1 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 日付が変わるまでに終われるか 投稿日: 2008/03/06(木) 23:09:20.02 ID: zhxVsHWU0
ここはある町、ある一室。
青い壁紙、小さな窓がひとつ、白樺のフローリング、
グレーのテーブルとチェアに腰掛けて、四人の少年が談笑している。
( ^ω^)「いや、それにしても執着しすぎだお」
_
( ゚∀゚)「そんだけ魅力があるんだってば」
('A`)「夢を抱きすぎだ、あれは脂肪のかたまり」
( ^ω^)「ドクオはドクオで夢がなさすぎるお」
窓から差し込む陽の光だけで、
部屋の中は十分に暖かく、そして明るかった。
2 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:09:44.10 ID: zhxVsHWU0
('A`)「女なんてそんなもんだ……」
_
( ゚∀゚)「ろくな経験もねぇ癖にドクオは」
ドクオ、と呼ばれた少年は
さも全てを悟りきったかのような表情で、他の三人を見回し、
そしてゆっくりと溜息するのだった。
('A`)「過度の期待は身を滅ぼすぜ……」
( ^ω^)「うぜえええええええええええええ」
ドクオは顔を半分覆うほどに鬱陶しく伸びた前髪を掻き分けながら、
ニヒルな雰囲気を醸しだしている。
3 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:11:05.54 ID: zhxVsHWU0
_
( ゚∀゚)「期待とかじゃねーよ、おっぱいはそこにある紛れもない真実だろ?」
( ^ω^)「意味わからんお」
_
( ゚∀゚)「大体さぁ、男の癖におっぱいに興奮しないなんて……不能か?」
( ^ω^)「違うお。そりゃあ多少はそそられるけど、
もっと言うと、ブーンはお尻派なだけだお」
ブーンと名乗った少年は、穏やかな笑顔を崩さないままに、
胸を鳩のように反らして言う。
( ^ω^)「特にツンの形のいいお尻は最高だお!」
('A`)「ノロケタイム入りまーす」
5 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:12:11.57 ID: zhxVsHWU0
(*^ω^)「大きすぎず小さすぎないキュッと上がったお尻!
ツンは貧乳だけど、腰からお尻のラインは
マイナスを補って余りあるほど素晴らしいお」
口ぶりから、ツンという人物はブーンの恋人か何かなのだろう。
頬を赤く染め、椅子から乗り出して雄弁に語り続ける。
(*^ω^)「この間、珍しくジーパン穿いてるところを見たんだけど
スカートとは違った良さがあったお!!あと、こないだ……」
('A`)「うぜええええええええええええええええ」
尚も言葉を途切らせないブーンに、ドクオは罵声を浴びせ、抗議したのだった。
6 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:13:30.01 ID: zhxVsHWU0
_
( ゚∀゚)「彼女もちは暴走するとどうしようもないな……
ショボンはどうなんだ?」
話を振られたのは、ドクオの向かい側に座る少年。
僅かな思案の後、静かに答える。
(´・ω・`)「うん……こんな言葉知ってる?
『視線は下がってゆくもの。
ガキは顔を見る。
思春期は胸を見る。
大学生は腰を見る。
社会人は尻を見る。
おっさんは脚を見る。』」
ドクオら他の三人と比べて大人びたショボン、
しかし彼の声はそれに相応しくないほど幼い。
9 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:15:28.92 ID: zhxVsHWU0
('A`)「はー、なるほどねぇ。……ブーン老けてるぜ、ジョルジュはそのままか」
_
( ゚∀゚)「やっぱ、俺らくらいの年齢ならおっぱい至上主義でも無理ないんだって!」
だろ?と、ジョルジュという少年は誇らしげに腕を振る。
( ^ω^)「じゃあ、そういうショボンはどこを見るんだお?」
(´・ω・`)「……股間」
_
( ゚∀゚)「あー、しかし、確かにガキの頃は顔みて話するもんな」
('A`)「だよなー」
( ^ω^)「小さい子が一生懸命大人の顔を見てお話してるのはかわいいお」
三人が揃ってショボンから目線を反らし、
少年たちの話題は幼いころの自分へとシフトしていくのだった。
11 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:16:23.20 ID: zhxVsHWU0
('A`)「おれ小さい頃さぁ、セロハンテープ鼻に詰めたことあるわ」
手を挙げながら発言したのはドクオ。
さながら問題に答える生徒のように、想い出を話し始める。
( ^ω^)「なんだおそれ」
('A`)「セロハンテープの貼り損ないをちっさく丸めてさ、
何故だか鼻に詰めたんだよな」
