスだけでなくターンも飛ばされる。
マイナスポイントは3だ。これで、ショボンとドクオのポイント差は三倍に膨れ上がった。

ドクオ:ポイント6

('A`)「そんな……そんな……」

(´・ω・`)「あーあ、今日は残業しなくてすみそうだにゃぁぁぁん♪
      帰りに一杯引っ掛けていくかな。それとも綺麗なおねーちゃんの店に行こうかな?
      まあ君たちが弱いわけじゃない。僕が強すぎるだけなんだよ。うひゃひゃひゃひゃぶぶwwww」

 

 

37 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:26:32.04 ID: mSr8SdCV0
  
ショボンの圧倒的な逃げ切り。
そして、対照的にドクオのポイントは一気に最低の6となった。

この状況ならば、一番ポイントの低いドクオを陥れるのが、ツンとギコにとって有効作である。

何故なら、別に一位になる必要はないのだ。敗者にならなければ、残業はないのだから。
しかし、ショボンの調子に乗った一言が、彼らの中にある闘争心を駆り立てた。

(#'A`)ξ#゚听)ξ ( ,,#゚Д゚)(絶対ぇ、ショボン部長に残業やらせちゃる……!!)

(´・ω・`)「しょうへいへーい!! どうしたのー? 次はツン君だよーん?
      僕が圧倒的過ぎておしっこ漏らしちゃったのかな? ん?」

 

 

39 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:27:35.16 ID: mSr8SdCV0
 
ξ゚听)ξ「私は『学園祭委員』のカードを出すわ!!」

(´・ω・`)「ほう、流石若手。青春なカードを持ってるねぇ」

ツンのカードが場に出された。しかし、さっきの嘘バレもあってか、面接官の表情は険しい。

ξ゚听)ξ「私は四年間、学園祭実行委員として……責任感のある重要な役職もこなし……」

ツンの答えは、かなり良質の回答だった。
その回答は、責任感、人を纏める為のリーダーシップ、企画力など、あらゆる能力を惜しみなくアピールするものだった。

しかし、

「うーん……」

ξ;゚听)ξ(く、やっぱり最初の妨害で信用が下がってるか……!)

信用は、社会において何よりも重要な物である。
この残業カードバトルでも、勝利の鍵を握るのは隠しパラメータである信用なのだ。

大体の信用値はポイントの値でわかるが、それ以外でも変動する不可視のやっかいなパラメータだ。

 

 

41 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:30:48.00 ID: mSr8SdCV0
 
ツンはさっきの『ゴマすり』によってかなり信用が落ちている。
当然、面接官のツンへの不信感は高まっているのだ。

ξ;゚听)ξ「ダメだわ……この反応じゃ、いっても+1……。普通なら+3は確実の返答なのに」

(´・ω・`)「あははははははは!!!! 嘘つきは泥棒の始まり、なんてねーーー!!
      ツン君を見たら泥棒だと思え、なんてね♪」

ξ#゚听)ξ(にゃ、にゃろう)

ショボンはすでに勝利を確信しているのか、最後のカードを持って小躍りしている。
非常に悔しいツンであったが、打つ手はなかった。
例えコンボを使っても、信用の低い状態ではショボンの18ポイントに届くとは思えなかったからだ。

しかし、ツンに打つ手が無くとも……

( ,,゚Д゚)「支援カードを出すぞゴラァ! 『自信』カードを使うぜ!!」

ξ゚听)ξ「ギコ!」

時として、誰かが手を差し伸べてくれる。
これが、残業カードバトルの面白いところだ。

(´・ω・`)「ギコ君、一体何のつもりだ? 意味ないよー? 自分の首しめるだけだよ?」

 

 

43 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:32:03.79 ID: mSr8SdCV0
    
( ,,゚Д゚)「どうかな……?」

ギコの出したカードは『自信』
彼の自信を、ツンに支援する。それが意味する事とは――――。

( ,,゚Д゚)「俺はツンさんと同大学ですが、彼女は学園祭実行委員の中心として、適切な指示を出し誰よりも一所懸命働いてました。
     学園祭では、我が柔道部も出し物をしたのですが、その時に部員が怪我をしてしまう事故がありました。
     しかし、ツンさんの指示と素早い対応で、混乱せずに事態を収める事が出来たんです」

