3 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:28:39.19 ID: SSfcIWeB0
叔父さんは、怒り心頭で家を出て行ってしまった。
ヘリカルは、不機嫌なまま眠ってしまった。
寝かしつけた杉浦さんの話によると、枕に涙の跡が付いていたらしい。
うん。もし俺がヘリカルだったら、辛いな…

俺は、長岡さん達と遊んで楽しかったんだけど…
その裏じゃ、やっぱり心のどこかで不安になっていた。

 

 

ドクオは夏の旅に出るようです

 

 

 

8 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:38:12.77 ID: w3WasS7W0

 

――夜中、俺はふと目が覚めた。
畳に敷いた柔らかい布団は、間違いなく寝袋より寝心地がいい。
だけどやっぱり、急に変わると慣れないものがある。

('A`)「う〜ん」

('A`)「…トイレいこっと」

( -∀-)「しぃさん… おかわり…」

( Фω-)「すーすー」

('A`)「あの、長岡さんトイレどこですか?」

( -∀-)「ぐおーーん」

('A`)「…駄目だ。爆睡してる」

長岡さんと杉浦さんの布団を跨いで廊下へ出る。
廊下は真っ暗で、どこの部屋が何なんだかさっぱり分からない。

 

廊下を歩いていると、一つの小部屋から明かりが漏れているのに気が付いた。
あそこかもしれない。行ってみよう。

 

 

10 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:41:24.39 ID: w3WasS7W0
('A`)「ふああ〜」

俺は大きな欠伸をかましながら、戸を開けた。

('A`)「……?」

(*゚ー゚)「ど、ドクオくん」

(;'A`)「す、すいません!寝惚けちゃってて!」

なんと。
その部屋はトイレではなかった。
奥に仏壇が見える。そして、丁度しぃさんが線香を消しているところだった。
少々気まずい。
俺は寝惚けていた自分を呪う。いや、別にそんな悪いことをした訳ではないのだが。

 

 

12 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:43:26.61 ID: w3WasS7W0

(*゚ー゚)「こっち」

しぃさんが俺を手招きする。
俺の尿意は気恥ずかしさで止まってしまった。とりあえず部屋に入る。

(;'A`)「はい」

俺は仏壇の前に座らされた。線香の匂いが、俺を包む。
今年の御盆は帰れないなあ などと考えながら、
目の前の遺影を眺めていた。

(*゚ー゚)「この人誰だか分かる?」

杉浦さんに昼間教えてもらった話を思い出した。
この人は、しぃさんのお父さん。荒巻さんだ。

 

 

13 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:45:25.41 ID: w3WasS7W0
('A`)「居酒屋の前の代の… 荒巻さんですよね」

しぃさんは目を線にして、優しく微笑んだ。

(*゚ー゚)「うん、そう。頑固で昔の人だったけど」

(*゚ー゚)「いいお父さんだった」

('A`)「あの、俺お線香あげていいですか?」

「いいよ」と呟いて、しぃさんは俺に線香の箱を差し出した。
俺はマッチを摩り、点火して鉢に刺した。
白く細い煙がゆらりと棚引く。 
線香は良い匂いだな、と俺は思う。日本の匂いだ。

 

 

15 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:48:05.90 ID: w3WasS7W0
('A`)「……」

(*゚ー゚)「……」

 

('A`)(よし、聞くんだ)

('A`)「しぃさん、一つ聞きたいことが」

(*゚ー゚)「何で私が夫と喧嘩しているか…?」

(;'A`)「あ、はい」

 

夜という時間帯は、何故か知らないが勇気が出る。
しかし、お見通しだったらしく俺は少し拍子抜けした。
しぃさんは悲しそうに笑って喋り始めた。
悲しそうに笑う。か。

 

……それって、人間が一番辛いときに出る表情じゃないかな?

 

 

16 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:51:24.46 ID: w3WasS7W0
(*゚ー゚)「あの人…… このお店をバーに改装したがってるのよ」

('A`)「ああ〜…」

…なるほど。
しかし俺は、抑揚のない言葉で、
適当な相槌を打つことしか出来ない。

 

 

(*゚ー゚)「…何がバーボンハウスよ。 
    あの人、私と結婚したときね」

そこまで言いかけて、しぃさんの顔が赤くなる。

 

 

19 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:52:17.00 ID: w3WasS7W0
(*////)

(;'A`)「結婚したとき、ハイ」

(*゚ー゚)「あ、ああ ごめんね! 結婚したとき」

(´・ω・`) 「俺は命を賭けておまえとこの店をディフェンスするぜ!!!!」

 

 

