43 名前: 川 ゚ -゚)編 Mail: 投稿日: 2007/09/19(水) 00:36:52.50 ID: ty3WbKp+0
川 ゚ -゚)「あー、つまらん」
呟いて、フローリングにバタッと仰向けに寝た。
痛っ。頭を打って少し涙が出てきた。
川 ゚ -゚)「……つまらん」
毎日がつまらない。職場の奴らは仕事の話ばかり。
呑みに行っても仕事の話ばかり。
友達に会えば男の話ばかり。
いつも同じことのループだ。
川 ゚ -゚)「皆よく飽きもせず毎日を送ってるもんだ。なあ、ビスマルク」
近くに座ってた愛犬、ビスマルクの尻を撫でた。
ぷぁっ、尻尾を振るな。顔が毛でメチャクチャに。というか臭い。
46 名前: 川 ゚ -゚)編 Mail: 投稿日: 2007/09/19(水) 00:39:04.52 ID: ty3WbKp+0
川 ゚ -゚)「例えば、だな」
ビスマルクに話しかけながら起き上がって、テレビの電源を点ける。
夜のゴールデンタイムらしいバラエティ番組の笑い声が聞こえてきた。
川 ゚ -゚)「これも飽きたな。別な……」
適当にチャンネルを切り替えていく。
と、強盗が大量の札束の上で寝ているシーンが流れてきた。
川 ゚ -゚)「例えばこの中に入れたら、とっても刺激的だよな」
相変わらず尻を向けたままのビスマルク。
こいつの顔は尻に付いているのか?
川 ゚ -゚)「お前は、いい加減こっちを向け。でだな、たとえばこうやって手を付けて――!」
画面を手がすり抜けた。と、同時に何かに頭をぶつけた。
47 名前: 川 ゚ -゚)編 Mail: 投稿日: 2007/09/19(水) 00:41:03.39 ID: ty3WbKp+0
川;゚ -゚)「痛っ……今日は厄日だな。テレビ画面が抜けるなんて……」
( <●><●>)「! 誰か居るのはわかってます!」
川 ゚ -゚)「え?」
( <●><●>)「貴様がこの金を狙っていることもわかってます!」
(;><)「何の騒ぎですか! わかりません!」
川 ゚ -゚)「……ん? ここは……さっきテレビで見た……」
「何の騒ぎだい!」
( <●><●>)「侵入者がきてます!」
(;><)「ぼ、僕はちゃんと見張りをしてたんです!」
(*‘ω‘ *)「ごちゃごちゃウルサイねえ……アタイは昼寝しないと肌が荒れるんだよ」
川 ゚ -゚)「……どうなっているんだ」
何故かさっきまでテレビの向こう側だった強盗のアジトに、私は居た。
51 名前: 川 ゚ -゚)編 Mail: 投稿日: 2007/09/19(水) 00:43:00.48 ID: ty3WbKp+0
(*‘ω‘ *)「で? わかんないんです、お前はちゃんと見張りをしてたのかい?」
(;><)「してたんです! 虫一匹通してないんです!」
(*‘ω‘ *)「……ふう。じゃあアンタに訊くよ。何が目的だい?」
そう言うと彼女の懐に拳銃が見えた。
正直ゾッとした。けど、どこかワクワクしているのも事実だった。
川 ゚ -゚)「遊びに来た。テレビの向こうからな」
(#<●><●>)「口に利き方に気を――」
(*‘ω‘ *)「うるさいよ。アタイ、今寝起きで機嫌悪いんだから」
(;<●><●>)「も、もちろんわかってます」
(*‘ω‘ *)「……アンタ、テレビの向こうから来たんだって?」
川 ゚ -゚)「ああ、そうだ」
(*‘ω‘ *)「へえ。それならアンタはあそこから来たのかい?」
指差した先、そこにあったテレビ画面に、尻を向けて座っている犬の姿が映っていた。
52 名前: 川 ゚ -゚)編 Mail: 投稿日: 2007/09/19(水) 00:45:13.34 ID: ty3WbKp+0
川 ゚ -゚)「……冗談だろ?」
(*‘ω‘ *)「まあ、なんにせよアタイを起こした罰は受けてもらわなきゃね」
川 ゚ -゚)「そうか。殺すのか?」
(*‘ω‘ *)「殺す? アハハハハ! アンタ面白いねえ! どっちの話しさ?
