4 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:40:13.54 ID: rFHK3YWM0
第四話「いつもの」

(´ぅω・`)「父さん、どうかしたの?」

ガサガサと物音が玄関からするのを聞き、少年は目を覚ました。
眠そうに目をこすりながらも音の主である父親に尋ねる。

(`・ω・´)「ん、ちょっと緊急の仕事の連絡が来てな。
       スレスト村の『架師』代表としてサロン造成地まで行く事になった」

凛々しい雰囲気の男は一瞬向き直るも、すぐ靴紐へと目を戻し手際よく結ぶ。

(´・ω・`)「そりゃまた珍しいね、地区越えの塔でも建てたりするの?」

何気ない様子で眉尻の下がった少年が問う。
『そうかもな』といったような、父親の軽い返事を期待するものだったが、それは聞こえない。

凛々しい男の眉尻も、一瞬下がったような気がした。

(`・ω・´)「…そうだったら、いいな」

バタン、と扉が閉じる音。

(´・ω・`)「…」

 

 

5 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:41:08.07 ID: rFHK3YWM0

『箱』の始発。
普段は客の姿さえまばらな中、見知った顔があった。
友達の、ショボンという少年の父親だ。

( ^ω^)「シャキンさんですかお」

(`・ω・´)「ああ、ブーン君かい。
       いつもショボンが世話になっているね。」

( ^ω^)「いえいえ、こっちこそお世話になってますお」

月並みな会話を交わしながらもブーンは違和感を感じる。
普段の仕事着ではなく、紺色の正装。
持ち物も薄い革のカバンのみ。

そしてどことなく漂う暗い雰囲気。

少なくとも、ブーンはかつてこんなシャキンを見たことがなかった。
正装している姿も珍しいのだが、
快活なはずの彼のこのような様子は珍しいというどころではなかった。

 

 

6 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:42:05.75 ID: rFHK3YWM0

いつもなら、こちらの返答が追いつかないくらいの話題を振ってくる。
しかし『箱』に乗った時のやりとり以降、彼は押し黙ったままだ。

(;^ω^)「本日はどちらまでいくんですかお?」

沈黙に耐え切れないブーンが尋ねる、

(`・ω・´)「ああ、ちょっと遠くまでね。とりあえずは次の塔で乗り換えるよ」

はっきりとした口調、しかし明確な答えは帰ってこない。
聞きたい、そう思うも―

 

 

7 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:42:36.46 ID: rFHK3YWM0
ξ゚听)ξ「ブーン、そろそろ巻く準備しときなさい。
      シャキンさんすいません、ちょっとこいつ借りますから」

(`・ω・´)「ああ、構わないよ」

(;^ω^)「痛たたた、耳を引っ張らないで欲しいお!
      そんな引っ張ったらもげちゃうお!!」

ツンが耳を引っ張りながらブーンを引っ張っていく。

本来なら巻く準備など塔に着く直前でよい、
が、彼女はそれをわざわざ今から、しかもギコでなくブーンにやらせようとしている。

おそらく、彼女もシャキンの違和感に気付いているのだろう。
ブーンを彼から遠ざけたのもきっとそのためだ。

 

8 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:43:15.43 ID: rFHK3YWM0
じきに、『箱』が止まる。

(`・ω・´)「じゃあここで失礼するよ、2人とも頑張ってくれ」

( ^ω^)「ありがとうございましたお」

ξ゚听)ξ「帰りも乗ってくださいね」

(`・ω・´)「ああ」

後ろ手を二、三度降りつつ、彼は『箱』を後にした。

 

 

9 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:44:30.64 ID: rFHK3YWM0

  _
( ゚∀゚)「おいすー」

昨日の朝見た顔を、今日の夕方になってやっと見ることができた。
ジョルジュが『翼』を抱えてブーン達の『箱』へと乗り込んで来た。
こめかみの大きな絆創膏以外に変わったことは特に見当たらない。

( ^ω^)「おっ、今日こそ割引はせんお」
  _
( ゚∀゚)「そう言うと思って予め規定運賃より少ない金しか残してませーん」

(;^ω^)「なんて卑怯な手なんだお…」

ξ゚听)ξ「いや乗車拒否しろよ」

 

 

11 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:45:45.04 ID: rFHK3YWM0
ひょっこり出てきたツンが相手になる、
ギコやドクオはどうでもいいといった顔だが、値切られるのが気に入らないようだ。
  _
( ゚∀゚)「まあまあ、手土産もありますんでお代官様」