(*゚ー゚)「…って言ったのよ。私、”この人なら大丈夫”って思ったの」

俺の脳裏に一瞬、野太い男たちが
「ディーフェンス、ディーフェンス」と掛け声を叫ぶ映像が投射された。
だけどすぐに消した。

 

 

22 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:53:45.41 ID: w3WasS7W0
('A`)「そうですよね… やる時はやる人そうですよね。叔父さん」

(*゚ー゚)「分かる!? そーなの、それがあの人の魅力なのよ〜」

(*゚ー゚)「…」

(*゚ー゚)「こ、コホン」

自分を抑制するように、しぃさんは一つ咳払いをして続けた。

(*゚ー゚)「この店は、お父さんの汗と涙の結晶なのよ」

(*゚ー゚)「私もね、小学校の頃からずっとここを手伝ってた!」

(*゚ー゚)「ここには… 私とお父さんの思い出の全てが詰まってるの」

 

 

24 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:55:04.37 ID: w3WasS7W0
('A`)(思い出の場所か…)

 

 

そんなの俺には存在したかな?

 

 

 

('A`)「…」

(*゚ー゚)「ドクオくん?」

('A`)「あ、はい」

('A`)「…それで、意見が衝突して…」

(*゚ー゚)「うん…」

 

 

25 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:56:40.22 ID: w3WasS7W0
俺はしばし考え、こう呟いた。

('A`)「理由は…?」

(*゚ー゚)「うん?」

('A`)「ショボンさんが、ここをバーに改装したがっている理由ってなんでしょう?」

(*゚ー゚)「何か… 親友が… 云々って言ってたけど、はっきり教えてくれないの」

(*゚ー゚)「それもまた苛々するのよ… はあ」

…女性の困った顔は美しい。
ああ、また意味のないことばかり湧き出てくる。
そうだな。理由がはっきりしていれば、お互いに筋の通った話し合いもできるだろう。

でも、叔父さんも偏屈な人だからな…。
話したくない、何か要素があるんだ。

 

 

28 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 19:58:21.11 ID: w3WasS7W0
(*゚ー゚)「ねえ、ドクオくん、一つお願いが…」

('A`)「あ、はい」

ここで、「明日、ショボンを探して!」などと言われたらどうしよう。
俺はヒヤヒヤした。
明日は一人で、この町をのんびり歩きたいなあと思っているのに。

 

(*゚ー゚)「ヘリカルの自転車の練習に付き合ってくれないかなぁ…?」

(*゚ー゚)「夫は出ていっちゃったし、私も明日は本気で忙しいのよ」

(*゚ー゚)「ふがいないっ! この通り……」

 

(;'A`)(それはそれでかなり苦労しそうだ……)

 

 

31 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 20:00:59.41 ID: w3WasS7W0
両手を合わせてしぃさんが俺に頼み込む。
俺は、「いいっすよ!」と快く承諾した。
しかし、心の中では軽くげんなり。
…小さい子の相手なんて俺にできるだろうか?
ましてやヘリカルは今拗ねてる最中だというのに。不安な気持ちで一杯になる。

 

俺が席を発とうとしたとき、
しぃさんは小さく呟いた。

 

 

(*゚ー゚)「約束なのよね」

('A`)「?」

 

 

32 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 20:03:26.76 ID: w3WasS7W0
(* ー )「結婚式のとき、ウエディングドレスを着た私にお父さんは言ったの」

  / ,' 3(あいつが道を踏み外しそうになったとき、直してあげられるのはおまえだけだ)

  / ,' 3 (ワシの店を、しっかり影で支えてくれい、守ってくれい)

  / ,' 3 (出来の良い娘じゃ。 …約束してくれ)

  (*゚ー゚)(うん……)

  (おーいしぃちゃーん。そろそろ準備しなきゃ〜)

  (*゚ー゚)「分かったー! 待っててショボン君!」

 

(* ー )「…」

(*゚ー゚)「や、やだ!! 私ったら何言ってんのかしら、あははは…」

(* ー )

しぃさんのまつ毛が、うっすらと濡れていた。
まだ口紅が付いた唇をきゅっと締めて、静かに佇んでいた。

 

 

35 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 20:05:49.37 ID: w3WasS7W0
俺は黙って、そこから去った。

 

('A`)(なんだか寝付けないな)

('A`)(…)

 

真摯な空間に身を置いていた性か、
俺はすっかり目が冴えてしまった。
なんだか眠りたくない気持ちだった。

('A`)(やくそく… か)

 

 

('A`)(散歩でも、しようかな)

 

 

37 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 20:07:42.77 ID: w3WasS7W0