ξ゚听)ξ「ギコ君……!」

ツンは、驚きの表情を浮かべる。
彼女は確かに誰よりも働いたが、だからといって、その事を誰よりも褒められたりはしなかった。
別に褒められる為にやっていた訳ではないが、自分の努力をちゃんと見てくれた人がいた事に、彼女はいささか驚き、感動したのだ。

 

 

45 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:32:50.10 ID: mSr8SdCV0
  
( ,,゚Д゚)「ツンさんは、とてもいい人だと自信を持って言えます! 彼女の言った事は全て本当です。俺が保障します!
     そして、ツンさんは俺の事を知らないと思いますが、今日という機にきちんとあの時の御礼をしたいと思います。
     ありがとうございました!!」

そう、それは自信を持って、ツンは信頼の出来る人物であると他者が主張する事。
例外的な手段だが、いわゆる推薦に近いものがあるだろう。

そして、それに付属したドラマ性。ちょっぴり昭和な香りのするロマンチックな状況。

「……青春……!」

それは、面接官の心を――――鷲掴みにする!!!

 

 

48 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:34:39.20 ID: mSr8SdCV0
   
(;´・ω・`)「ぬわぁぁぁにぃいいいいいいいい!?」

余裕シャクシャクだったショボンが、思わず声をあげた。
面接官の目が、輝いているのだ。さっきのショボンによるコンボの時より、輝いている。

「青春万歳!!青春万歳!!」

('A`)「面接官が青春モードに入ったぞ!」

面接官がどんどんポイントを+していく。
ツンのポイントは+10。ギコには+5だ

ツン:ポイント17
ギコ:同上

(;´・ω・`)「は、ははは。まだ僕は一ポイントリードしてるもんね!!」
       それにドクオ君がドベなのはかわらないもんね!!」

('A`)「く……」

 

 

52 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:36:06.25 ID: mSr8SdCV0
  
しかし、ショボンの考えは甘かった。甘すぎたのだ。

( ,,゚Д゚)「俺の番だ!! 俺は支援カードとしてドクオに『仲間』カード。さらに『友情』『勇気』カードをコンボで使う!!」

(´・ω・`)「支援コンボで全カードを使うだと!? 血迷ったか!!」

('A`)「ギコ……どうして……?」

ギコは全てのカードをドクオに託した。
このターン、支援コンボにより、ギコのターンはドクオのターンへと変わる。

( ,,゚Д゚)「ドクオ。お前、ようやくここまでこぎつけたんだろ?」

('A`)「……え?」

( ,,゚Д゚)「覚えてるか? お前、説明会の時に貧血と緊張でぶっ倒れたよな。
     あの時、お前俺に色々話してくれたじゃねえか」

('A`)「あ、ああ」

ドクオは頷く。

 

 

54 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:37:58.96 ID: mSr8SdCV0
  
( ,,゚Д゚)「やっとの思いでここまできたんだろ?
     かっこつけんな。おまえ自身を、有りのまま面接官に伝えてやれ。
     お前なら出来る。『勇気』をもて!!」

('A`)「……」

そうだ。俺はこんな所で、躓いてる場合じゃないんだ。
もう諦めないと、自分自身に誓ったんだ。

('A`)「俺は……」

面接官が、ドクオの方を向いた。
ドクオのポイントは6。逆転するには、全てのカードで最高のコンボを仕上げるしかない。

('A`)「俺は、引きこもりだったんです……」

「ざわ……ざわ……!!」

面接官の表情が戸惑いに変わった。
しかし、ドクオは話を続ける。

('A`)「うちは母子家庭で、金に余裕が無かったんです。
    だから、大学にもいけず、俺はそんな環境が嫌で、引きこもったんです。
    あの頃の俺は餓鬼でした。甘ちゃんでした。自分の思うようにいかないから、それを社会のせいにした。家庭環境を言い訳に、引きこもりを正当化した」

 

 

60 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:41:47.94 ID: mSr8SdCV0
    
「……」

('A`)「だけど、ある日カーチャンの背中が急に小さく見えたんです。
    あんなに元気だったカーチャンも、年をとって、足腰も弱くなって、それでも俺の心配までして……。
    俺、急に自分が情けなくなって、働く事に決めたんです」

