2 名前: ◆xmNFXyaAwA Mail: 投稿日: 2007/10/20(土) 21:42:00.05 ID: fEE8qBMn0
 ナイフで深く抉られた腕は、ビチャビチャと血を吹き出し、それは腕を伝い指先にまで辿り着く。
 途端、流血は間欠泉のように、傷口から吹き出した。
 例えるならそれは、腕についた蛇口を全開まで捻ったようにさえ見える。

 出血は明らかに人間の致死量を超え、それらはまるで蛇のように白衣の女の周囲をのたくった。
 鮮血が怒涛の流れを孕んで白衣を囲い、やがて彼女の姿も赤い血で隠れて見えなくなる。

 何百リットルの血が流れているのだろうか?
 既に白衣の女自身の体積くらい軽く超えた量の血液が流れ、周囲は鉄と腐臭の入り混じった臭いが立ち込める。
 敷かれたタイルもドス黒く染まり、うねる都度僅かに跳ねるため、血飛沫で周囲は汚された。

ξ゚听)ξ「……血が武器って、悪趣味ね」

(;^ω^)「そういう問題かお?」

 言われると、悪趣味である事には間違いない。
 だが、恐らく血液を武器にするの理由は、別の所にあるはずだ。
 なぜなら、このゲームでは、魔法は相手に掛ける事が出来ないのだから。

( ^ω^)SIDE・3

 

5 名前: ◆xmNFXyaAwA Mail: 投稿日: 2007/10/20(土) 21:45:10.26 ID: fEE8qBMn0
从 ゚∀从「いっくぞー」

 血煙と不自然に宙を踊る流れとで形成された血の奔流から、気の抜けた声が聞こえた。
 不規則にうねっていた血流は声に合わせて二手に裂け、女が中から現れる。
 そのまま、ハイヒールの踵を鳴らし、薄汚れた白衣のポケットに両手を突っ込んで、悠々と二人組みの警官へと歩み寄った。

 対峙する警官達は、警戒してか血塗れの女を眺めるだけで、動こうとはしない。
 出方を伺っているのか、既に罠のような魔法を仕掛けたのか。
 女の魔法はなんだろう? 血の不自然な動き、"操る"だろうか? "流れる"を使っている可能性もあるな。
 血が増えたのはどうだろう? 純粋な増幅能力? それとも血に見える何か別のもの?
 ふと見れば、ナイフがあれほど深く刺さったというのに、彼女の腕には傷がない。
 あんな行為に回復能力は当然か……そうか、傷口以外を回復し続ける事で大量の血を作り出す、という方法も可能なのかもしれない。

从 ゚∀从「あはははははっひゃひゃっ……くくくっ用意」

 不気味な笑い声を上げてから、左手を高く掲げた。
 その動作で髪に隠れて片方の目だけが覗く形となって、覗く片目は狂気に揺れる。
 焦点の怪しい視点を警官の方に定めて、戦時中の指揮官よろしく左手を振り下ろした。

从 ゚∀从「放て!」

 その砲撃合図のような号令が下ると同時、警官達の背後の壁が穿たれた。
 壁を砕いた甲高い破裂音が、銃声のように耳に残った。

 

6 名前: ◆xmNFXyaAwA Mail: 投稿日: 2007/10/20(土) 21:48:43.51 ID: fEE8qBMn0
 頑健なコンクリート製の壁には一瞬で無数のヒビが走り、パラパラと細かい屑が崩れて落ちる。
 ヒビの中央に開いた穴から、その穴を突貫した血が溢れて筋を作っていた。
 白衣の女は、てんで理解出来ないと言った風情で首を斜めに傾げ、ポツリともらす。

从 ゚∀从「おっアレレ? キマり過ぎちゃったかぁ?」

 フザけているようにすら見えるのは、挑発のためなのだろうか?
 疲れたように背中から倒れ込むと、その背を血で出来た椅子が支える。
 彼女は悠然と脚を組み、頬杖を突きながらグラグラと揺れる視線で、警官の兄弟を見つめ口を開いた。

从 ゚∀从「ちょっと疲れたついでに私の能力一つ教えたげる。"発生する"。さて、私は本当にこの能力を持っているでしょーか?」

(´<_` )「なめんなよ!」

 挑発的な言動と行動に耐え切れず、警官の弟らしき人物がついに動いた。
 ポケットから出したのは、皮製の袋だろうか? それを野球選手のように振り被り投げ付ける。
 投擲された皮袋は、想像以上の速度を持って空を切り飛翔した。
 中には、メダルかパチンコ球か、何か重たい物が詰めてあるのだろう。
 だが、それは白衣に触れる前にのたくる血の蛇に飲まれ、強引に弾かれた。