俺は店の裏口を通って夜の町に出た。
夜に活動するのは、内藤と公園へ練習しに行ったとき以来だ。
それも結構前のことなんだなあと思うと、感慨深い。

('A`)「…」

('A`)「ん、今夜の月はまるっこいけど、少し欠けているな」

('A`)「じゃがいもみたいな頭してたアイツにそっくりだ」

俺は、月に向かって呟く。

('A`)「内藤、着いたぜ。目的地に。遂に辿り着いたんだ」

('A`)「お前は今日も練習だったか? まあ頑張れよ……」

 

 

 

39 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 20:09:32.77 ID: w3WasS7W0
('A`)「…」

('A`)「うわっ、はずかし! 俺超はずかしいな!」

そう思いながらも、心の中では微笑む自分がいた。
そして、月も「おめでとうだおーーwwww」と返事をしてくれた。
そんな、気がした。

 

 

 

('A`)「〜♪」

('A`)「いいなあ」

 

 

 

41 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 20:10:52.00 ID: w3WasS7W0
夜の町は好きだ。

四方から聞こえてくる虫の歌に混じって、
時々車が道路を滑る音が聞こえる。

店はほとんどシャッターを閉め、
その代わり、部屋の灯りがそれぞれの生活を想像させる。

夜特有の生暖かい空気は、とても心地がいいし、
だぁれもいないガランとしたアスファルトの歩道は、歩いていて爽快だ。

 

 

耳をすませば、海の小波さえ聞こえてくるような、そんな夜だった。

('A`)「この町、好きだ。俺」

自然に、言葉も漏れた。

 

 

43 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 20:14:41.97 ID: w3WasS7W0

海へ行った通りとは、別のほうへと進んでいく。
すると、土手が広がっていた。

小川の中に、月を見つけた。水の中の月は、小さく揺れている。

そこから視点をずらしていくと、ある後姿を見つけた。

(´・ω・`) しょぼん

 

('A`)(あっ!!!!)

 

 

 

 

(´・ω・`) 「ちくしょー。人生なんてあばばばばば」

 

 

45 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 20:16:25.67 ID: w3WasS7W0
川へ小石を投げるその姿に、俺はなんだか若さを感じた。
叔父さんは、永遠の少年というか… そんなものを感じる人物なんだ。

いきなり殴られる可能性もあるが、
勇気を出して俺は土手を下りていき、叔父さんに近づいた。

 

(´・ω・`) 「はあ…」

そろり…

(´・ω・`) 「――?」

 

(;'A`)「あ、こんばんは〜」

(´・ω・`) 「なんだ、ドク坊か」

(´・ω・`) 「なんで俺の場所が分かったんだ?」

('A`)(ほっ)

 

 

 

47 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 20:18:47.39 ID: w3WasS7W0
ひとまず俺は安心し、叔父さんの隣に座る。
叔父さんは男子小学生よろしくの体育座りだったので、
俺は少し吹き出しそうになった。なんというミスマッチ。

(´・ω・`) 「…」

('A`)「…」

 

(´・ω・`) 「おいドクオ」

('A`)「はい」

 

(´・ω・`) 「お前、誰かとの約束があるかい?」

('A`)「へっ?」

 

 

 

49 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 20:19:59.10 ID: w3WasS7W0
向こうで電車が線路を走る轟音が聞こえる。
投げた小石が水を打つ音は、掻き消された

広がっていく波紋を見つめて、俺は返答する。

('A`)「なんでしょうかね〜」

('A`)「両親から”無事に帰ってこい”って それくらいかな〜」

(;'A`)「あはは…」

(´・ω・`) 「おめー、友達とかいないの?」

(;'A`)

叔父さんの何気ない一言が俺の心に突き刺さる。
っていうーか、それマジでアウトだろ。

 

 


53 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 20:21:22.35 ID: w3WasS7W0
(;'A`)「と、友達、はは……」

(;'A`)

(;'A`)「…!」

 

(;'A`)「旅の途中であった人達と、約束しましたよ」

(´・ω・`) 「ほう、何を」

 

(;'A`)「またいつか会おう って……」

 

 

気恥ずかしいけど言ってしまった。
すると、叔父さんが優しい表情になる。

 

 

55 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 20:24:26.97 ID: w3WasS7W0
(´・ω・`) 「そうかー。なら俺と同じだな」

('A`)「…へ?」

髭を擦りながら、握っていた小石を捨てて叔父さんは話し出す。

 