それは、決して誇れる経歴では無かった。
しかし、だからこそ真実味があった。嘘やいい加減な主張ではない。これが彼なのだ、と。

('A`)「パソコンの勉強をしながら、バイトして、就職活動して……そして、ようやくこの面接までこぎつけたんです。
    俺にとって、この会社だけは、門前払いせずにちゃんと技術を見てくれたんです。この会社は、俺を人として扱ってくれる。
    一人の技術者として、見てくれる。だから」

ドクオは、そこで一息つき

(#'A`)「俺はここで働きたいんだぁぁぁぁぁ!!!
    行くぜ、『心境変化』カードで残り全てのカードを『情熱』にかえる!!!
    俺の『情熱』を受け取ってくれええええ!!!!!!!!!」

その言葉は、まるで嵐のように面接官へと放たれ、そして春風のように消えていった。

場が静まり返る。面接官は、ただ腕を組んで黙り、ドクオの目を真っ直ぐに見つめていた。

 

 

64 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:43:57.74 ID: mSr8SdCV0
 
「……」

(;'A`)「……ハァ……ハァ」

永遠にも思える、長い沈黙が場を支配する。
これは、ダメか? ドクオの中で、また弱気な自分が顔を見せた。
しかし、ドクオはその弱い自分を必死で抑えた。 

そして、

「――――素晴らしい熱意だ。採用」

面接官は、一言、そういった。

 

(;´・ω・`)「なぁあああああああああああんぞおおおおおおおおおおおお!!!!????」

ショボンが机を激しくたたき、立ち上がった。
もはや、そこに最年長としての威風も冷静さも無い。

 

 

65 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:45:29.82 ID: mSr8SdCV0
  
(;´・ω・`)「こ、こここここんなのは認められない!!!」

( ,,゚Д゚)「何言ってるんですか、しっかり受理されてますよ。不正でも何でもない」

(;´・ω・`)「し、しかかかかかかっかかししいしししししいいいいい!!!!」

ショボンは唇をぷるぷると震わせている。

ξ゚听)ξ「ドクオはこれで勝利確定で一抜けね。はい、三巡目ですよ部長」

(´・ω・`)「あ、あああああああ。だ、大丈夫だ。びりにならなければいいんだ。
      残業は嫌だ、残業は嫌だ……ブツブツ」

追われる者の精神的プレッシャーは、重い。
そう、勝利を確信していた彼だからこそ……今、敗北という物が隅に見えてきた事に対し、恐怖を感じているのだ。

ニ巡目終了

(´・ω・`) 持ちカード1枚 ポイント18

('A`) 持ちカード0枚 二巡目一抜け ★

ξ゚听)ξ 持ちカード3枚 ポイント17

( ,,゚Д゚) 持ちカード0枚 ポイント17

 

 

66 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:46:49.27 ID: mSr8SdCV0
 
(´・ω・`)「三巡目の問いは……『グループディスカッション』か。ふ、ふふ。予定通りだ。
      テーマは『新製品のCM』についてだ」

ショボンは不気味な笑みを浮かべる。
グループディスカッション。それはあるテーマについて全員で討論する、
協調性や考え、総合的な能力を判断する、採用試験の難関である。

(´・ω・`)「僕は当然、『自信』を使う!!! 後は好きにやりたまえ!!」

ショボンのラストカードは『自信』であった。
『自信』はどんな状況でも安定して使えるという特性故、守りに使うには有効なのだ。

ξ゚听)ξ「……ショボン部長」

(´・ω・`)「ははは、これで僕は安泰だよ。フフフ」

 

 

68 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:47:34.95 ID: mSr8SdCV0
 
ショボンはすでに半分壊れていた。
ツンは、申し訳無さそうに、こう言った。

ξ゚听)ξ「ショボン部長、申し訳ありません」

( ,,゚Д゚)「ショボン部長、すいません」

('A`)「後の事、頼みました」

三人は目を合わせ、こくりと頷く。
ショボンは怪訝そうな顔で三人を見るが、やがて何かに気付いたのか顔を引きつらせた。

(;´・ω・`)「ま、まさか!!!」

――――ショボンの予感は、的中した。

 

 