(´・ω・`)「あー僕もビービー弾でやったことある」
_
( ゚∀゚)「俺も鼻に鉛筆刺して血だしたことあるぜ」
( ^ω^)「小さい子って鼻いじるの好きだよNE」
三人揃って首を縦に振り、
そしてドクオは同意を得た嬉しさからか、少し声を大きくするのだ。
('A`)「それでさぁ、取れなくなっちゃったんだよ、
親に隠れて必死でほじくりだそうとするんだけど、
どんどん奥に入っていっちゃってさぁ」
_
( ゚∀゚)「やばい展開だ」
14 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:17:52.20 ID: zhxVsHWU0
('A`)「いよいよ大変だと思って泣いてたら
親が気付いて、それでピンセットで摘まんで取り除こうとしてくれたんだけど」
人差し指と親指でジェスチャーを加えながら、
ドクオの話は続く。
(´・ω・`)「子供の鼻の穴って小さいよね」
('A`)「そうなんだよ!で、全然取れないから病院行く事になって」
_
( ゚∀゚)「鼻にセロハンテープで?!」
( ^ω^)「テラおおごとwwwwwwwww」
('A`)「マジで笑い事じゃなかった。
病院行きのタクシーの中で、おれ大泣き」
(´・ω・`)「痛かったの?」
18 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:19:21.29 ID: zhxVsHWU0
('A`)「それがさぁ、痛みはないんだよ。
ただ、母親に『注射するかもね』って脅されたせいで
ずーっと『注射する?注射するの?』って泣き喚いてた」
顎に手を当てて思い出す仕草、
それをバカにするかの如く、ブーンが笑った。
( ^ω^)「鼻にテープ詰まっただけでどこに注射するんだおww」
('A`)「ほら、ガキの頃って注射めちゃ怖いじゃん?」
_
( ゚∀゚)「あるある」
('A`)「結局、医者に取ってもらえたんだけどさ、
未だに忘れられない体験だよ」
感慨深そうに目を閉じるドクオの肩を、
ジョルジュが叩く。
まるで、試合を終えた選手に激励を送るワンシーン。
(´・ω・`)「注射といえば」
( ^ω^)「なんだお?」
20 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:20:32.87 ID: zhxVsHWU0
(´・ω・`)「僕、予防接種とかって絶対やらない派」
ささやく様な小声でショボンは打ち明けた。
たかが注射の話であるというのに、
重要機密事項だといわんばかりの調子である。
('A`)「やらない派ってなんだよ」
( ^ω^)「でも、インフルエンザとか麻疹とか、
罹ったら大変だから流行はじめに注射しといたほうがいいお」
('A`)「だよな」
この件に関しては、少年たちは同意しかねるようで、
ショボンに対して諭すようなトーンを使い、
彼の発言を否定するのだった。
_
( ゚∀゚)「一回注射して安心できるなら、なぁ」
(´・ω・`)「僕はやらない。注射されるくらいならインフルエンザになる」
( ^ω^)「苦しむのはショボンだお?」
23 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:21:43.07 ID: zhxVsHWU0
(´・ω・`)「僕は刺されたくない、挿すほうだし」
('A`)「はい、雲行きが怪しくなってまいりました」
手拍子で囃し立てるドクオ。
ブーンとジョルジュは顔を見合わせた。
( ^ω^)「ぶ、ブーンはあんまり風邪ひいたりしない健康体だお」
_
( ゚∀゚)「あー俺も入院とかしたことない。
一度入院してみたいとか思ってたりする」
( ^ω^)「何目当てで」
_
( ゚∀゚)「看護士さんのおっぱい」
( ^ω^)「ですよねー」
('A`)「おれ、入院経験あるぞ」
(´・ω・`)「僕も、喘息で入院したことある」
26 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:23:06.98 ID: zhxVsHWU0
('A`)「入院なんてするもんじゃないって。
健康が一番だぜ」
_
( ゚∀゚)「えーでもさぁ、結構憧れだよ、入院生活」
病院食とかベッドとか、とジョルジュは付け足した。
(´・ω・`)「まぁ、人生この先なにがあるかわからないし。
ジョルジュも案外すぐに入院経験出来るかもよ」
励ますように笑いかけながら、ショボンはジョルジュに告げるのだった。
( ^ω^)「また……ショボンはすぐ縁起悪い事いうお」
(´・ω・`)「僕がいつ縁起悪い事言ったって?」
('A`)「言うじゃん。この前だってさぁ……」
29 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:24:17.09 ID: zhxVsHWU0
(´・ω・`)「なんか言ったっけ?」
('A`)「言ったっていうか、やった」
(´・ω・`)「なにを?」