 

7 名前: ◆xmNFXyaAwA Mail: 投稿日: 2007/10/20(土) 21:51:57.37 ID: fEE8qBMn0
( ^ω^)「……!」

 弾かれた袋は宙を舞い、急激に方向転換。白衣の女へ再度突撃を敢行する。
 それすら難なく血の流れに防がれるが、突撃は幾度となく繰り返され、徐々に速く彼女を囲うように飛び回った。
 一度たりとも攻撃は彼女に届く事はない。だが、消耗は女の方が大きいように見えた。
 それでも白衣の女は焦ることなく、血を矢のように形作り高速で放ち応戦した。

( ´_ゝ`)「問題ない。オレが防ぐ」

(´<_` )「流石だな、兄者」

 放たれた血の塊は攻撃に徹する弟へと向かい、しかし、庇う位置に立つ兄が放った衝撃波に飲まれて霧散した。
 彼自身も何らかの防御魔法を使用しているのか、兄を狙った攻撃はその体に触れる前に爆ぜて消える。
 攻防はしばらく続き、白衣の女は汗を浮かべながら立ち上がり、口元に大きな笑みを浮かべた。
 途端、彼女の周囲をのたくっていた血の蛇が中庭を縦横無尽に跳ね回る。

从 ゚∀从「疲れたっ。竜巻が発生する」

 跳ね回る血に姿が隠され、そのどす黒い流れの向こうから声だけが響いた。
 その声に反応するように突如、庭の中心で竜巻が発生し、内側に吸い寄せる突風が周囲の雑草や彼女の血といった物を巻き込んだ。
 フィールドの外で見ていると言うのに、舞い上げられた埃に思わず眼を庇う。
 突風は人が飛ぶほどの大規模なものではなく、だが砂埃となにより煙となった血が中庭を広がって視界を奪った。
 これではっきりとした。回復、操作、発生、この3つが彼女の魔法だ。

 

9 名前: ◆xmNFXyaAwA Mail: 投稿日: 2007/10/20(土) 21:55:56.23 ID: fEE8qBMn0
( ^ω^)「(…………本当にそうなのかお?)」

 竜巻が消え、巻き込まれた血が霧になって広がる様子を眺めながら、心の隅で何かが引っかかるのを感じた。
 彼女の発言は、敢えて自分の魔法を告げて混乱と挑発を狙ったものだと思っていた。
 だが、この状況で自分の発言が真実だと教える意味は希薄なように感じる。
 単なるバカなのか、それともまだ何かあるのか。
 舞い上がる埃と血の霧を見ていると、口の中で鉄の味がして思わず学ラン口元に袖を押し当てた。
 茶色い霧のために、かろうじて兄らしきものだけが確認できる視界の中で、疑念が渦巻き心に陰を差した。

 警官の兄は、先ほど自分を守った魔法が持続しているのだろう。
 彼の周囲だけ若干血霧が晴れていて、茶色い視界にぼんやりと浮かび上がる。
 余りに悪い視界のためか、動くようなことはせず、彼は四方へ視界を巡らせ警戒に徹していた。
 濃厚な霧は一向に晴れる気配がなく、一寸先とは言わないものの視界はだいぶ悪い。
 唯一分かる兄を眺めていると、遅れて弟が合流を果たしたのが見えた。
 
( ´_ゝ`)「弟者、無事だったか」

(´<_` )「ああ、しかし視野が悪いな。動かない方が得策か?」

 兄弟の相談がこちらまで聞こえる。
 攻撃向きの弟と防御向きの兄は、その特性から共に戦う方が有利なのだろう。
 その時、何かが二人の間に飛来した。
 それはまるで投擲されたボールのように、弧を描きつつ、タイルに落ちて金属的な重たい音を鳴らす。
 それは弟が使っていた皮製の袋だった。

 

10 名前: ◆xmNFXyaAwA Mail: 投稿日: 2007/10/20(土) 21:58:31.13 ID: fEE8qBMn0
( ´_ゝ`)「お前、誰――」