まああれだ。アタイたち、殺したって死にやしないじゃないか」
川 ゚ -゚)「死なない? そんなわけないだろ。誰だって年老いて死ぬもんだ」
(*‘ω‘ *)「アンタ、頭大丈夫なのかい? 3丁目のジジイだってお日様が昇りゃ、
また同じようにジジイやってるさ。いなくなりゃ別な奴でもな。
そういうもんだろ?」
川 ゚ -゚)「……待て。じゃああんたらも……」
(*‘ω‘ *)「今日も明日も、アタイは強盗団の女リーダーさ。イカスだろ?」
体を軽く反り、アゴを上げて上から流し目をよこしてきた。
確かにカッコいいと思ってしまった。
56 名前: 川 ゚ -゚)編 Mail: 投稿日: 2007/09/19(水) 00:47:03.86 ID: ty3WbKp+0
川 ゚ -゚)「記憶は、残るのか?」
(*‘ω‘ *)「記憶? どういうことだい?」
川 ゚ -゚)「……いや、いい」
テレビの中の世界だから、毎日同じループをしていると言う事なのだろうか。
しかも死なない? やり直しがきいて、死なない。こんな世界、願ったり叶ったりじゃないか。
(*‘ω‘ *)「ほら、受け取りな。罰としてあんたは今日からここの一員だ。
よーし、お前ら。またデカイとこ狙っていくよ」
(;<●><●>)「こ、こいつを仲間に入れるんですか?」
(*‘ω‘ *)「ん? 口答えかい?」
(;<●><●>)「……なんでもないです」
57 名前: 川 ゚ -゚)編 Mail: 投稿日: 2007/09/19(水) 00:48:47.67 ID: ty3WbKp+0
( ><)「よろしくなんです!」
川 ゚ -゚)「ああ、よろしく」
(*‘ω‘ *)「そういやぁ……アンタ名前は?」
川 ゚ -゚)「クーだ」
( ><)「わかんないんです、です!」
( <●><●>)「……わかってます、です」
川 ゚ -゚)「ややこしいな」
(*‘ω‘ *)「アタイはリーダーって呼びな。本名はどうも気に食わなくてな」
川 ゚ -゚)「ああ、よろしく。リーダー」
こうして私は強盗団に加入した。
59 名前: 川 ゚ -゚)編 Mail: 投稿日: 2007/09/19(水) 00:51:04.25 ID: ty3WbKp+0
( ><)「金を出すんです!」
从'ー'从「わかりました〜」
( <●><●>)「手を止めるんです! そこに通報スイッチがあることはわかってます!」
从'ー'从「あれれ〜気付かれてるよ〜」
(*‘ω‘ *)「オラオラァ! ママゴトじゃないんだよ!」
川 ゚ -゚)「……」
いざ自分が強盗になってみると、なんと言うかふわふわとした気持ちになった。
夢と現実を行ったり来たりしているような感じだ。
そして、なにより楽しかった。
从'ー'从「詰め終りました〜」
(;><)「リーダー! 警察が来てるんです!」
(*‘ω‘ *)「慌てるんじゃないよ! それでもタマついてんのかい!」
( ∵)「警察だ! お前ら全員動くな!」
60 名前: 川 ゚ -゚)編 Mail: 投稿日: 2007/09/19(水) 00:53:06.02 ID: ty3WbKp+0
テンション上がってきた。ちょっと拳銃撃ってみようかな。
引き金引けばいいんだよな?
――パァン!
(;∵)「う、うおおおおおおおお! 登場して5秒で撃たれた!」
(-_-)「落ち着いてください。撃たれたのは、そこの青年です」
| ^o^ |「わたしです」
( ∵)「そうか」
警察が慌てている間に椅子で寝ていた爺さんを人質にとってみた。
なんかこれって強盗っぽいな。
川 ゚ -゚)「動くな! 車をよこせ! じゃないとこの爺さんの頭に覗き窓が付くぞ!」
/ ,' 3 「ふが……」
(;∵)「くそ……仕方ない、犠牲者が出る前に要求を飲もう」
(-_-)「わかりました」
61 名前: 川 ゚ -゚)編 Mail: 投稿日: 2007/09/19(水) 00:55:11.00 ID: ty3WbKp+0
こうして車を手に入れた私たちは、まんまと大金を持ち帰った。
けれど、すべてが上手く行き過ぎて、何だか退屈になってきていた。
(*‘ω‘ *)「アンタ最高だよ! 見たかあいつらの面!」
(*<●><●>)「あいつらが悔しかったのはわかってます!」
川 ゚ -゚)「しかしとんでもない大金だな。これ一体いくらあるんだ」
(*><)「わかんないんです!」
バン!