心底疑問を抱いている様子で、
首を傾げながらショボンは問い詰める。
('A`)「ミミズに小便かけたり、夜に口笛吹いたり、」
( ^ω^)「それって縁起?」
_
( ゚∀゚)「迷信みたいなもんじゃね?」
(´・ω・`)「そうそう、別に縁起悪くないよ」
わざとらしく声色を変えて、ショボンが言い返すのを、
ドクオはつまらなそうに睨んで受けた。
_
( ゚∀゚)「ってか、ドクオってそういうのやたらに気にするよなぁ」
32 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:25:38.65 ID: zhxVsHWU0
('A`)「だって気になるじゃん」
口を尖らせながら言うドクオは駄々をこねる子供のようで、
それを宥めながらブーンは呟いた。
( ^ω^)「気にしすぎもどうかと思うお」
_
( ゚∀゚)「いつだったか、霊柩車を見たとき親指隠すの忘れたって大騒ぎしてたな」
(´・ω・`)「あぁ、それなんだっけ?」
( ^ω^)「えっと」
_
( ゚∀゚)「親の死に目に会えない」
( ^ω^)「あーそれだお」
('A`)「だって親だよ?看取ってやりたいじゃん」
34 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:26:49.47 ID: zhxVsHWU0
(´・ω・`)「泣かせるねぇ」
( ^ω^)「ドクオはマザコンだからwwwww」
上がり気味の口角を一層に吊り上げて、
ブーンはドクオを笑う。
('A`)「うるせぇなー。だって母ちゃんの料理うまいじゃん」
(´・ω・`)「おふくろの味だね」
_
( ゚∀゚)「本当に美味い食べ物って多分もっとどこかにあるんだろうけど、
でも世界最後の日に食べたいのはやっぱり母の手料理だよなぁ」
( ^ω^)「ブーンはかーちゃんのカレーか、秋刀魚の塩焼きがいいお」
('A`)「おれも、最後の食卓っていったら母ちゃんの手料理がいいな。
死ぬ前に食べたのがカップラーメンとかだったら救われないにもほどがある」
(´・ω・`)「その発言は全国の最後の食卓がカップ麺だった人に謝るべきだ」
37 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:28:02.46 ID: zhxVsHWU0
( ^ω^)「ショボンはカップ麺好きだNE!」
(´・ω・`)「今朝も食べてきたよ。
三分待つだけでおいしいラーメン食べられるんだよ?」
('A`)「まぁ、そうだな」
_
( ゚∀゚)「発想がすごいよな、即席麺をカップに入れて販売って」
('A`)「食後 残った汁を流したら、あとは容器を捨てるだけ。
洗わなくて済むから楽だしな」
( ^ω^)「え?汁もなにも残らないお?」
('A`)「……まさか全部飲み干すタイプ?」
_
( ゚∀゚)「どーりでそのぽよぽよ腹な訳だwwwwww」
ジョルジュは身を乗り出して、向かいに座るブーンの腹部を揉む。
弾力があるらしく、それはジョルジュの指をほどよく跳ね返した。
_
( ゚∀゚)「まるでおっぱいwwwww」
39 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:29:18.45 ID: zhxVsHWU0
_
( ゚∀゚)「……ん」
しばらくブーンを弄って遊んでいたジョルジュだったが、
ふと、何かに気付いたように所作を止める。
( ^ω^)「どうしたお?」
もはや抵抗するようすもないブーンは、
ジョルジュの顔を窺い見て訊ねた。
_
( ゚∀゚)「わりぃ、俺、そろそろ帰るわ」
掌を顔の前に出し『ごめん』のポーズを作ると、
ジョルジュは部屋の出口、
青い扉へと歩き出す。
('A`)「何か用事でも思い出したか?」
_
( ゚∀゚)「いや……なんか」
42 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:30:39.77 ID: zhxVsHWU0
_
( ゚∀゚)「帰る時間だし」
('A`)「唐突だなーもう少しいればいいのに」
先刻までジョルジュの掛けていたチェアを手で示しながら、
ドクオは彼を引き止めた。
( ^ω^)「ってかどこに帰るんだお?」
_
( ゚∀゚)「どこってそりゃあ……どこだ?」
お笑い喜劇のようなタイミングで、
ジョルジュとブーンは顔を見合わせるのだった。
('A`)「おいおい」
_
( ゚∀゚)「そのへんの人に道ききながら帰るよ」
( ^ω^)「だからどこにwwwwww」
_
( ゚∀゚)「なんとかなるだろwwwwww」
(´・ω・`)「ジョルジュ、気をつけて帰ってね、みんなによろしく」
44 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:31:25.81 ID: zhxVsHWU0
キィ…… バタン