ジョルジュが取り出した袋。
ちょっと生臭い香りを放ってはいるがツンはすぐそれをひったくる。

 

 

 

13 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:46:40.73 ID: rFHK3YWM0

ξ*゚听)ξ「生の魚じゃない!どうしたのよこれ!?」
  _
( ゚∀゚)「ガイドラ湖に寄ったついでに漁師から買ってきた。
     このあたりじゃ運賃より高くつくんじゃね?」

ξ*゚听)ξ「よし!『翼』持ち込みはタダにしてやるわ!」
  _
( ゚∀゚)ノ「普通の乗車賃もタダにしてくれると僕ちんうれしいなー」

ξ゚听)ξ「あ?」
  _
(;゚∀゚)「サーセン」

 

 

14 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:47:39.60 ID: rFHK3YWM0
ジョルジュはそそくさと客席に座った。
しばらくの間はブーンやツンの仕事ぶりを見ていたが、じわじわと目尻が下がってくる。
気付けば、すやすやと壁を背に預け寝息を立てていた。

ξ゚听)ξ「ありゃ、寝てるわ」

ふと気付いたツンがジョルジュを見る、
こっそりと鼻先に生魚を近づけてみようとするもブーンが慌てて止める。

(;^ω^)「疲れてるみたいだし悪戯はよしとくお」

ξ゚听)ξ「ちぇ、どんな仕事だったか聞こうと思ったのに」

ツンはつまらなそうに歯車柱へと戻っていく。

窓の外では、夕日がじわじわと谷底に落ちかけている。
じきに印火も立つことだろう。
それまでは、静かに眠らせておいてやろう。

 

 

15 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:48:30.46 ID: rFHK3YWM0

(´・ω・`)「…ふう」

山肌が軽く削られ、そのところどころに柱や板が架けられている。
元々は人が行き来できない断崖。
だが、そこに設置された柱や板が人の通る道を作り出す。

道を架ける人々、『架師』の由来だ。

その断崖の道の先に一人の少年が佇む。

 

16 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:49:04.88 ID: rFHK3YWM0

(´・ω・`)「父さんがいないとなんにもやることがないもんだなあ」

道の先にあるのは平地。
山肌がぽっかりと持っていかれたかのように、不自然な平地ができている。

そこにあるのは、錆びきった金属製の塔と、不思議な形をした岩。

 

 

18 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:49:55.74 ID: rFHK3YWM0

直方体のような形で断崖の端に存在し、その片端は空を指す。
地にかかるもう片端は地面にしっかりと埋め込まれ、
その表面のいたるところにはには何かが削れたあとが残っている。

少年はその岩に腰かけ、谷の先を見る。

(´・ω・`)「…」

その先には何も見えない。
頭上にも、目の前にも、眼下にも、広がるのは空のみ。

少年は腰に結び付けられた布袋から昼食を取り出し、
ぼんやりと空を眺めながら手を進める。

 

 

19 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:50:32.05 ID: rFHK3YWM0

昼食をすべてたいらげた後も少年は動かない。
ひたすら谷の先を眺め続ける。

(´・ω・`)「…やっぱいいなあ」

ボソリと呟き、岩から降りる。
そのまま柔らかい土の上に転がり、今度は空を見上げる。

鳥の鳴き声、風の音、降り注ぐ日光。

 

 

20 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:51:33.70 ID: rFHK3YWM0
それらの心地よい刺激を受け、少年の瞼はじわじわと重くなる。

―起きるのはいつだろうか。
すぐだろうか、夕方だろうか、日は落ちているだろうか。

分からないや。

今日は誰も起こしに来ないんだから。

 

 

22 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:52:14.75 ID: rFHK3YWM0

 

目が覚めたのは、夕方。
果てしない谷の先はぼんやりと紅く染まっている。

(´・ω・`)「ちょうどいい時間かな」

むくりと立ち上がり、頭を軽く振る。
寝起きで断崖の道を通るのも危ない、
念のため体をしっかりと起こしておいた方がいいだろう。

特に問題はないと判断すると、少年は足を進める。
軽快な足取りで道を進み、切り立った断崖の側面を渡る。

鼻歌混じりに板から板へと飛び移るなど、全く緊張感はない。

 

 