70 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:49:35.50 ID: mSr8SdCV0
  
ξ゚听)ξ「コンボカード発動!!私の『仲間』『内輪』『派閥』カードを使い、グループディスカッション内に閉鎖空間を発生させる!!」

(;´・ω・`)「ぬわぁぁぁぁにいいいいいいいい!!!!!!!????」

ξ゚听)ξ「仲間の効果により、同大学の繋がりによって私とギコ君によるディスカッション開始!
     さらに派閥の効果と内輪の効果により、ショボン部長はディスカッションに参加する事が出来ない(空気的に)」

(´・ω・`)

ショボン部長の顔が青ざめていく。
グループディスカッションにおいて、チームとの協和が取れないのは一番の痛手である。
そう……出る杭は打たれるの如く、先制逃げ切りで調子に乗ったショボンは、

見事に、ハブられたのだ。残業カードバトルにおいて、この技は『封じ』と言う。

 

 

73 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:51:39.69 ID: mSr8SdCV0
 
ξ゚听)ξ「テレビの宣伝効果は強大です。しかし、それは商品の顧客をしっかりと見極めたうえで……」

( ,,゚Д゚)「ならば、夕方の時間帯は……」

(´・ω・`)

当然のように、ツンとギコのポイントは順調に加算されていった。
いくら『自信』カードで自信満々の態度をとるショボンでも、会話に入れないので当然ポイントがマイナスされていく。

 

 

75 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:52:10.86 ID: mSr8SdCV0
 
会話に入れない。
それは、能力以前の問題である。社会不適合と言われても仕方がない。

……例えそれが仕組まれた状況でも……面接では一切関係ない……!!

面接官が評価するのは……上っ面……否……その裏までも見据えているのだ……っ!!

ξ゚听)ξ「では、これで結論はよろしいでしょうか?」

( ,,゚Д゚)「はい。これが私たちの出した結論です」

(´・ω・`)「こ、こんなのは嘘だ!!やらせだ!!八百長だ!!」

椅子を放り投げ、抗議の声をあげるショボン。
しかし、面接官はまるで哀れなダメ人間を見るような視線を投げかける。

ξ゚听)ξ「ショボン部長」

叫びまわるショボンに、ツンは冷ややかな口調でこう告げた。

 

 

78 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:52:35.99 ID: mSr8SdCV0
 

 

 

ξ゚听)ξ「空気読め」

 

 

 

79 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:52:58.97 ID: mSr8SdCV0

……

(;´・ω・`)「ちいくしょおおおおおおお!!!!」

最後の周回も終わり、残業カードバトルは終了した。
悔しさを机にぶつけるのは、ショボン。今回のゲームの敗者は、ショボンに決定したのだ。

ξ゚听)ξ「いやったー!!」

('A`)「勝った……部長に勝てた!!」

( ,,゚Д゚)「いやっほぉぉぉぉ!!!!」

 

 

81 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:53:53.96 ID: mSr8SdCV0
   
(;´・ω・`)「何故だ……! 残業知らずのショボンさんと言われたこの僕が!!」

ショボンはまだ納得がいかない様子で、頭を抱えている。

ξ゚听)ξ「やっぱり最初に飛ばしすぎたんじゃないですか?」

('A`)「そうですね……最後のカードが自信だけってのが痛かったのでは?
    先行逃げ切りなら、もう少し守りに重点を置くべきでした。妨害はちょっといらなかったと思います」

ドクオとツンが、カードを集めながらそれぞれの意見を言う。

(´・ω・`)「うーむ、僕はてっきりツン君が僕の妨害をしてくると思って、先に仕掛けておいたんだが」

ξ;゚听)ξ「ちょ、部長wwww酷くないですか!? 私はそんな妨害主体のデッキじゃないですよ!!」

( ,,゚Д゚)「いや……ゴマすりとか入ってる時点でかなり香ばしい気が……」

 

 

85 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:55:57.26 ID: mSr8SdCV0
  
('A`)「そういや、どうしてギコは俺に支援カードを使ってくれたんだ?」

( ,,゚Д゚)「そりゃお前、ショボン部長を倒したかったからだよ」

('A`)「あ、友情とかそういうんじゃないんだね。わかります」

( ,,゚Д゚)「友情wwwwwww残業カードバトルでそんな甘っちょろい理由ねーよwww
     ショボン部長を負かすために、どうしてもお前には勝ってもらう必要があったんだぞゴラァ!!」