 何かに気がついた兄が声を張り上げると同時、弟が素早く動いて手に持つナイフでその喉を掻き斬る。
 返り血を浴び血の霧に頬を染めながら、弟は高らかに笑い出した。

(´<_` )「ハーッハッハッハッハッ!」 

 兄がその場に崩れ倒れ伏せると文字板が勝利を告げる。
 その勝利は白衣の女へ向けられたモノで、板を一瞥すると警官の弟は白衣の女へと姿を変えた。

从 ゚∀从「アハハハッハッハッハッハッ」

 ゆっくりと晴れて行く霧の中で、彼女は高らかに笑い続けた。
 すぐ近くでホンモノの弟が泡を吹きながら倒れているのが分かった。

 彼女は"発生する"という魔法を持っているわけではない。
 それは弟に化けるという行為と竜巻の発生地点のタイルに下りた霜で気がついた。
 恐らく、彼女の魔法は回復と操作、そして"変化する"や"置換する"という類だ。
 竜巻は空気中の窒素を液体化して、急激に下がった温度と体積が生み出した気流によって起したと推測できる。
 急激に目の前が暗くなり、グラグラと世界が揺れ始める。
 弟を気絶させたのは血の成分を変化させて、毒を造ったのかも知れないな。
 その毒に蝕まれて、僕はその場に倒れこんだ。

 

11 名前: ◆xmNFXyaAwA Mail: 投稿日: 2007/10/20(土) 22:01:04.60 ID: fEE8qBMn0
 目が醒めると僕は随分と暗い部屋に寝かされていた。
 赤いスプレーの落書きや、転がるチューブのような医療器具から、ここが廃病院の一室だと理解する。
 まるで鯨鐘に頭を突っ込んで、そのまま叩かれているみたいに響く頭痛が吐き気を生んで、思わず片手で頭を抱えた。

川 ゚ -゚)「目が覚めたのか、大丈夫かい?」

(;つω^)「大丈夫、自分で立てるお」

 対戦相手の少女が声を掛けてきて、僕は反射的にやせ我慢の一言を発した。
 毒霧の薄い場所を求めて、この場所に寝かされたのだろうか?
 埃の具合から、この部屋が普段使われることがない事を窺い知る。
 立ち上がり泰然としていると、先ほどの白衣の女がこちらへと歩いてきた。
 彼女はコツコツと鳴らすハイヒールを差し引いても、十分な高身長である事が伺える。

从;゚∀从「さあて、キミが最後だ。私の能力は"再生する"だよ」

 気絶させた負い目もあるのだろう、珠の汗が浮かぶ額を見ると、どうやら回復を使い続けているようだ。
 彼女が人差し指で僕の額を小突くと、沸騰するような感触が一瞬貫いた。
 その感触に驚く間に頭痛と吐き気は収まって、それを見届けると白衣の女は立ち上がって去って行く。
 お礼を言うと、彼女は振り返らずに手だけ振った。
 廊下で対戦相手の兄弟とあったのか「姐さん!」と呼ぶ声と、「黙れ公僕」と言う罵倒が廃墟を無意味に響いていた。

 

13 名前: ◆xmNFXyaAwA Mail: 投稿日: 2007/10/20(土) 22:04:13.96 ID: fEE8qBMn0
 そういえば、白衣の女は薬物中毒者特有の指の震えや挙動不信といった症状はなかった。
 中毒症状や禁断症状も魔法で回復できるのだろうか? などと考えながら、部屋を出るタイミングを失って意味もなく視線を巡らせる。
 気分転換のために軽くこめかみを揉んでいると、何故か部屋に残っていたCoolさんが声を掛けてきた。

川 ゚ -゚)「ハインリッヒか、覚えておこう」

( ^ω^)「僕も強い所を見せてやるお」

川 ゚ -゚)「対戦はしばらく出来そうにないから、各自待機だそうだ」

 このゲームでは社交辞令のような挑発を返し白衣の女に続こう歩み出し、踏みとどまる。
 待機と言われては仕方がないので、僕は転がっているスチール机の埃を払って座った。
 それに倣って彼女も埃を払い、肩が触れるような至近に腰掛ける。
 長く黒い髪からシャンプーの甘い臭いが鼻腔をくすぐり、気恥ずかしさから何となく目線を逸らす。
 彼女は僕の様相をまるで気にしないように、話を続けた。