23 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:52:59.11 ID: rFHK3YWM0

遠く離れた塔に日が灯された。
そうか、ブーン達の仕事はちょうど今終わりか。

(´・ω・`)「まいったなあ、なんか僕がニートみたいじゃないか」

友人達が働いている中、自分だけ一日中寝てたのになんだか気が引けた。
かといって、仕事がなければ働けはしない。
見習いのショボンにとって、父であり、親方であるシャキンがいなければやることなど無いに等しい。

 

 

24 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:53:29.63 ID: rFHK3YWM0

断崖を渡り終える。
渡り終えた先、最も近い塔に覗いた影は、三角形。

ジョルジュだ。

その箱の中にはブーンとツン。

暗いながらも、印火に照らされた3人の姿ははっきりと目に映る。

 

 

25 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:54:15.64 ID: rFHK3YWM0

( ^ω^)「そんじゃ気をつけて帰るおー」

ξ゚听)ξ「割引すんのは今日だけだからね」
  _
( ゚∀゚)「へーい、そんじゃな」

『翼』を担ぎ塔を降りようとするジョルジュ。
が、彼が一段目の階段を降りようとした瞬間、何か別のものが階段を登ってくる音が響いた。

(´・ω・`)「やあ」

軽快なステップで塔の最上部まで駆け上がってきた少年、ショボン。

 

 

27 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:55:17.80 ID: rFHK3YWM0
  _
(;゚∀゚)「ショボッ!?」

既に足は階段に向かって踏み出されている。
しかしショボンの勢いは止まらない、こちらに向かって猛ダッシュしてくる。

(;´・ω・`)「え、ちょ、まず」

ショボンが気付き、すぐに止まろうとするももう遅い。
二人はジョルジュの背後のブーンを巻き込んでその場に倒れこんだ。

 

 

28 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:56:08.05 ID: rFHK3YWM0

(;^ω^)「あいたたたた!!僕の○○の上に何かが乗っかってるお!!」
  _
(;゚∀゚)「ショボ!!ちゃんと前みて走れ馬鹿!!」

(´・ω・`)「すまない、謝って許してもらおうとは思ってない」

ごちゃごちゃとした塊になりながら三人がもがく。
それぞれが出ようとする度、さらに複雑に絡まっていく。

(;^ω^)「 ○ ○ 掴 ん で る の は 誰 だ お ! ? 」

(´・ω・`)「誰だろうね」
  _
(;゚∀゚)「容疑者2人の中で俺じゃないならお前しかいないだろ…」

(´・ω・`)「誰だろうね」

ムニッ
  _
(;゚∀゚)「オウフッ!」

ξ;゚听)ξ「…」

どうも一名だけあまりもがいてないが、気のせいだろう。
うん、多分。

 

 

29 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:57:03.00 ID: rFHK3YWM0

(;^ω^)「なんかまだヒリヒリするお…」

(´・ω・`)「ごめん、今日はちょっとテンションがおかしかったんだよ」
  _
(;゚∀゚)「おかしいってレベルじゃねーぞ…」

(´・ω・`)「あれは僕じゃないよ」

(;^ω^)(;゚∀゚)「…」

あくまでしらばっくれるつもりか、
ブーンとジョルジュはあきれながら呆然とする。

 

30 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:57:40.14 ID: rFHK3YWM0
ξ;゚听)ξ「ま、まあそれはさておきどうしたの?こんな急に」

妙な雰囲気に耐えられなくなったツンが尋ねる。

(´・ω・`)「んー、ちょっと父さんが帰ってくるまでしばらくニート暮らしになりそうでさ。
      今日は一日中いつもの場所でゴロゴロしてたんだよ。
      そしたら妙に人恋しくなってねHAHAHA!!」
  _
(;゚∀゚)「HAHAHAじゃねえよ!!」

(´・ω・`)「すまないフヒッ」

 

31 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:58:27.43 ID: rFHK3YWM0

掴み所がない、そんな感じだろうか。
だがショボンのなんともいえない妙な雰囲気がブーンは好きだった。

( ^ω^)「お?一日中あそこにいたのかお?」

(´・ω・`)「うーん、やっぱあそこは落ち着くよね。なんか神秘的な感じもして素敵だし」

ショボンがいた『いつもの場所』。
最初に見つけたのはジョルジュ。
彼が『翼』で飛行をしていた時に、金属製の塔が見えたというのだ。
おおまかな位置を割り出し、ショボンが修行がてら道を架けた所、平地が見つかった。