( ∵)「警察だ! お前ら全員動くな!」
(;<●><●>)「なんでここが……」
(-_-)「発信機さ」
(*‘ω‘ *)「まさか……」
(-_-)「ああ、爺さんに発信機を付けさせてもらったよ」
/ ,' 3 「ふが……」
(;><)「気付かなかったんです……」
63 名前: 川 ゚ -゚)編 Mail: 投稿日: 2007/09/19(水) 00:57:04.92 ID: ty3WbKp+0
(*‘ω‘ *)「クー! アンタなにボサッとしてんだ! 早く逃げな!」
川 ゚ -゚)「しかし……」
(;><)「早く逃げるんです!」
川 ゚ -゚)「ああ……」
(;<●><●>)「クーが無事に逃げられることはわかってます!」
川 ゚ -゚)「……」
緊迫した場面だが、私はきっと無事に逃げられるんだろう。
なにせ死なない世界だ。私はたとえここで眠りだしたっていいんだ。
川 ゚ -゚)「なんかな……帰りたい。やっぱりここは全然刺激的じゃない」
( ∵)「おい、早くあいつを捕まえろ!」
(-_-)「人手が足りません」
(#∵)「なんでもっと多めに連れてこないんだ!」
(-_-)「そんなの答えるまでも無いでしょ」
( ∵)「だよな。なんでこんなことになってんだ?」
64 名前: 川 ゚ -゚)編 Mail: 投稿日: 2007/09/19(水) 00:58:55.28 ID: ty3WbKp+0
一日で飽きたのに、こんなことを何度も繰り返していたら退屈で死んでしまうかもしれない。
やっぱりこんな世界は嫌だ。元の世界に戻ろう。
川 ゚ -゚)「じゃあな、みんな。私はやっぱりテレビの向こうが性にあってるみたいだ」
( <●><●>)「わかってます」
( ><)「おげんきで!」
(*‘ω‘ *)「じゃあな」
川 ゚ -゚)「ああ」
そして私はテレビの中へ飛び込んだ。
65 名前: 川 ゚ -゚)編 Mail: 投稿日: 2007/09/19(水) 01:01:05.19 ID: ty3WbKp+0
(,,゚Д゚)「はいカット! オッケー」
(*‘ω‘ *)「お疲れ様ぽっぽ!」
( <●><●>)「おつかれさまです」
( ><)「おつかれです!」
( ∵)「お疲れさま。……で、あいつは誰だったの?」
(*‘ω‘ *)「しらないっぽ」
(-_-)「監督、あれ一体誰ですか?」
(,,゚Д゚)「は? 知らね。テレビの妖精さんじゃねーの?」
(*‘ω‘ *)「ぽ、ぽっぽ!?」
( <●><●>)「現実のやり直しがきかないのはわかってます」
( ><)「でも、テレビの中に行けたらきっと楽しいんです!」
(*‘ω‘ *)「おもちゃより本物の銃がいいっぽ!」
(-_-)「過激ですね」
( <●><●>)「そのくらいの方が刺激があって楽しいです」
(-_-)「そうかもしれないですね……」
67 名前: 川 ゚ -゚)編 Mail: 投稿日: 2007/09/19(水) 01:02:55.34 ID: ty3WbKp+0
川 ゚ -゚)「あー、つまらん」
呟いて、フローリングにバタッと仰向けに寝た。
痛っ。頭を打って少し涙が出てきた。
川 ゚ -゚)「……つまらん」
毎日がつまらない。職場の奴らは仕事の話ばかり。
呑みに行っても仕事の話ばかり。
友達に会えば男の話ばかり。
いつも同じことのループだ。
川 ゚ -゚)「皆よく飽きもせず毎日を送ってるもんだ。なあ、ビスマルク」
川 ゚ -゚)編 終