川 ゚ -゚)「気分はどうだい?」

( ^ω^)「完全回復だお」

 顔は見れず、だけど心配される事がないように満面の笑みをこめて返した。
 もしコレを理由に相手に手加減されては、なんとも後味が悪い。

 

14 名前: ◆xmNFXyaAwA Mail: 投稿日: 2007/10/20(土) 22:06:43.31 ID: fEE8qBMn0
川 ゚ -゚)「私は遠距離攻撃が得意でね、妹も同じなので参っているよ」

 つまり、どちらも近寄れば勝機があるのか、攻撃に特化してるな。
 彼女か妹に防御や回復があると厄介だろう。
 妹の攻撃的な正格からあまり回復と言う概念は浮かばないので、注意すべきは隣に座る彼女と言うわけだ。

( ^ω^)「僕は前衛だから、君達と相性が良いみたいだお」

川 ゚ -゚)「そうか、それは良い事を聞いた。十分注意しなくてはな」

 変わらぬ表情に感じる余裕は、本物なのか? 無理をしているのか?
 今の僕にはなんとも判別がつかず、ただ、彼女の綺麗な瞳を見つめた。
 さて、僕はこの子を切り裂く事が出来るだろうか? などと考えて、多分出来ると思う自分に軽く嫌気が差す。
 彼女の魔法はどんなものだろう? と思って、ふと自分の魔法を思い出し彼女に尋ねた。

( ^ω^)「そういえば、心理系ってどうやって使うのか、見たことあるかお?」

 何となく尋ねただけだというのに、彼女は目を見開いてこちらを見つめた。
 今まで感情の起伏に乏しい人だと思っていたので、この大きな反応にこちらもつられ僅かに驚く。

川 ゚ -゚)「キミは心理系が使えるのかい!?」

 その驚きのためか、僕は一つ失態を犯した。

(;^ω^)「え? ま、まあ」

 自分の魔法は、例え曖昧にでも教えるべきではなかった。

 

15 名前: ◆xmNFXyaAwA Mail: 投稿日: 2007/10/20(土) 22:10:03.82 ID: fEE8qBMn0
 彼女はそれを聞いて、小さくブツブツと漏らしながら何かを思索する。
 それは今までの会話を繋ぐ為だけの思案とは違い、そのまま思考の海に飛び込むような没頭の仕方だった。
 おずおずと声を掛けると一テンポ遅れて我に返り、彼女は机から降りて正面に立ち、こちらを真剣に見つめる。
 それの目の色に攻撃性などないのだが、睨むと表現しても差支えがないほどに真剣さが殺気となって溢れていた。

 何かを伝えようと彼女が口を開き、それを遮るかのように電子音の間抜けなメロディーが響いて妨害した。
 彼女がケータイをポケットから取り出すと同時、目の前に文字板が出現する。
 普段眺めているのは、せいぜいが1メートルと言うところだが、この板はその2倍も3倍もの大きさがあった。

「イベントのお知らせをいたします、管理人のマーリンです。
 プレイヤーの皆様、アンブロシウスゲームのご愛顧いただきありがとうございます。
 ゲームのシナリオは現在順調に進み、今回のイベントを持ちまして、全てのコマと主人公が揃った事をお知らせいたします。
 それもこれも全ては皆様のたゆまぬ努力の賜物であり、つきましては、この重要な時節である今回のイベントは少々特殊な物をご用意させて頂きました。
 以下に此度のイベントのルールをせつ――

 

18 名前: ◆xmNFXyaAwA Mail: 投稿日: 2007/10/20(土) 22:13:16.13 ID: fEE8qBMn0
 そこまで読んだ時、僕は左の手首を掴まれると強引に牽かれて、病院の一室から連れ出された。
 もつれる脚を何とか立て直し、見れば目の前を揺れる黒髪が掴む手の主を知らせる。
 妹を見つけると名前を呼んで手招きし、二人揃って僕へと向かい合った。

川 ゚ -゚)「先ほどのルールを読んだか?」

(;^ω^)「まだ読んでないお」

 彼女は全く動じて居ないと言うのに、早くも荒い息と心臓に情けなさを感じつつ、正直に応対する。 
 「それでは早く読みたまえ」と促す彼女に言われ、移動に合わせ付いてきた文字板にもう一度目を通した。