('A`)「あーあ、どうせ俺は支援がないと勝てない雑魚ですよー」

(´・ω・`)「ドクオ君はもっと多彩なカードを持った方がいいよ」

ξ゚听)ξ「いやいや、ドクオはそんな器用じゃないっしょー。
     器用貧乏になるより、PC関係のカードで一流になった方がいいと思う」

(;'A`)「どうせ俺はパソコンしか出来ないもんね!!フン! リア充どもが!」

 

 

87 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 22:58:47.19 ID: mSr8SdCV0
 
と、ここで壁時計が0時を告げる音を鳴らした。
ショボンがその音に気付き、腕時計を見る。

(´・ω・`)「あ、もう0時じゃん!」

ξ゚听)ξ「うそっ! 終電逃しちゃった! もー、また肌が荒れちゃうー」

ツンは頬に手を当てながら、呟いた。それを見てもじもじするのはドクオだ。

('A`)「ツンさんは、その、十分きれいです・・・」

ξ゚听)ξ「え? 何? なーに?」

(;'A`)「な、なななな何でもないです!! すいません!!」

(´・ω・`)「あれれ? ドクオ君顔が赤いぞ?」

そう言われ、ますます顔を赤くするドクオ。
ツンが顔を覗きこむと、恥ずかしそうに顔を逸らした。

 

 

90 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 23:01:28.10 ID: mSr8SdCV0
   
ξ゚听)ξ「ねー、ドクオー。一緒にオールしよっか?」

(*'A`)「え? い、いいんですか!? あばばばばっばwwww」

ξ゚听)ξ「私に恋愛カードバトルで勝てたらね♪」

そう言って、ツンはピンク色のカードを取り出す。

('A`)「持ってないです……というか、端からその気なんてないんですよね。わかります」

ドクオはそう言って、ぶつぶつと壁に向かって呟きだした。
それを見かねたのか、ショボンがドクオの肩を叩いた。

(´・ω・`)「今日は飲もうか。僕の奢りだ」

('A`)「部長〜〜〜〜〜〜」

 

 

92 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 23:05:17.71 ID: mSr8SdCV0
   
( ,,゚Д゚)「え!? おごりですか!? あざーっす!! ごちになります!!」

ξ゚听)ξ「キャー! ショボン部長太っ腹♪」

(;´・ω・`)「ちょちょちょっと、君たちに奢るなんて言ってないよ!」

しかし、ショボンの声など聞こえていないのか、はたまた聞いてないだけなのか、
ツンとギコは、もはや聞く耳持たずノリノリであった。

(´・ω・`)「はぁ、もうしょうがないなぁ! 今日はオールで飲むぞ!
      明日はみんな、二日酔いで仕事だ!!」

('A`)ノξ゚听)ξノ( ,,゚Д゚)ノ「おおおおお――――!!」

一同の声が、深夜の会社に響き渡る。

( ,,゚Д゚)「またしぃに怒鳴られちまうぜwwwww」

ξ゚听)ξ「あんまり朝帰りしてると、嫁は逃げてくぞ」

( ,,゚Д゚)「やーめーろ−。リアルで有りそうで嫌だ。離婚カードバトルなんてしたくねぇ……」

 

 

93 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 23:06:39.94 ID: mSr8SdCV0
 
('A`)「あれ? そういや何か忘れてません?」

( ,,゚Д゚)「何だっけ」

ξ゚听)ξ「そう言えば……」

(´・ω・`)「うーん……」

一同は考え込む。
何か、重要なものを忘れているような気がするのだ。

 

(´・ω・`)「まあいっか! どうせたいした事じゃないよ!」

('A`)ξ゚听)ξ( ,,゚Д゚)「ですよねーwwwww」

 

 

97 名前: ◆NscXkUt6VE Mail: 投稿日: 2008/04/11(金) 23:10:16.00 ID: mSr8SdCV0

「飲み屋でもうちょっとカード議論する?」「いいねぇ」
「ショボン部長、そういえば昇進カードバトルはどうなったんですか?」
「一回戦で負けたよ」「ワロスwwwwww」「笑うなー! 上司を笑うなー!」

数日後、彼らは当然のように、上の方々や他の部署と戦う事になる。

何で戦うかって? そうだな、その名も……

――――始末書カードバトル、っていうカードバトルだそうだよ。

 

fin

 

 

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