 

 

32 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:59:16.61 ID: rFHK3YWM0
誰も存在を知らなかった場所に塔が立っていたことに彼らは驚いた。

が、特に誰に報告する義務というものもないので、今では四人の秘密基地のようなものになっている。

ブーンとツンが廃棄寸前の『箱』を修理し錆びた塔に渡し、
ショボンは道を草木で軽く覆い、見つかりにくくした。

四人以外で知っている者といえば、塔に渡すワイヤーを分けてくれたシャキンくらいか。

 

 

33 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 09:59:54.00 ID: rFHK3YWM0
  _
( ゚∀゚)「へー、そんならさ、久々に明日あそこに集まらね?」

急にジョルジュが提案する。

(;^ω^)「お?でもブーン達は明日も仕事が―」
  _
( ゚∀゚)「固いこと言うなって、俺も明日はのんびりしようと思ってたしさ。
     お前らだってたまには仕事休まねーとダメになるぞー?」

ξ゚听)ξ「んー、ま、別にドクオでも歯車は巻けるし1日くらいはいいんじゃない?
       ここ最近仕事続きだったし」

ブーンの発言が飲み込まれる、
そして、

(´・ω・`)「んじゃ、ワイワイいこうか。
      家にあるありったけの食材持ってきて昼食パーティーでも」

どうやら決定してしまったようだ。

 

 

35 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 10:01:35.62 ID: rFHK3YWM0

( ><)「…以上が、P地区から送られてきた封書の内容です」

ミ,,゚Д゚彡「ええ、それと同様のものがこちらにも来ています」

髭を蓄えた、荒っぽい感じの男が答える。
スーツにも慣れていない様子で体中をモゾモゾさせている。

ミ,,゚Д゚彡「我々『架師』の本拠地であるサロン造成地。
      そこにも直接の連絡が来たということは―」

( <●><●>)「挑発、ですか」

ミ,,゚Д゚彡「今から追いつけるもんならやってみろってことだな」

( ><)「そうとしか思えないんです」

目の前では、お偉方や知識人たちがガヤガヤと騒ぎあう。
そんな中、どうも場違いではないか、と感じ戸惑う男が一人。

(;`・ω・´)「すいません、ちょっとよろしいでしょうか」

たまらずペンを上げ、存在を示す。

 

 

36 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 10:02:52.19 ID: rFHK3YWM0

(;`・ω・´)「私はスレスト村の『架師』代表ということでお伺いしたんですが、
       この度の会議では他に村単位での出席者がいません。
       なぜ、スレスト村だけが地方から召集を受けたのでしょか?」

しばしの沈黙、
が、その場の主と言える男が沈黙を破る。

( ><)「本日は遠いところから来ていただき、申し訳ないんです。」

ビロード、このV地区の長とも言える『ガイドラ事務院』事務長。
大仰な肩書きを持ちながらも、どこか親しみやすい男だ。

 

 

37 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 10:03:56.09 ID: rFHK3YWM0

( ><)「えー、『大峡谷』は方角を問わず、どこに進んでもいつかは辿りつきます。
      けど、近くに工事の拠点となる人里や交通手段が整っていないと工事は難しいんです。
      そこで、ということですが」

さらに空気に緊張が走る。
いや、緊張を感じているのは自分だけなのだろうか。シャキンは思う。

( ><)「スレスト村を拠点に、『大峡谷』の開発を進める予定なんです。
      さしあたって、あなたには現地の情報収集や場合によっては現場指揮などに協力してもらいたいんです」

(`・ω・´)「…!」

 

 

38 名前: ◆FEvaeH3GGA Mail: 投稿日: 2007/11/24(土) 10:04:52.78 ID: rFHK3YWM0
あの断崖を、渡る。
決してたどり着けないわけではない、だが危険は伴う。
死者や怪我人も指折り数え切れないほど出るだろう。

が、違う。

何なのだろう、この不安は。

あの谷を渡ってはいけない、本能にも似た警告がシャキンに鳴り響く。が、

(`・ω・´)「…分かりました」

断れない、断れるはずがない。
たとえ何があろうと、谷の底は平地、莫大な財産なのだ。
たどり着くものに不安になる要素などあるはずがない、ないんだ。

自分に言い聞かせ、決心する。

『大峡谷』に道を架ける、と。

 

 

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