「以下に此度のイベントのルールを説明させていただきます。

 東京と全域をフィールドで包囲し、すぐに分かる物品を配置いたします。
 合計50個設置された物品を、どのような方法でも構いませんので皆さんで協力し、全て破壊してください。
 制限時間は24時間、成績に応じて特典を差し上げます。
 パーティを組んでいる場合は、パーティ全員に特典を差し上げるものとします 
 また、このイベント開始まで、あらゆる対戦は禁止とさせて頂きます。

 題して「バルーンファイト」、それでは、57分23秒後開始いたします」

 最後の数字がカウントダウンするのを確認し、初めてのイベントに僅かに胸踊るのを感じていた。
 読み終わった事を知らせるために、前を見ると黒髪の少女は口を開く。

 

20 名前: ◆xmNFXyaAwA Mail: 投稿日: 2007/10/20(土) 22:16:46.06 ID: fEE8qBMn0
川 ゚ -゚)「今回のルールは、人数が多いほど有利で、私達は格闘が苦手だ」

( ^ω^)「パーティを組んで欲しい、と?」

 それは女の子二人と組めるという点を引いても、願ってもないことだ。
 僕の戦い方は、対戦相手に寄って支援を必要とする。 
 だが、彼女達の戦いを見ていないし、なにより相手もこちらの戦いを見ていない。
 このような状況で、唐突にパーティを組むというのはいささか早計ではないだろうか?
 僕の胸の内を読んだのか、黒髪の少女が条件を付け足す。

川 ゚ -゚)「もちろん魔法も見ていない相手に気を許すわけにはいかないだろう? だからまず今回のイベントで試すと言うのはどうだ?」

 なるほど、このイベントは人数が多ければ多いほど良い。
 足を引っ張る要素も少なく、相手の力量を図ることが出来るだろう。
 対し、納得する僕の尻目に、ツインテールの妹が噛み付いた。

ξ゚听)ξ「ねぇさん! 本気!?」

川 ゚ -゚)「もちろんだ。心理系が使えるし、なにより勘がとても良い。逸材だよ。もちろん、キミが良しと言ってくれたらだが……どうかね?」

 褒められて悪い気はしない。
 何より初参加のイベントに、戸惑いなにも出来ないのでは後悔が残るだけだ。
 彼女達に分からない事を聞けば、それだけで十分な成果だろう。

 

23 名前: ◆xmNFXyaAwA Mail: 投稿日: 2007/10/20(土) 22:20:35.86 ID: fEE8qBMn0
 思案するものの、答えはすでに心の中で決まっていた。

( ^ω^)「……僕をパーティに入れて欲しいお」

 その言葉に、ツインテールの少女が振り返り一言、言葉を投げつける。

ξ゚听)ξ「死にたくなること言わないでよ」

(;^ω^)「その言い方は、僕の方が死にたくなるお」

ξ゚听)ξ「じゃあ、死になさいっ」

(;^ω^)「ひでぇ、まだ死にたくないお」

ξ゚听)ξ「嘘ついた人間は、掃除機で吸引自殺するって法律知らないの?」

(;^ω^)「まず、吸引自殺の仕方が分からないお」

ξ゚听)ξ「無知ね、無知は罪よ死になさい」

(;^ω^)「どこまでアンタは僕を殺したいんだお?」

 不毛な言い合いに呆れ、姉がフォローに入ってくれる。

川 ゚ -゚)「まあ、噛み付くな。有能でなければ後でパーティを解散すれば良い、そうだろう?」

 必要なまでに噛み付く彼女を宥めてくれたお陰で、内心安堵する。
 彼女もそういわれては、口を噤むほかなかった。

 

24 名前: ◆xmNFXyaAwA Mail: 投稿日: 2007/10/20(土) 22:20:52.95 ID: fEE8qBMn0
川 ゚ -゚)「それでは、よろしく頼むよ? ブーン。私はクーで良い」

ξ゚听)ξ「ツンよ、アンタは下僕で良いわね?」

( ^ω^)「ブーンだお! よろしくおねがいするお」

 ツインテールを無視して、クーへと手を差し出す。
 彼女の温かい手は迷いなく僕の手を包みこんでくれた。
 そして、僕は臨時パーティで初めてのイベントに参加する運びとなった。
 心音が早鐘のように鳴り響き、頬が熱くなるのは、きっとコレから始まるイベントのためだと僕は自らに言い聞かせた。

 ( ^ω^)達はゲームクリアを目指すようです
( ^ω^)SIDE・3 了

 

 

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