47 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:32:38.66 ID: zhxVsHWU0
扉が閉まり、
再び部屋が一つの空間になった。
グレーのテーブルを囲むのは、三人の少年。
(´・ω・`)「二人は帰らなくていいの?」
( ^ω^)「っていうか、帰るっていっても……」
('A`)「うぎゃあああああああああああ」
穏やかな雰囲気を一転させたのは
ドクオの裏返った奇声である。
(;´・ω・`)「いきなりどうしたの」
('A`)「いいいい、今なんか背筋がぞくっとした」
( ^ω^)「ブーンたちはドクオのキモい奇声にぞくっとしたお」
('A`)「なんか、たまにない?背中がぞわってなること」
(´・ω・`)「あーあるね」
50 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:33:44.45 ID: zhxVsHWU0
( ^ω^)「あれってなんなんだお?」
背中が気になるのか、肩を揺り動かしながらブーンが言う。
(´・ω・`)「なんなんだろう、突然なるよね」
('A`)「お化けとかかなぁ」
( ^ω^)「お化けっていうか、幽霊ってかんじだお」
(´・ω・`)「幽霊が後ろを通った?確かにそういう感覚」
('A`)「こええええ」
( ^ω^)「っていうか幽霊信じてるってこと?ドクオは」
('A`)「いや、信じちゃいないけどさ……怖いじゃん」
信じちゃいない、の部分を強調しながら、
ドクオは大袈裟に背筋を伸ばすのだった。
53 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:34:34.38 ID: zhxVsHWU0
(´・ω・`)「口ぶりから思うに、ブーンは信じてないんだ?」
( ^ω^)「ブーンはリアリストだお!」
急に話を振られて一瞬間が空くが、
それでも、人差し指を立てて、自信有り気に答えるブーン。
('A`)「でもさぁ、一口に信じる信じないって言ったって色々派閥あるよな」
(´・ω・`)「派閥?」
('A`)「おれは、幽霊とか宇宙人はいると思うけど、
でも見えるっていうのは信じられないんだよなぁ」
( ^ω^)「ブーンは、そういうのは科学で説明がつくと思うお」
('A`)「ショボンは?」
57 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:36:34.25 ID: zhxVsHWU0
(´・ω・`)「僕は幽霊は存在すると思う」
('A`)「え?まじで?意外だ」
(´・ω・`)「というか、それが死んだ人の魂かどうかはともかく、
普段は見えないものって在るんじゃないかな?」
一呼吸置き、二人の反応を見てから、ショボンは続ける。
(´・ω・`)「人間って全ての音が聞こえているわけじゃない。
多分、全てのものが見えているわけじゃない。
でも、ふとした切欠でそれらが見える瞬間もあるかもしれない」
('A`)「……」
( ^ω^)「難しくなってきたお」
('A`)「つまり、人間の体の構造的に見えないもの聞こえないものがあって、
それが幽霊って呼ばれてる、と?」
59 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:38:26.82 ID: zhxVsHWU0
(´・ω・`)「人間の眼では視認出来ない色だとか
聞き取れない音階で成り立ってるものが幽霊かなって」
話終えて少しはにかむショボンに、
ドクオは拍手を送り、ブーンは感銘を受けたように頷いた。
( ^ω^)「あー、動物……
例えば猫は霊感があるだとかって聞くのはもしかして」
('A`)「猫の眼からは見えるのかなぁ」
(´・ω・`)「人の扱えない超音波を聞き取れる動物がいるように、
そうやって何かが見えてる動物がいてもおかしくないよね」
('A`)「じゃあ、霊感がある人、幽霊が見えるなんていう人は?」
(´・ω・`)「生まれつきなにかが違うのかもしれないし、
廻り合わせっていうか、波長みたいな何かがあるのかも」
62 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:40:31.60 ID: zhxVsHWU0
('A`)「そもそも、幽霊ってなんで人前に出てくるんだろうな」
(´・ω・`)「幽霊が死んだ人の魂だって説で考えると、
人にひきつけられるだとか、そこが居心地いいとか」
( ^ω^)「なるほど」
('A`)「確かに、死んだあとだって一人じゃ寂しいし、
現世に残っちゃったなら家の中で過ごしたいもんなぁ」
( ^ω^)「出来れば可愛い女の子の家で!」
(´・ω・`)「可愛い男の子の家で!」
年相応の勢いで、少年たちはいきり立つのだった。
('A`)「そういえば思ったんだけど、このファ……」
65 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:42:06.07 ID: zhxVsHWU0