(´・ω・`) 「俺は、大学のときの親友と約束したんだ〜」

星空を眺めながら、叔父さんが語りだす。
今度はまるで、息子に自分の若い時の話をするときのような表情になった。
この人は、本当に感情豊かだ。

('A`)「…へえ」

(´・ω・`) 「……今度会うとき、俺の酒飲ませてやるって、約束したんだ」

('A`)「!」

 

 

 

58 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 20:26:46.42 ID: w3WasS7W0
(´・ω・`) 「俺さ、小さい頃から自分の店持ちたかったんだよ」

('A`)「持ってるじゃないですか」

(´・ω・`) 「いや…、バーを。バーを経営したかったんだ」

('A`)「…じゃあなんでしぃさんと結婚を?」

 

(´・ω・`) 「おめー… さっきから痛いところ突きやがるな」

('A`)「お互い様ですよ」

叔父さんの本当の気持ち、みたいなものを知りたくて、
急かすような口調になってしまう。

 

 

 

82 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 21:02:35.60 ID: OM1TR9/+0
(´・ω・`) 「なんていうか、成り行きだな。成り行き」

('A`)「成り行き? ひどいですね」

(´・ω・`) 「惚れた女がたまたま居酒屋の娘だっただけさ」

その一言に、俺はなんだか感情的になる。
わざと少しきつい口調でさっきから返答していたが、
ついつい本気で怒ってしまった。

('A`)「結婚して店を継いで、先代が死んだら」

(;'A`)「あとは自分のもの、好きにする ってそういう魂胆ですか!?」

(;'A`)「店と、しぃさんを利用してるだけじゃないでsかすがklsdgl;!!!!!」

 

 

 

84 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 21:05:22.30 ID: OM1TR9/+0
叔父さんは、酔っていない。
だから噛み付いてこない。冷静に俺を嗜める。
また小石を投げ始め、呟く。

(´・ω・`) 「勝手に自分で話を進めるのは、よくない」

(;'A`)「は、はい…」

(´・ω・`) 「成り行きってのは本当さ」

(´・ω・`) 「でも、俺はあの店を誇りに思っているよ」

 

 

…なら、なんでバーに改装したいなんて…
大きな矛盾が生じる。

 

 

86 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 21:09:55.39 ID: OM1TR9/+0
(´・ω・`) 「俺な、実はしぃに”バーに改装したい”って言った記憶が、実はないんだ」

('A`)「…え?」

(´・ω・`) 「酔った勢いで喋ってしまったんだろうな。
      今のシラフの状態じゃ、口が裂けても言えないことだよ。
      いや…、忘れていたんだ」

('A`)「忘れていた?」

(´・ω・`) 「ほら、若いときの夢ってあるじゃないか。
      ミュージシャンになりたいとか、俳優になりたいとか…」

(´・ω・`) 「でも、そんな職業になれるのは一握り。
      大抵の人間はそれらより、一つランク下の仕事に就いちゃうんだよな」

(´・ω・`) 「俺にとって、バーのマスターになることがそれだった。
      でも、しぃと結婚してからはずっと忘れていたんだ。」

 

俺にはその夢すらない…
ただ、黙って叔父さんの語りを聞くしかなかった。

 

 

89 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 21:15:08.53 ID: OM1TR9/+0
(´・ω・`) 「でも、酔って、うっかり喋って、
      挙句喧嘩までしてしまうんだもんな」

(´・ω・`) 「俺の知らない、心のどこかでは」

 

(´ ω `)「まだその夢を、そいつとの約束を、忘れきれていなかったんだよ……」

('A`)「……」

将来の、夢。
俺は将来の夢なんて、小さい頃から考えなかった。
だって、その職業になれなかったら、悲しいじゃないか。だから最初から考えない。
それに、興味を持てるものだって何一つない、取り得もないんだから……

目の前に、大人がいる。夢を捨て切れていない大人が。
その大人は、少年のような顔をして、川にまた石を投げた。

 

 

92 名前: 1 ◆ps3CKPkBXI Mail: 投稿日: 2007/11/18(日) 21:19:30.01 ID: OM1TR9/+0
(´・ω・`) 「…」

('A`)「叔父さん、しぃさんと仲直りしたくないんですか?」

('A`)「きっと今俺に言ってくれたことを、しぃさんにも言えば、分かってくれますよ…」

叔父さんはまたニヒルな顔を作り、スッと立ち上がって言った。

 

(´・ω・`) 「…めんどくせーや」

 

('A`)「あ、叔父さん! どこへ行くんですか?」

俺に背を向け、叔父さんは歩き出した。
俺は、その姿を見送ることしかできなかった。

 

その背中には、色んな、色んなものを背負っていた。

(やくそく編4 おわり)

 

 

 

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