(;´・ω・`)「うわあっ!!!」
ドクオの発言を遮って、ショボンが椅子から飛び上がる。
突然の出来事に、ドクオとブーンは目をぱちくりさせるばかりだった。
(;´・ω・`)「い、いま、一瞬だけ、そこに、髪の長い女の人の顔が……」
('A`)「またまたーそんな驚かそうと演技なんかしちゃって」
(;´・ω・`)「いやいや、マジで!マジで!!」
('A`)「はいはい、怖くないもんね」
(´・ω・`)「……目の錯覚かなぁ」
('A`)「そうだよ」
(´・ω・`)「……でも、なんかこの部屋、おかしいよ」
70 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:43:04.81 ID: zhxVsHWU0
('A`)「言われて見れば、急におかしい気がしてきた」
( ^ω^)「ブーンも気になってることがあるお」
('A`)「なんだよ」
( ^ω^)「この部屋ってどこだお?」
('A`)「はぁ?」
( ^ω^)「ブーンたちってなんでここにいるんだっけ?」
(´・ω・`)「……」
('A`)「変なこと言うなよ、ほら、窓の外見てみろよ、
あの信号とか、ビルとか、見覚えあるだろう?」
(´・ω・`)「あるね」
( ^ω^)「……」
72 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:43:50.72 ID: zhxVsHWU0
( ^ω^)「じゃあ、ブーンたちはいつからここにいるんだっけ」
('A`)「いつ?何いってんだブーン。
おれたちは……さっきからだろ?ついさっき」
(´・ω・`)「そうだね、午前中から」
( ^ω^)「でも、夜もここにいたお」
('A`)「そりゃあ、待ってるからな」
( ^ω^)「何を?」
('A`)「……」
75 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:45:21.45 ID: zhxVsHWU0
( ^ω^)「……」
('A`)「つーかさ、ここんとこずーっと気になってたんだけどよ……」
会話の流れが途切れたところで、
ドクオが話を切り出した。
( ^ω^)「なんだお?」
('A`)「この、ファイルは何なわけ」
(´・ω・`)「え?
ごめん、テーブルの上には何もないように思うんだけど」
( ^ω^)「ファイルなんかないお」
変人を見るような視線を浴びて、
少し焦りながらドクオは反論する。
('A`)「は?ここにずーっと乗ってたじゃんか、
この……おっと」
バサッ
76 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:45:49.94 ID: zhxVsHWU0
バサッ
(;・∀・)「うおっ!」
川д川「どうしたの?」
(;・∀・)「今なんか変な音がしただろ!びっくりしたー」
川д川「変な音?したかしら……
あ、でもテーブルからファイルが落ちてるわ」
女性が、床に落ちていたファイルを拾い上げ、首を傾げる。
( ・∀・)「はぁーなんだ、もう驚かすなよ……」
川д川「……もしかして幽霊だったりして」
(;・∀・)「お前が言うと洒落になんねーよ」
80 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:46:35.75 ID: zhxVsHWU0
川д川「……それ、どういうこと」
長い髪に隠された表情は、
きっと恐ろしいものになっていたのだろう。
女性は強い調子で男性に言い返すが、
それも一瞬のこと、ただの戯れである。
( ・∀・)「あー冗談だって。
ったく、幽霊の話とかタイムリーすぎてマジに思えてくるからやめろよ」
川д川「でも、ひとりでに物が落ちたりする?」
( ・∀・)「……」
川д川「もしかしたら……この部屋に何かいるかも知れないわ」
(;・∀・)「よせってば……」
恐怖心を紛わすためか、
男は硬く笑いながら、テレビの音量を上げた。
82 名前: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 Mail: 投稿日: 2008/03/06(木) 23:47:21.99 ID: zhxVsHWU0
ここはある町、ある一室。
青い壁紙、小さな窓がひとつ、白樺のフローリング、
グレーのテーブルとチェアに腰掛けて、二人の男女が液晶を見つめ、
そして画面に映る神妙な面持ちのキャスターは、報道の最中であった。
『先日の事故現場に来ています』
( ・∀・)「あ、丁度ニュースやってる、うち映るかもよ」
川д川「この角度だと映らないんじゃないかしら?」
( ・∀・)「しかし……近所でこういうことあると気分よくないよなぁ」
『こちらが先週交通事故のあった交差点です。
あたりはビルに囲まれているオフィス街です。
事故が起きたのは金曜日の午前十時五分。
この事故で、歩道にいた少年三人がトラックに
はねられて死亡、一人が意識不明の重体で――』
おわり